アイリーア治療戦略

 

RVOの治療ってどうやるの?いつまでやるの?

Vol.2 RVOにおける個別化治療の重要性
~当院の治療方針を中心に~ 志村雅彦 先生(東京医科大学八王子医療センター 眼科教授)

私の考えるRVOに伴う黄斑浮腫に対する治療方針

RVOの病態は様々で、発症後、経過観察中に自然治癒する患者もいれば、VEGF阻害薬投与後から短期間で再発を繰り返す患者も存在します。

VEGF阻害薬治療においては、患者ごとの治療反応性や薬剤有効期間等を考慮して、治療プロトコールを個別化する必要があります。

当院におけるRVOに伴う黄斑浮腫患者に対するVEGF阻害薬治療プロトコール

図

志村雅彦:あたらしい眼科. 2017;34(5):619-27

網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫に対するアイリーアの承認用法・用量は、「アフリベルセプト(遺伝子組換え)として1回あたり2mg(0.05mL)を硝子体内投与する。投与間隔は、1ヵ月以上あけること。」です。

初回投与後は2週ごとに、最長24週間、視力およびOCT mapによる黄斑浮腫をモニタリングします。

24週までに再発が認められない場合は、治癒したと判断し経過観察を終了します。

初回投与後の経過観察中に浮腫の再発による視力低下が認められた場合、その時点でVEGF阻害薬を再投与します。

再発までの期間から1週間減じた期間を「薬剤有効期間(inactivate interval)」とし、2回目以降はinactivate intervalごとに来院・注射を行い、Treat and Adjust法で1週間ずつ投与間隔を増減させながら投与を継続します(proactive投与)。

Treat and Adjust法では、診察ごとに浮腫が認められなければinactivate intervalを1週間ずつ延長し、逆に浮腫が認められれば1週間ずつ短縮します。

Evidence

18ヵ月間のアイリーアの平均投与回数はラニビズマブ群に比べて有意に少なく、平均投与間隔は有意に長いことが示されました。 

図
【安 全 性】
重篤な有害事象として、アイリーア群では心筋梗塞、大動脈瘤破裂が各1例、ラニビズマブ群では心筋梗塞が1例で発現しました。そのうち、死亡に至った重篤な有害事象はアイリーア群の心筋梗塞、大動脈瘤破裂の2例でした。試験期間中に眼内炎、網膜裂孔、網膜剥離の発現は認められませんでした。試験終了時までに7例が脱落しました。脱落理由の内訳はノンレスポンダーが2例(いずれもラニビズマブ群)、心筋梗塞が2例(アイリーア群、ラニビズマブ群各1例)、大動脈瘤破裂(アイリーア群)、BCVAの変化なし、患者希望による中止が各1例(いずれもラニビズマブ群)でした。
目  的:
網膜中心静脈閉塞症(CRVO)に伴う黄斑浮腫の治療において、アイリーアおよびラニビズマブの投与回数を前向きに比較検討する。
試験デザイン:
観察期間18ヵ月、無作為化、前向き、二重遮蔽試験
対  象:
CRVO(罹病期間12ヵ月以下)に伴う黄斑浮腫※を有する18歳超の未治療患者45例
方  法:
・アイリーア群(22例)またはラニビズマブ群(23例)に1:1の割合で無作為に割り付け、Treat and Extend投与レジメンで治療を行い、18ヵ月間観察する。
・導入期には、アイリーア2.0mg、ラニビズマブ0.5mgをそれぞれ4週ごとに3回投与し、以降は投与間隔を2週ずつ、最長12週まで延長する。
・黄斑浮腫(OCTにより網膜内液または網膜下液を検出)が認められた場合は、投与間隔を2週ずつ、最短4週まで短縮する。
評価項目:
主要評価項目:18ヵ月間の投与回数、副次的評価項目:15文字以上の視力改善がみられた患者の割合、最高矯正視力(BCVA)変化量、中心網膜厚(CRT)変化量、試験終了時の投与間隔
解析計画:
投与回数および投与間隔の解析対象は、導入期投与を完了した全患者(ITT)および全観察期間を完了した患者(PP)とする。ITTの欠測値は、LOCF法を用いて補完する。投与回数は、最後に観察した投与間隔で残りの期間を投与したと仮定し算出する。
※黄斑浮腫の定義:網膜嚢胞あり、Cirrus OCTでCRTが300μm超、BCVAがETDRSでは73~23文字、Snellen等価視力では20/320~20/40

Casselholm de Salles M et al, INJECTION FREQUENCY OF AFLIBERCEPT VERSUS RANIBIZUMAB IN A TREAT-AND-EXTEND REGIMEN FOR CENTRAL RETINAL VEIN OCCLUSION: A Randomized Clinical Trial., Retina.,
doi:10.1097/IAE.0000000000002171. https://journals.lww.com/retinajournal/pages/default.aspx © Ophthalmic Communications Society, Inc.

RVO治療は長期にわたることがある一方で、VEGF阻害薬は静脈の閉塞を開放させるのではなく、閉塞によるうっ血性漏出の抑制であること、薬効薬理期間が限られていることから、複数回投与が必要なケースがあります。

CRVOに伴う黄斑浮腫の治療における、Treat and Extend投与レジメンでのアイリーアの投与回数はラニビズマブよりも少なかったことから(図)、患者・医療従事者ともに、治療負荷、およびある程度の緊密なモニタリングの軽減も期待できると考えられます。

Q&A

再発の定義について質問です。 再発というのは、浮腫の程度で判断されているのでしょうか? 視力は関係ないのでしょうか?

再発の定義は、以前は中心網膜厚の最低値から30%増加した場合、などと言われていました。今は「黄斑浮腫が前回より悪化し、なおかつ自覚症状が悪化している場合」を臨床的な再発の定義とみなしてよいと考えています。

長年にわたり浮腫を再発される患者さんについて、いつまでVEGF阻害薬治療を継続すべきでしょうか?注射を継続すると、最終的には注射が不要な状態になることはあるのでしょうか?

全身状態が悪くなければ、VEGF阻害薬を投与すれば視力が改善するので、いつまでも継続することが理想的だと思います。しかしながら、現実的にはなかなか難しい問題です。私の経験上、だいたい2年くらいは患者さんは頑張りますが、3年目くらいには治療の継続が難しいと訴える患者さんが増えてきます。そのため、患者さんとの関係性を考えると、一般的には3年くらいが目安と考えています。その後はレーザー光凝固や硝子体手術を希望されれば実施し、そうでなければ経過観察をするという選択になると思います。

先生の施設で実施されているRVOに伴う黄斑浮腫患者に対する治療プロトコールを用いてVEGF阻害薬を投与し、投与間隔が短縮した例はありますか?

投与間隔は、変わらない患者さんが8割程度です。短くなる患者さんと長くなる患者さんは同程度ですが、どちらかと言えば、長くなる患者さんの方が多い印象です。

PP-EYL-JP-0238-18-02

ページの最上部に移動

このサイトは、弊社の医療用医薬品である眼科用VEGF阻害剤を
正しく理解・使用していただくための情報提供サイトです。
医療関係者の皆様に適正使用の推進ならびに安全性に関する情報を提供しております。
ご利用の際は、必ず 注意事項 をお読み下さい。

医療関係者の方へ

こちらは、医療関係者のためのページです。
あなたは医療関係者ですか?