DME

臨床試験成績

海外第Ⅱ相試験:DA VINCI試験(探索試験)1)

1)バイエル薬品社内資料[第Ⅱ相探索試験:DA VINCI試験(外国人)]承認時評価資料

DA VINCI試験は、糖尿病黄斑浮腫(DME)を有する患者を対象に、アイリーアの安全性と有効性を検討する目的で実施されました。

【実施地域】

米国、カナダ、オーストリアの3ヵ国、39施設

試験概要

目的 DMEを有する患者を対象に、アイリーアの様々な用量および投与間隔で硝子体内投与を行い、安全性および忍容性を検討するとともに、最高矯正視力に及ぼす影響を探索的に検討する。
試験対象 DMEを有する患者:221例
[主な選択基準]
1型あるいは2型糖尿病を有する18歳以上の男女かつ
  • 試験眼にOCTで中心網膜厚(CRT)が250µm以上の中心窩に及ぶ臨床的に問題となるDMEを有する
  • スクリーニング時における試験眼のETDRS視力表による最高矯正視力が20/40~20/320(文字数で73~24文字)など
[主な除外基準]
  • 試験眼に網膜硝子体手術による治療歴を有する
  • 試験眼にスクリーニングの前3ヵ月以内に汎網膜光凝固術または黄斑レーザー光凝固術による治療歴を有する
  • 試験眼にスクリーニングの前3ヵ月以内に副腎皮質ステロイド剤の眼内または眼周囲投与による治療歴を有する
  • いずれかの眼にスクリーニングの前3ヵ月以内にVEGF阻害剤による治療歴を有する
  • 試験眼に活動性のPDRを有する
  • コントロール不良の糖尿病を有する
  • 最適な薬物治療でも血圧コントロール不良(1回測定で収縮期血圧が180mmHg超、2回連続測定で収縮期血圧が160mmHg超、もしくは拡張期血圧が100mmHg超)
  • 初回投与日の前6ヵ月以内に脳血管障害または心筋梗塞の既往を有する
  • 透析または腎移植を必要とする腎不全を有する など
試験デザイン 無作為化二重遮蔽比較対照試験
投与方法 対象患者をアイリーア投与群(用量および投与間隔別に4群)*1およびレーザー治療群の5群に無作為に割り付けた。
  • アイリーア0.5mg4週ごと投与群:アイリーア0.5mgを4週ごとに48週目まで投与した。
  • アイリーア2mg4週ごと投与群:アイリーア2mgを4週ごとに48週目まで投与した。
  • アイリーア2mg8週ごと投与群:アイリーア2mgを4週ごとに3回投与した後、16~48週目まで8週ごとに投与した。
  • アイリーア2mgPRN投与群:アイリーア2mgを4週ごとに3回投与した後、12~48週目までアイリーア再投与基準に従って4週ごとに評価し、PRN(必要に応じ、随時)投与した。
  • レーザー治療群:黄斑レーザー光凝固術による治療を1週目に1回行い、16~48週目まではレーザー再治療基準に従い再治療を16週間に1回以下の頻度で実施した(4週ごとに偽注射も実施)。
投与方法
  1. *1 アイリーア投与群では、1週目にレーザー偽照射を実施し、24週目以降にレーザー再治療基準を満たす場合は、16週間に1回以下の頻度でレーザーによるレスキュー治療を実施した。
[アイリーア再投与基準]
  • OCTで中心網膜厚(CRT)がそれまでの最低値よりも50µm超増加
  • OCTにより検出される網膜の新規または遷延性の嚢胞性変化または網膜下液、もしくは中心網膜厚(CRT)が250µm以上の遷延性びまん性浮腫
  • OCTによる中心網膜厚(CRT)増加が認められ、かつ最高矯正視力文字数がそれまでの最高文字数から5文字以上低下
  • 最高矯正視力が前回来院時から5文字以上改善ならびにOCTの中心サブフィールド(中心窩から直径1mmの範囲)に網膜浮腫が存在しない
[レーザー再治療基準]
レーザー再治療が患者にとって有用であると遮蔽医師が判断し、かつ少なくとも以下のいずれか1つに該当する場合:
  • 黄斑中心窩の網膜肥厚が500µm以内
  • 黄斑中心窩の硬性白斑が500µm以内(隣接した網膜肥厚と関連する場合)
  • 網膜肥厚の範囲が1視神経乳頭以上で、いずれの肥厚も黄斑中心窩の1視神経乳頭の直径以内
レーザー再治療が患者にとって有用でないと遮蔽医師が判断した場合は実施しない
主な有効性
評価項目
  • 主要評価項目(FAS)24週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量
  • 副次的評価項目(FAS)52週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量
    24週目および52週目にベースラインから15文字以上の視力改善がみられた患者の割合
    24週目および52週目における中心網膜厚(CRT)のベースラインからの変化量
    レーザー治療の回数

