糖尿病網膜症の進行
糖尿病網膜症は、単純網膜症→増殖前網膜症→増殖網膜症と進行します。
単純網膜症
毛細血管がやぶれ始め、血管にコブができたり(毛細血管瘤(りゅう))、出血したりします(点状出血)。また、やぶれた血管から、血液や血液中の成分がもれだします。
増殖前網膜症
血管の障害が繰り返されることで血管壁が厚くなり、血管が狭くなったり、つまったりして(血管閉塞)、血液が網膜に十分に流れなくなる(虚血(きょけつ))状態です。
増殖網膜症
虚血になると、網膜では新しい血管が作られます(新生血管)。新生血管はもろく、やぶれやすいので、出血を起こすことがあります。また、硝子体(しょうしたい)に膜ができ、その膜が収縮して硝子体と網膜を癒着(ゆちゃく)させ、網膜を引っ張り、網膜剝離(はくり)を引き起こすこともあります(牽引(けんいん)性網膜剥離)。
黄斑浮腫(おうはんふしゅ)はいずれの病期においても合併することがあります。
専門医のための眼科診療クオリファイ:16 糖尿病眼合併症の新展開. 白神史雄 編. 1 網膜症 池田誠宏 著 中山書店, 17-23, 2013 より改変
画像提供:鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 感覚器病学講座 眼科学分野 教授 坂本 泰二 先生