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アイリーア8mgによるDME治療

Sustainable Disease Control(SDC)

黄斑疾患治療において、疾患活動性を示す血管新生や血管透過性亢進などの病態を持続してコントロールし、長期的に視力低下を防ぐことが重要であり、SDCとはその治療達成を目指した治療目標です。

SDCを達成するために求められる基準

監修:鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 感覚器病学講座 眼科学分野 教授 坂本 泰二 先生

アイリーア8mgの構造と作用機序

アイリーア8mgは、既承認のアイリーア[濃度40mg/mL(2mg)、投与容量0.05mL]と比べ、より高濃度(114.3mg/mL)のアフリベルセプトを含み、より高容量(0.07mL)で硝子体内投与を行う製剤です。

未熟児網膜症以外の効能及び効果における用法及び用量[未熟児網膜症:濃度40mg/mL(0.4mg)、投与容量0.01mL]

アフリベルセプトは、VEGFファミリー(VEGF-A、VEGF-B、およびPlGF)との結合メカニズムを有します。

アフリベルセプトの構造と標的因子・作用機序

VEGF受容体(VEGFR-1、VEGFR-2):受容体型チロシンキナーゼの一種

監修:北海道大学 大学院医学研究院 眼科学教室 教授 石田 晋 先生


日本人を含む第Ⅱ/Ⅲ相国際共同試験:PHOTON試験
(アフリベルセプト2mgに対する非劣性の検証)

PHOTON試験ロゴ

バイエル薬品社内資料[日本人を含む第Ⅱ/Ⅲ相国際共同試験:PHOTON試験]承認時評価資料

試験概要

【実施地域】日本、欧州、北米の7ヵ国、138施設

目的

DME患者を対象に、アイリーア8mg12週間隔または16週間隔投与による有効性についてアフリベルセプト2mg8週間隔投与に対する非劣性を検証するとともに、安全性についても検討する

試験対象

DME患者660例(うち日本人:74例)

[主な選択基準]

  • 試験眼においてスクリーニング来院時に読影施設で測定したCRTがSD-OCTで300μm以上(またはSpectralis SD-OCTで320μm以上)、中心窩に及ぶDMEを有する、1型または2型糖尿病の18歳以上の男女
  • 試験眼のETDRS視力表による最高矯正視力文字数が78~24文字(スネレン視力で20/32~20/320)であり、視力低下の主な原因がDMEである など

[主な除外基準]

  • いずれかの眼に糖尿病以外の原因による黄斑浮腫が認められる
  • 試験眼に活動性の増殖糖尿病網膜症が認められる
  • スクリーニング来院前12週以内に試験眼に汎網膜光凝固術または黄斑光凝固術による治療歴を有する
  • スクリーニング来院前12週以内に試験眼に抗VEGF薬の硝子体内投与による治療歴を有する
  • スクリーニング来院前16週以内に試験眼に副腎皮質ステロイドの眼内投与または眼周囲投与、あるいは時期を問わず副腎皮質ステロイドの硝子体内インプラント※1による治療歴を有する
  • 試験眼に網膜硝子体手術(強膜バックリングを含む)による治療歴を有する
  • 試験眼の眼圧が25mmHg以上
  • 試験眼に特発性または自己免疫性ぶどう膜炎の既往歴を有する
  • スクリーニング来院前12週以内に、いずれかの眼に、眼内の炎症または感染を有する
  • コントロール不良の糖尿病(HbA1c 12%超)を有する
  • コントロール不良の高血圧(収縮期血圧160mmHg超または拡張期血圧95mmHg超)を有する
  • スクリーニング来院前24週以内に脳血管発作または心筋梗塞の既往歴を有する
  • 腎不全、透析または腎移植歴を有する など

※1 本邦において未承認かつ未発売

試験デザイン

無作為化二重遮蔽実薬対照比較試験

投与方法

対象患者をアフリベルセプト2mg8週間隔投与群、アイリーア8mg12週間隔投与群、アイリーア8mg16週間隔投与群の3群に1:2:1の比で無作為に割り付け※2、硝子体内投与した。試験薬の投与は片眼のみに実施した。

  • 2mg8週間隔投与群:アフリベルセプト2mgを4週間隔で連続5回投与後、8週間隔で投与
  • 8mg12週間隔投与群:アイリーア8mgを4週間隔で連続3回投与後、12週間隔で投与
  • 8mg16週間隔投与群:アイリーア8mgを4週間隔で連続3回投与後、16週間隔で投与