OCT(optical coherence tomography):光干渉断層計
PDR(proliferative diabetic retinopathy):増殖糖尿病網膜症
FAS(full analysis set):最大の解析対象集団

  • 偽注射:硝子体内注射と同じ処置を行うが、注射の代わりに針のない注射シリンジを局所麻酔下で眼球に押し付ける方法
  • レーザー偽照射:黄斑治療用のレンズを装着し、細隙灯顕微鏡のスイッチを入れ、レーザー治療群と同じ治療時間、レーザーのスイッチを切ったまま(PASCALレーザーの場合は出力を0)、レーザー照射と同じ音を出す方法
  • 中心網膜厚(CRT:central retinal thickness):中心サブフィールド(中心窩から直径1mmの範囲)の網膜厚

糖尿病黄斑浮腫の用法・用量
アフリベルセプト(遺伝子組換え)として2mg(0.05mL)を1ヵ月ごとに1回、連続5回硝子体内投与する。その後は、通常、2ヵ月ごとに1回、硝子体内投与する。なお、症状により投与間隔を適宜調節するが、1ヵ月以上あけること。

試験対象例数と各群の患者の内訳

試験対象例数と各群の患者の内訳

患者背景および特性(FAS)

項目 レーザー
治療群
(n=44)
アイリーア
0.5mg4週ごと
投与群
(n=44)
2mg4週ごと
投与群
(n=44)
2mg8週ごと
投与群
(n=42)
2mgPRN
投与群
(n=45)
性別:例数(%) 女性 17(38.6) 20(45.5) 17(38.6) 20(47.6) 16(35.6)
男性 27(61.4) 24(54.5) 27(61.4) 22(52.4) 29(64.4)
人種:例数(%) 白人 38(86.4) 41(93.2) 41(93.2) 36(85.7) 41(91.1)
黒人 4(9.1) 3(6.8) 1(2.3) 2(4.8) 1(2.2)
アジア人 1(2.3) 0 0 1(2.4) 2(4.4)
その他 1(2.3) 0 2(4.5) 3(7.1) 1(2.2)
年齢(歳) 64.0±8.1 62.3±10.7 62.1±10.5 62.5±11.5 60.7±8.7
最高矯正視力文字数
(文字)
57.6±12.5 59.3±11.2 59.9±10.1 58.8±12.2 59.6±11.1
CRT(µm) 440.6±145.4 426.1±128.3 456.6±135.0 434.8±111.8 426.6±152.4
糖尿病網膜症重症度スコア:
例数(%)
なし 1(2.3) 0 3(6.8) 0 0
軽度 1(2.3) 2(4.5) 4(9.1) 3(7.1) 5(11.1)
中等度 29(65.9) 20(45.5) 25(56.8) 21(50.0) 25(55.6)
高度 12(27.3) 20(45.5) 11(25.0) 11(26.2) 14(31.1)
増殖性a) 1(2.3) 2(4.5) 1(2.3) 7(16.7) 1(2.2)
HbA1c(%) 7.9±1.8 8.1±1.9 8.1±1.9 7.9±1.7 8.0±1.7
(n=44)
糖尿病型:例数(%) 1型 5(11.4) 1(2.3) 3(6.8) 4(9.5) 2(4.4)
2型b) 39(88.6) 43(97.7) 41(93.2) 38(90.5) 43(95.6)

平均値±標準偏差(性別、人種、重症度スコア、糖尿病型以外)

a)活動性が高い増殖糖尿病網膜症は除外
b)2型糖尿病またはインスリン依存型2型糖尿病患者を含む

前治療歴(SAF)

