アイリーア治療戦略

 

これからの滲出型AMD治療戦略
ーALTAIR試験の結果を踏まえてー

滲出型加齢黄斑変性患者における
Treat and Extendレジメンによるアイリーア硝子体内投与の有効性と安全性:
国内第Ⅳ相試験ALTAIR試験の52および96週間の結果

Efficacy and safety of intravitreal aflibercept treat-and-extend regimens
in exudative age-related macular degeneration:
52- and 96-week findings from ALTAIR
A randomized controlled trial

コメント 杏林大学医学部眼科学教室 教授 岡田 アナベル あやめ 先生

ALTAIR試験 summaryOhji M, Takahashi K, Okada AA, et al.: Adv Ther. 2020; 37: 1173-1187.

利益相反:本研究はバイエル薬品の資金によって実施され、同社は試験デザイン作成、試験実施、データ収集、データ管理、データ解析、ならびに原稿作成などに関与した。
著者のうち3名は、バイエルヘルスケアAG、バイエル薬品、あるいは参天製薬からコンサルタント料や研究助成金などを受領している。また、著者のうち3名は、バイエル薬品の社員である。

背景および目的

抗VEGF薬による滲出型加齢黄斑変性(AMD)の治療目標は、機能的、形態学的な改善を長期に渡って維持することであり、継続的に治療するためには、患者の治療負担を軽減することも重要である1,2)。Treat and Extend(T&E)レジメンは、計画的に投与間隔を調節することで、プロアクティブな個別化治療が可能であり、来院負担を軽減しつつ、良好な機能的、形態学的なアウトカムを目指す投与方法である3)
一方、最適なT&Eの方法は確立されておらず、アイリーアの投与間隔の調節方法(4週幅調節)や、最長の投与間隔(12週超)などを詳細に検討した試験の報告はない。このような状況下において、実臨床における最適なT&Eレジメンを探索する必要性が考えられた。
そこで本試験では、滲出型AMD患者において、アイリーア硝子体内投与の間隔を最短8週および最長16週として、2つの投与間隔の調節方法(2週幅調節と4週幅調節)における有効性および安全性を検討した。

対象および方法(表1)

50歳以上で、活動性の中心窩下脈絡膜新生血管(CNV)病変を伴う未治療の滲出型AMD患者を対象とした。
投与スケジュール(図1)は、導入期投与としてアイリーア(アフリベルセプトとして2mg)を3回連続毎月投与後、16週時にT&Eレジメン(図2)に基づき、アイリーア2週幅調節群と4週幅調節群に1:1になるよう無作為に割り付けた。4週幅調節群における4週短縮後は、2週間隔で調節した。主要評価項目は、52週時における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量とした。なお、すべての統計解析は探索的であり、検証的な解析は行わなかった。

表1 国内第Ⅳ相試験「ALTAIR試験」試験概要
図1 投与スケジュール
図2 ALTAIR試験のT&Eレジメンの特徴

結果

ベースラインの患者背景および疾患特性(FAS)(表2)

平均年齢は74歳、ベースライン最高矯正視力文字数は平均55.0文字、ベースラインCRTは平均378.3μmであった。

表2
最高矯正視力文字数の変化量の推移(FAS)<52週:主要評価項目>(図3)

主要評価項目である52週時において、2週幅調節群で+9.0文字、4週幅調節群で+8.4文字の変化が認められた。96週時は、それぞれ+7.6文字、+6.1文字であった。なお、96週までの投与回数は、両群ともに平均10.4回であった。

図3
CRTの変化量の推移(FAS)<52週:副次評価項目>(図4)

副次評価項目である52週時において、2週幅調節群で-134.4μm、4週幅調節群で-126.1μmの変化が認められた。96週時は、それぞれ-130.5μm、-125.3μmであった。

図4
96週までの最終投与間隔(FAS)(図5)

最終投与間隔が8週であった患者の割合は、2週幅調節群で37.4%、4週幅調節群で33.3%、16週であった患者の割合は、それぞれ41.5%、46.3%であった。12週以上に延長できていた患者の割合は、それぞれ56.9%、60.2%と、約6割の患者が12週以上に延長できていたことが示された。最終投与間隔は、それぞれ平均12.2週、12.5週であった。

図5
安全性(96週、SAS)(表3)

すべてのTEAEは2週幅調節群で85例(68.5%)、4週幅調節群で86例(69.9%)であった。試験薬に関連する重篤な有害事象として、白内障が両群ともに1例、脳血管発作が4週幅調節群で1例、試験薬に関連する投与中止に至った有害事象として、蕁麻疹が4週幅調節群で1例認められた。本試験において試験薬に関連する死亡は報告されなかった。

表3

結論

ALTAIR試験により、未治療の滲出型AMD患者に対し、2週または4週幅で投与間隔を調節する(最短8週、最長16週)アイリーアのT&Eレジメンによって、患者の治療負担を軽減しつつ、未治療の滲出型AMD患者の機能的および形態学的な変化が96週にわたって観察された。滲出型AMD患者に対する実用的かつ個別化治療を実現するアイリーアのT&Eレジメンを提供するため、機能的、解剖学的な変化や投与間隔に関する予測因子(滲出型AMDの病型、滲出液の状態など)を今後の調査により検討すべきである。

ALTAIR試験が示す滲出型AMD治療の新しい知見
  • ALTAIR試験の実施背景について

    アイリーアの滲出型AMDに対する用法及び用量では、維持期において通常、2ヵ月ごとに1回、硝子体内投与する。なお、症状(所見)により投与間隔を適宜調節するが、1ヵ月以上あけることとあります。欧米ではT&Eが主流ですが、多くのT&Eに関する報告は基本の投与間隔を2週幅で調節し、適切な投与間隔を管理する上では若干煩雑であるとの課題もありました。一方、本邦では効果持続性が長いアイリーアを用いて4週幅で調節するT&Eを実施している施設が存在し、その意義を検討するため本試験が実施されました。

  • ALTAIR試験の臨床的意義について

    本試験では2つの投与間隔のT&Eレジメン(2週幅調節群・4週幅調節群)において、両群ともに、96週までの最後の投与間隔が12週以上に延長された(Q12)患者は約6割、16週に延長された(Q16)患者は4割以上となりました。

  • ALTAIR試験の結果が与えた影響について

    本試験の結果に基づき、EUおよび韓国をはじめとするアジア諸国(日本以外)にて、プロアクティブ投与における投与間隔の延長を可能とする内容の承認が得られ、添付文書の変更が行われています。

PP-EYL-JP-0676-30-03

ページの最上部に移動