8mg12週間隔投与群および16週間隔投与群の試験薬投与の詳細は、下部の「投与スケジュール、用法用量の変更」を参照のこと。

※2 ベースラインのCRT(400μm未満、400μm以上)、過去のDME治療(あり、なし)および地域(日本、その他の地域)に基づき層別化した。

主な有効性評価項目

主要評価項目:
48週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量

主な副次評価項目:
60週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量 など

その他の副次評価項目:
48週目におけるCRTのベースラインからの変化量 など

探索的評価項目:

  • 8mg12週間隔投与群において48週目および60週目まで投与間隔が12週間隔以上であった患者の割合
  • 8mg16週間隔投与群において48週目および60週目まで投与間隔が16週間隔以上であった患者の割合
  • その他の副次評価項目(48週目の評価)に設定した評価項目の60週目の評価 など
主な安全性評価項目

有害事象、副作用、重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象、死亡、眼内炎症反応、眼圧上昇事象、眼圧上昇の程度、高血圧事象、APTC定義による動脈血栓塞栓事象 など

事前に規定されたその他の評価項目
  • 8mg12週間隔投与群および8mg16週間隔投与群において16週目または20週目に投与間隔が8週間隔へ短縮となった患者の割合
  • 8mg12週間隔投与群および8mg16週間隔投与群において48週目および60週目までにいずれかの時点で投与間隔が短縮となった患者の割合
  • 8mg12週間隔投与群において48週目および60週目に次回予定された投与間隔が12週間隔以上であった患者の割合 
  • 8mg16週間隔投与群において48週目および60週目に次回予定された投与間隔が16週間隔以上であった患者の割合
  • 48週目および60週目までの投与回数 など
解析計画

検証的な解析

主要評価項目および主な副次評価項目において、検定全体のfamily-wiseの第1種の過誤確率を0.025(片側検定)に制御した。主要評価項目および主な副次評価項目における検定の多重性の調整には、下記の階層的検定手順を用い、より上位の階層にランク付けされた仮説を棄却した後にのみ、有意水準0.025(片側)で続く下位の仮説の検定を可能とした※3

PHOTON試験:階層的検定手順

いずれも2mg8週間隔投与群に対する比較検定 
階層的検定手順に基づく仮説はすべての患者が60週目を完了(または早期中止)した後に評価した。 
主要評価項目を含む48週目までの有効性評価について、60週目完了後のデータによる再解析は実施しなかった。

※3 ⑥において非劣性が検証されなかったため、以降の仮説の検定は実施しなかった。

主要評価項目(FAS):
8mg12週間隔投与群および8mg16週間隔投与群の2mg8週間隔投与群に対する非劣性の検証(非劣性限界値-4文字)

主な副次評価項目(FAS):
「60週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量」は主要評価項目と同一の方法により解析

探索的な解析

その他の副次評価項目(FAS)、探索的評価項目(FAS、SAF)、事前に規定されたその他の評価項目(SAF) など

CRT(central retinal thickness):中心網膜厚、SD-OCT(spectral domain optical coherence tomography):スペクトラルドメイン光干渉断層撮影、 
ETDRS(Early Treatment Diabetic Retinopathy Study):糖尿病網膜症早期治療研究、APTC(Antiplatelet Trialists’ Collaboration)、DRSS(diabetic retinopathy severity scale):糖尿病網膜症重症度尺度

中心網膜厚:中心窩領域の網膜厚  
中心窩領域:中心窩から直径1mmの範囲 
FAS(full analysis set):最大の解析対象集団。無作為化され、少なくとも1回の試験薬投与を受けたすべての患者。無作為割り付けされた群に基づき解析を行った。 
SAF(safety analysis set):安全性解析対象集団。無作為化され、少なくとも1回の試験薬投与を受けたすべての患者。実際の投与に基づき解析を行った。

投与スケジュール、用法用量の変更

8mg12週間隔投与群および16週間隔投与群では、16週目以降、DRM基準に従い投与間隔を変更した。

PHOTON試験:投与スケジュール、用法用量の変更

DRM(dose regimen modification):用法用量変更

DRM基準(短縮:16週目以降):
「DMEの遷延または悪化による最高矯正視力文字数の12週目からの10文字超低下」かつ「CRTの12週目からの50μm超増加」

DRM基準(延長:52週目以降):
「最高矯正視力文字数の12週目からの低下が5文字未満」かつ「CRTがOCTで300μm未満

※ SD-OCTで300μm未満(Spectralis SD-OCTでは320μm未満)