  レーザー
治療群
(n=44)
アイリーア
0.5mg4週ごと
投与群
(n=44)
2mg4週ごと
投与群
(n=44)
2mg8週ごと
投与群
(n=42)
2mgPRN
投与群
(n=45)
試験眼に対する前治療あり 24(54.5) 25(56.8) 25(56.8) 30(71.4) 29(64.4)
VEGF阻害剤 10(22.7) 5(11.4) 10(22.7) 6(14.3) 6(13.3)
ベバシズマブ 8(18.2) 4(9.1) 8(18.2) 6(14.3) 5(11.1)
レーザー治療 22(50.0) 21(47.7) 23(52.3) 28(66.7) 26(57.8)
黄斑レーザー光凝固術 19(43.2) 20(45.5) 18(40.9) 26(61.9) 24(53.3)
汎網膜光凝固術 4(9.1) 4(9.1) 3(6.8) 9(21.4) 2(4.4)
ステロイド薬 12(27.3) 8(18.2) 7(15.9) 10(23.8) 9(20.0)
トリアムシノロン 12(27.3) 7(15.9) 6(13.6) 10(23.8) 9(20.0)

例数(%)

視力評価

(1)視力の変化

24週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの平均変化量は、いずれのアイリーア投与群(8.5~11.4文字増加)もレーザー治療群(2.5文字増加)より有意に改善し、アイリーア投与群のレーザー治療群に対する優越性が検証されました(主要評価項目)。また、52週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの平均変化量は、アイリーア投与群では9.7~13.1文字増加し、レーザー治療群の1.3文字減少と比べ、有意な改善を示しました。
アイリーア投与による最高矯正視力文字数の改善効果は、36週目までにほぼプラトーに達しました。

■最高矯正視力文字数の平均変化量の推移(LOCF、FAS)
最高矯正視力文字数の平均変化量の推移(LOCF、FAS)
  ベースライン 24週 52週
実測値
(文字、
平均値±標準偏差)
実測値
(文字、
平均値±標準偏差)
調整済平均変化量
の群間差
(95%信頼区間)a,b)
実測値
(文字、
平均値±標準偏差)
調整済平均変化量
の群間差
(95%信頼区間)a,b)
レーザー治療群(n=44) 57.6±12.5 60.1±17.6 - 56.3±21.0 -
アイリーア0.5mg4週ごと
投与群(n=44)
59.3±11.2 67.9±14.9 6.6
(2.0, 11.3)
70.3±15.1 12.9
(7.3, 18.6)
アイリーア2mg4週ごと
投与群(n=44)
59.9±10.1 71.3±11.0 9.6
(5.0, 14.2)
73.0±11.5 15.2
(9.6, 20.9)
アイリーア2mg8週ごと
投与群(n=42)
58.8±12.2 67.3±12.4 6.3
(1.6, 11.0)
68.5±13.6 11.4
(5.7, 17.1)
アイリーア2mgPRN
投与群(n=45)
59.6±11.1 69.9±10.9 8.4
(3.8, 13.0)
71.6±12.7 14.0
(8.4, 19.6)

a)治療群を固定効果、最高矯正視力文字数のベースライン値を共変量としたANCOVAモデル
b)各アイリーア投与群-レーザー治療群

LOCF(last observation carried forward):最終評価スコア外挿法

(2)視力の改善

24週目における最高矯正視力文字数でベースラインから15文字以上の視力改善がみられた患者の割合は、すべてのアイリーア投与群とレーザー治療群の間に有意差は認められませんでした。52週目における最高矯正視力文字数でベースラインから15文字以上の視力改善がみられた患者の割合は、アイリーア0.5mg4週ごと投与群で40.9%、2mg4週ごと投与群で45.5%、2mg8週ごと投与群で23.8%および2mgPRN投与群で42.2%であり、2mg8週ごと投与群を除き、いずれもレーザー治療群の11.4%を有意に上回っていました。また、24週目から52週目においてアイリーア投与群では視力改善がみられた患者の割合は増加しました。

■15文字以上の視力改善がみられた患者の割合(LOCF、FAS):副次的評価項目
15文字以上の視力改善がみられた患者の割合(LOCF※、FAS):副次的評価項目

