DMEに対する抗VEGF薬による初期治療戦略について

〈薬効薬理〉 DMEの病態におけるアイリーアの作用機序とVEGFファミリーに対する阻害作用

アイリーアは、VEGFファミリーやガレクチン-1と結合し、炎症や血管新生などの病態形成を抑制すると考えられます

DMEの病態におけるVEGFファミリーおよびガレクチン-1の関与とアフリベルセプトの作用機序
DMEの病態におけるVEGFファミリーおよびガレクチン-1の関与とアフリベルセプトの作用機序

監修 : 北海道大学 大学院医学研究院 眼科学教室 教授 石田 晋 先生

1)Dixon JA, et al.: Expert Opin Investig Drugs. 2009; 18: 1573-1580 利益相反:著者にRegeneron社の治験を担当する医師が含まれる。
2)Kanda A, et al.: Sci Rep. 2015; 5: 17946 利益相反:本研究はバイエル薬品のサポートにより実施された。
3)Kanda A, et al.: Sci Rep. 2017; 7: 16168 利益相反:本研究はバイエル薬品のサポートにより実施された。

アフリベルセプトは、VEGF-AのみならずPlGFとVEGF受容体1との結合を阻害します

抗VEGF薬のVEGF-VEGF受容体結合の阻害作用(IC50, in vitro)
抗VEGF薬のVEGF-VEGF受容体結合の阻害作用(IC50, in vitro)

IC50(50%阻害濃度):値が小さいほど、活性阻害作用が強い
NB:No detectable binding

試験方法
VEGF受容体1またはVEGF受容体2を発現させたHEK293細胞を用いて、20pMヒトVEGF(hVEGF)-Aあるいは40pMヒトPlGF(hPlGF)-2と各種VEGF受容体の結合に対するアフリベルセプト及びラニビズマブの50%阻害濃度(IC50)を算出した。

Papadopoulos N. et al.: Angiogenesis 2012; 15: 171-185より一部改変
利益相反:本論文の著者全員がRegeneron Pharmaceuticals社の社員である。

〈臨床成績〉 海外第Ⅱ相試験:DA VINCI試験(探索試験)

投与初期に速やかな視力改善とその安定化を図るためには、20週までの連続投与が望ましいことが示唆されました

最高矯正視力文字数の平均変化量の推移(LOCF、FAS)
最高矯正視力文字数の平均変化量の推移(LOCF、FAS)

LOCF(last observation carried forward):最終評価スコア外挿法
※1 治療群を固定効果、最高矯正視力文字数のベースライン値を共変量としたANCOVAモデル ※2 各アイリーア投与群-レーザー治療群

効能追加承認時評価資料

アイリーア2mgPRN投与群において、20週目までの連続投与回数が3回、4回、5回の患者群では、52週における最高矯正視力文字数の平均変化量がそれぞれ、8.7文字、9.6文字、16.8文字でした

アイリーア2mgPRN投与群の20週目までの連続投与回数別の52週目の最高矯正視力文字数の平均変化量(FAS)(事後サブグループ解析※)
アイリーア2mgPRN投与群の20週目までの連続投与回数別の52週目の最高矯正視力文字数の平均変化量(FAS)(事後サブグループ解析※)
DA VINCI試験における有害事象(52週)

試験薬に関連する試験眼の有害事象

・レーザー治療群(n=44):白内障1例(2.3%)
・アイリーア2mg4週ごと投与群(n=44):硝子体浮遊物1例(2.3%)
・アイリーア2mg8週ごと投与群(n=42):眼痛1例(2.4%)
・アイリーア2mgPRN投与群(n=45):眼痛1例(2.2%)、白内障1例(2.2%)
 なお、アイリーア0.5mg4週ごと投与群では眼充血1例(2.3%)、霧視1例(2.3%)、硝子体細胞1例(2.3%)が発現した。

試験薬に関連する重篤な有害事象

アイリーア2mg投与群*では試験薬に関連する重篤な有害事象は認められなかったが、アイリーア0.5mg4週ごと投与群では1例(急性心筋梗塞、胸水および呼吸不全)に認められた。なお、試験薬に関連する死亡例は認められなかった。

試験薬に関連する投与中止に至った有害事象

アイリーア2mg投与群*では試験薬に関連する投与中止に至った有害事象は認められなかったが、アイリーア0.5mg4週ごと投与群では1例(急性心筋梗塞、胸水および呼吸不全)に認められた。

*:アイリーア2mg4週ごと投与群、アイリーア2mg8週ごと投与群、アイリーア2mgPRN投与群

効能追加承認時評価資料

試験概要 〈海外第Ⅱ相試験:DA VINCI試験(探索試験)〉

目  的
DMEを有する患者を対象に、アイリーアの様々な用量および投与間隔で硝子体内投与を行い、安全性および忍容性を検討するとともに、最高矯正視力に及ぼす影響を探索的に検討する。
実施地域
米国、カナダ、オーストリアの3ヵ国、39施設
試験対象
DMEを有する患者:221例
試験デザイン
無作為化二重遮蔽比較対照試験
投与方法
対象患者をアイリーア投与群(用量および投与間隔別に4群)*およびレーザー治療群の5群に無作為に割り付けた。
・アイリーア0.5mg4週ごと投与群:アイリーア0.5mgを4週ごとに48週目まで投与した。
・アイリーア2mg4週ごと投与群:アイリーア2mgを4週ごとに48週目まで投与した。
・アイリーア2mg8週ごと投与群:アイリーア2mgを4週ごとに3回投与した後、16~48週目まで8週ごとに投与した。
・アイリーア2mgPRN投与群:アイリーア2mgを4週ごとに3回投与した後、12~48週目までアイリーア再投与基準に従って4週ごとに評価し、PRN(必要に応じ、随時)投与した。
・レーザー治療群:黄斑レーザー光凝固術による治療を1週目に1回行い、16~48週目まではレーザー再治療基準に従い再治療を16週間に1回以下の頻度で実施した(4週ごとに偽注射も実施)。
*:アイリーア投与群では、1週目にレーザー偽照射を実施し、24週目以降にレーザー再治療基準を満たす場合は、16週間に1回以下の頻度でレーザーによるレスキュー治療を実施した。
主な有効性
評価項目
<主要評価項目> 24週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量
<副次的評価項目> 52週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量 など
解析計画
<検証的な解析> 主要評価項目(FAS):多重比較に際し、第1種の過誤を調整するためHochbergの手順を用いる。
<探索的な解析> 副次的評価項目(FAS):同上。ただし、52週目の解析では、多重性の調整は行わない。
利益相反:
本研究はRegeneronの支援により行われた。文献1、2とも著者にRegeneronもしくはBayerにより経済的支援、講演料、コンサルタント料を受領している者が含まれる。著者のうち、文献1は4名がRegeneron、3名がBayerの社員であり、文献2は2名がRegeneron、4名がBayerの社員である。

FAS(full analysis set):最大の解析対象集団

糖尿病黄斑浮腫に対する用法・用量:
アフリベルセプト(遺伝子組換え)として2mg(0.05mL)を1ヵ月ごとに1回, 連続5回硝子体内投与する.その後は, 通常, 2ヵ月ごとに1回, 硝子体内投与する.なお, 症状により投与間隔を適宜調節するが, 1ヵ月以上あけること.

効能追加承認時評価資料、 Do DV, et al.: Ophthalmology. 2011; 118: 1819-1826(文献1)、
Do DV, et al.: Ophthalmology. 2012; 119: 1658-1665(文献2)

〈臨床成績〉 日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:VIVID-DME試験および海外第Ⅲ相試験:VISTA-D ME試験

中心窩に及ぶDMEを対象として、レーザー治療群に対するアイリーアの有意な視力改善効果が示されました

VIVID-DME試験における最高矯正視力文字数の平均変化量の推移(LOCF、FAS)
VIVID-DME試験における最高矯正視力文字数の平均変化量の推移(LOCF、FAS)

LOCF(last observation carried forward):最終評価スコア外挿法(欠測値は欠測前の最後の測定値を用いて補完した。なお、追加治療を受けた患者では、追加治療を受ける直前の測定値により補完した。)
※1 治療群および地域を固定効果、最高矯正視力文字数のベースライン値を共変量としたANCOVAモデル ※2 各アイリーア投与群-レーザー治療群

効能追加承認時評価資料

アイリーア2mgを投与された730例中276例(37.8%)に副作用が認められました

VISTA-DME試験、VIVID-DME試験、VIVID-Japan試験の併合解析における有害事象(1年間)

アイリーア2mgを投与された730例中276例(37.8%)に副作用が認められた。

主な副作用

結膜出血178例(24.4%)、眼痛51例(7.0%)、硝子体浮遊物33例(4.5%)であった。

試験薬に関連する死亡

アイリーア8週ごと投与群:高血圧性心疾患(1例)