形態学的評価

中心網膜厚(CRT)の変化

24週目におけるCRTのベースラインからの平均変化量は、すべてのアイリーア投与群においてレーザー治療群よりも有意に減少し、この差は52週目まで維持されました。52週目におけるCRTのベースラインからの平均変化量は、アイリーア0.5mg4週ごと投与群で-165.4µm、2mg4週ごと投与群で-227.4µm、2mg8週ごと投与群で-187.8µmおよび2mgPRN投与群で-180.3µmであり、いずれのアイリーア投与群もレーザー治療群の-58.4µmに対し有意な減少を認めました。

■CRTの平均変化量の推移(LOCF、FAS)
CRTの平均変化量の推移(LOCF※、FAS)

a)治療群を固定効果、CRTのベースライン値を共変量としたANCOVAモデル

安全性(52週間の有害事象発現率)

DA VINCI試験(52週間)において、すべての有害事象はアイリーア投与群で175例中160例(91.4%)、レーザー治療群で44例中39例(88.6%)に認められました。そのうち、試験眼にみられた有害事象はアイリーア投与群で113例(64.6%)、レーザー治療群で27例(61.4%)であり、全身性の有害事象はアイリーア投与群で139例(79.4%)、レーザー治療群で33例(75.0%)でした。試験眼にみられた試験薬に関連する有害事象はアイリーア投与群で6例(3.4%)、レーザー治療群で1例(2.3%)に、投与手技に関連する有害事象はアイリーア投与群で70例(40.0%)、レーザー治療群で13例(29.5%)に認められました。

DA VINCI試験

  レーザー
治療群
(n=44)
アイリーア
0.5mg
4週ごと
投与群
(n=44)
2mg
4週ごと
投与群
(n=44)
2mg
8週ごと
投与群
(n=42)
2mg
PRN
投与群
(n=45)
合計
(n=175)
すべての有害事象 39(88.6) 42(95.5) 38(86.4) 40(95.2) 40(88.9) 160(91.4)
眼に関連する
有害事象
試験眼 27(61.4) 30(68.2) 26(59.1) 28(66.7) 29(64.4) 113(64.6)
僚眼 20(45.5) 21(47.7) 19(43.2) 19(45.2) 22(48.9) 81(46.3)
試験眼の有害事象 27(61.4) 30(68.2) 26(59.1) 28(66.7) 29(64.4) 113(64.6)
試験薬に関連する
有害事象
1(2.3) 2(4.5) 1(2.3) 1(2.4) 2(4.4) 6(3.4)
投与手技に関連する
有害事象
13(29.5) 19(43.2) 14(31.8) 21(50.0) 16(35.6) 70(40.0)
眼に関連する重篤な有害事象 試験眼※1 5(11.4) 1(2.3) 2(4.5) 1(2.4) 1(2.2) 5(2.9)
僚眼 2(4.5) 1(2.3) 1(2.3) 2(4.8) 1(2.2) 5(2.9)
全身性の有害事象 33(75.0) 35(79.5) 33(75.0) 38(90.5) 33(73.3) 139(79.4)
試験薬に関連する
有害事象
0 1(2.3) 0 0 1(2.2) 2(1.1)
投与手技に関連する
有害事象
2(4.5) 0 1(2.3) 1(2.4) 2(4.4) 4(2.3)
全身性の重篤な有害事象※2 10(22.7) 14(31.8) 13(29.5) 12(28.6) 6(13.3) 45(25.7)
APTC定義による
動脈血栓塞栓事象a)
2(4.5) 4(9.0) 4(9.0) 1(2.4) 0 9(5.1)
非致死性心筋梗塞 0 2(4.5) 1(2.3) 0 0 3(1.7)
非致死性脳卒中 1(2.3) 1(2.3) 2(4.5) 0 0 3(1.7)
血管死 1(2.3) 1(2.3) 2(4.5) 1(2.4) 0 4(2.3)

発現例数(発現率%)

a)すべての有害事象のうち、APTC(Antiplatelet Trialists' Collaboration)定義により判定された動脈血栓塞栓事象

  1. ※1 本試験において、試験眼における試験薬に関連する重篤な有害事象は認められなかった。
  2. ※2 本試験において、全身性の試験薬に関連する重篤な有害事象は、アイリーア0.5mg4週ごと投与群の1例に、急性心筋梗塞、胸水、および呼吸不全が認められた。
  • ※本試験において、試験薬に関連する投与中止に至った有害事象は、アイリーア0.5mg4週ごと投与群の1例に、急性心筋梗塞、胸水、および呼吸不全が認められた。

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