試験薬に関連する重篤な有害事象

レーザー治療群:腸炎(1例)
アイリーア4週ごと投与群:虚血性脳卒中(1例)
アイリーア8週ごと投与群:眼圧上昇(1例)、高血圧性心疾患(1例)、急性心筋梗塞・腎不全(1例)

試験薬に関連する投与中止に至った有害事象

レーザー治療群:腸炎(1例)、突然視力消失(1例)、非感染性眼内炎(1例)
アイリーア4週ごと投与群:虚血性脳卒中(1例)、心筋虚血(1例)、脳梗塞(1例)
アイリーア8週ごと投与群:腎機能障害(1例)、末梢動脈閉塞症(1例)、急性心筋梗塞(1例)

効能追加承認時評価資料

VISTA-DME試験およびVIVID-DME試験の併合解析における有害事象(148週)

◆ 148週目までに発現したAPTC定義による動脈血栓塞栓事象

◆148週目までに発現したAPTC定義による動脈血栓塞栓事象

APTC-ATEs : Anti-Platelet Trialists’ Collaborationが定義する動脈血栓塞栓事象  IAI : アフリベルセプト硝子体内注射、 安全性併合解析、※遮蔽委員会が判定

◆ 有害事象発現率(148週目まで)

試験眼にみられたすべての重篤な有害事象:主な内訳

IAI 4週ごと投与群 25/291例(8.6%):
白内障9例(3.1%)、硝子体出血4例(1.4%)、網膜剥離3例(1.0%)、網膜血管障害、眼内炎、白内障手術各2例(0.7%)
IAI 8週ごと投与群 18/287例(6.3%):
白内障6例(2.1%)、硝子体出血3例(1.0%)、網膜剥離、嚢下白内障各2例(0.7%)、網膜動脈閉塞症、視力低下、眼内炎、眼内圧上昇、視野欠損、白内障手術各1例(0.3%)
レーザー治療群 18/287例(6.3%):
硝子体出血5例(1.7%)、糖尿病網膜症4例(1.4%)、網膜血管新生3例(1.0%)、白内障手術2例(0.7%)

すべての全身性の重篤な有害事象:主な内訳

IAI 4週ごと投与群 128/291例(44.0%):
うっ血性心不全11例(3.8%)、貧血、急性腎障害各10例(3.4%)、蜂窩織炎、脳血管イベント各9例(3.1%)、心筋梗塞8例(2.7%)
IAI 8週ごと投与群 124/287例(43.2%):
蜂窩織炎10例(3.5%)、急性腎障害9例(3.1%)、貧血、うっ血性心不全、肺炎各7例(2.4%)、脳血管イベント6例(2.1%)
レーザー治療群 116/287例(40.4%):
急性腎障害9例(3.1%)、蜂窩織炎、急性心筋梗塞各7例(2.4%)、うっ血性心不全、骨髄炎、高カリウム血症各6例(2.1%) 、脳血管イベント、腎不全各5例(1.7%)

有害事象発現例数(%)

Heier JS, et al.: Ophthalmology. 2016; 123: 2376-2385

試験概要 〈日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:VIVID-DME試験および海外第Ⅲ相試験:VISTA-DME試験(レーザー治療に対する優越性の検証)〉

目  的
DMEを有する患者を対象に、アイリーア硝子体内注射と黄斑レーザー光凝固術の有効性および安全性を3年間にわたり比較検討する(VIVID-DME試験およびVISTA-DME試験の148週の試験成績)
実施地域
VIVID-DME試験:欧州、日本、オーストラリア、73施設/VISTA-DME試験:米国、54施設
試験デザイン
無作為化二重遮蔽比較対照試験
試験対象
中心窩に及ぶDMEを有する1型または2型糖尿病患者872例
VIVID-DME試験:アイリーア4週ごと投与群136例、アイリーア8週ごと投与群135例、レーザー治療群135例
VISTA-DME試験:アイリーア4週ごと投与群156例、アイリーア8週ごと投与群154例、レーザー治療群156例
投与方法
対象患者を、アイリーア投与群(4週ごと投与群、8週ごと投与群)*およびレーザー治療群の3群に無作為に割り付けた。アイリーア4週ごと投与群1)ではアイリーア2mgを4週ごとに投与した。
アイリーア8週ごと投与群1)では、アイリーア2mgを4週ごとに5回投与した後、24週目以降は8週ごとに投与した。レーザー治療群1,2)では黄斑レーザー光凝固術による治療をベースライン時に1回行い、12週目以降はレーザー再治療基準に従い再治療を12週間に1回を超えない頻度で必要に応じて実施した(4週ごとに偽注射も実施)。
*:アイリーア投与群は初回投与日にレーザー偽照射を実施し、12週目以降にレーザー再治療基準を満たす場合はレーザー偽照射を実施した。
1) 24週目以降、追加治療基準に従い、必要に応じてレーザー治療群にはアイリーア2mg投与(4週ごと5回投与後、以降8週ごとに投与)、アイリーア投与群にはレーザー治療を実施
2) 100週目以降、レーザー治療に加え、アイリーア再投与基準に従い、必要に応じてアイリーア2mgを投与
主な評価項目
<主要評価項目> 52週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量
<副次的評価項目> 52週目にベースラインから10文字以上の視力改善がみられた患者の割合 など
解析計画
<検証的な解析> 主要評価項目(FAS):アイリーア投与群のレーザー治療群に対する優越性の検証(両側有意水準2.5%)
副次的評価項目(FAS):同上。ただし、検定の多重性を考慮し、主要評価項目で優越性が示された場合に限り、事前に定めた順序に従い検定を行う。
利益相反:
本研究はRegeneron PharmaceuticalsおよびBayer HealthCareの支援により行われた。支援には試験のデザイン作成、実施、データ解析、原稿作成などが含まれる。本論文の著者のうち7名(#1)または6名(#2)はRegeneron PharmaceuticalsあるいはBayer HealthCareの社員である。
著者にはRegeneron Pharmaceuticals、Bayer HealthCare、あるいはSantenからコンサルタント料、研究資金などを受領している者が含まれる。

効能追加承認時評価資料、Brown DM, et al.: Ophthalmology. 2015; 122: 2044-2052#1、
Heier JS, et al.: Ophthalmology. 2016; 123: 2376-2385#2

患者さんの目標視力の回復・維持のための十分な治療の重要性

患者さんの求める日常生活に応じた視力の回復・維持のために十分な治療が望まれます

日常生活に必要な視力の目安
DMEの病態におけるVEGFファミリーおよびガレクチン-1の関与とアフリベルセプトの作用機序

所敬:視覚の科学. 2007; 28: 55-59より作表

アイリーアは1ヵ月ごとに1回、連続5回硝子体内投与した後、通常は2ヵ月ごとに1回硝子体内投与します

糖尿病黄斑浮腫(DME)に対するアイリーアの承認用法・用量

用法・用量
アフリベルセプト(遺伝子組換え)として2mg(0.05mL)を1ヵ月ごとに1回、連続5回硝子体内投与する。
その後は、通常、2ヵ月ごとに1回、硝子体内投与する。
なお、症状により投与間隔を適宜調節するが、1ヵ月以上あけること。

抗VEGF薬のVEGF-VEGF受容体結合の阻害作用(IC50, in vitro)

用法・用量に関連する使用上の注意[全効能共通]
1.本剤による治療を開始するに際し、疾患・病態による視力等の予後を考慮し、本剤投与の要否を判断すること。
2.定期的に視力等に基づき有効性を評価し、有効性が認められない場合には漫然と投与しないこと。
3.両眼に治療対象となる病変がある場合は、両眼同時治療の有益性と危険性を慎重に評価した上で本剤を投与すること。なお、初回治療における両眼同日投与は避け、片眼での安全性を十分に評価した上で対側眼の治療を行うこと。

アイリーアはDME治療においても標準治療に比べ
優れた視力改善効果が確認された唯一のVEGFファミリー阻害薬です

・アフリベルセプトは、VEGF-Aのみならず、DMEの病態への関与が示唆されるPlGF*(VEGFファミリー)やガレクチン‐1とVEGF受容体との結合も阻害します1-3)

・DME治療において、アイリーアの初期5回の毎月連続投与を選択することで、標準療法に比べよりよい視力改善効果が示されました4)

・患者さんの求める日常生活に応じた視力の回復・維持のために十分な治療が望まれます

*胎盤成長因子(placental growth factor)

1)Papadopoulos N. et al.: Angiogenesis 2012; 15: 171-185 利益相反:本論文の著者全員がRegeneron Pharmaceuticals社の社員である。
2)Kanda A, et al.: Sci Rep. 2015; 5: 17946 利益相反:本研究はバイエル薬品のサポートにより実施された。
3)Kanda A, et al.: Sci Rep. 2017; 7: 16168 利益相反:本研究はバイエル薬品のサポートにより実施された。
4)効能追加承認時評価資料

PP-EYL-JP-0556-29-10

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