投与間隔の短縮および延長の基準のいずれも満たさなかった患者は投与間隔を維持した。

糖尿病黄斑浮腫の用法及び用量  
アフリベルセプト(遺伝子組換え)として8mg(0.07mL)を4週ごとに1回、通常、連続3回(導入期)硝子体内投与するが、症状により投与回数を適宜減じる。その後の維持期においては、通常、16週ごとに1回、硝子体内投与する。なお、症状により投与間隔を適宜調節するが、8週以上あけること。

患者背景および特性(FAS)

PHOTON試験:患者背景および特性(FAS)

※1 無作為化された日―糖尿病診断日 
※2 SAFを対象とする 
※3 EDC調べ 
※4 読影施設で評価した

FA(fluorescein angiography):蛍光眼底造影、EDC(electronic data capture):電子データ収集

主要評価項目 
48週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量は、8mg12週間隔投与群で+8.1文字、8mg16週間隔投与群で+7.2文字であり、2mg8週間隔投与群(+8.7文字)に対する非劣性が検証されました

最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量(MMRM、FAS)

PHOTON試験:最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量(MMRM、FAS)

その他の副次評価項目
48週目におけるCRTのベースラインからの変化量は、8mg12週間隔投与群で-176.8μm、8mg16週間隔投与群で-148.8μm、2mg8週間隔投与群で-164.9μmでした

CRTのベースラインからの変化量(MMRM、FAS)

PHOTON試験:CRTのベースラインからの変化量(MMRM、FAS)

探索的評価項目 
8mg12週間隔投与群において48週目まで投与間隔が12週間隔であった患者の割合は91.0%、8mg16週間隔投与群において48週目まで投与間隔が16週間隔であった患者の割合は89.1%でした

8mg12週間隔投与群において48週目まで投与間隔が12週間隔以上であった患者の割合(SAF※1

PHOTON試験:グラフ

8mg16週間隔投与群において48週目まで投与間隔が16週間隔以上であった患者の割合(SAF※1

PHOTON試験:グラフ

48週目までに投与間隔が短縮となった患者の割合、次回予定された投与間隔別の患者の割合(SAF※1
(事前に規定されたその他の評価項目)

PHOTON試験:表

例数(%)

※1 SAFのうち48週目までの投与を完了した患者のみ
※2 12週間隔までしか短縮されなかった患者、および12週間隔まで短縮され、さらに8週間隔まで短縮された患者を含む
※3 48週目までの最終来院日における評価に基づく投与間隔

探索的評価項目 
8mg12週間隔投与群において60週目まで投与間隔が12週間隔であった患者の割合は90.3%、8mg16週間隔投与群において60週目まで投与間隔が16週間隔であった患者の割合は85.5%でした

8mg12週間隔投与群において60週目まで投与間隔が12週間隔以上であった患者の割合(SAF※1

PHOTON試験:グラフ

8mg16週間隔投与群において60週目まで投与間隔が16週間隔以上であった患者の割合(SAF※1

PHOTON試験:グラフ

60週目までに投与間隔が短縮となった患者の割合、次回予定された投与間隔別の患者の割合(SAF※1
(事前に規定されたその他の評価項目)

PHOTON試験:表

例数(%)

※1 SAFのうち60週目までの投与を完了した患者のみ
※2 60週目までの最終来院日における評価に基づく投与間隔

事前に規定されたその他の評価項目   
試験眼に対する投与回数は、48週目では8mg12週間隔投与群で5.7回、8mg16週間隔投与群で4.9回、2mg8週間隔投与群で7.7回、60週目ではそれぞれ6.6回、5.9回、9.5回でした

48週目および60週目までの投与回数(試験眼、SAF)

PHOTON試験:48週目および60週目までの投与回数(試験眼、SAF)のグラフ

※ 偽注射を除く投与回数

Safety  
60週間において、すべての有害事象は8mg12週間隔投与群で328例中245例(74.7%)、8mg16週間隔投与群で163例中126例(77.3%)、2mg8週間隔投与群で167例中123例(73.7%)に認められました

有害事象(60週間、SAF)

PHOTON試験:有害事象(60週間、SAF)の表

発現例数(発現割合%)

Safety 
60週間において、各群の主な有害事象、試験薬に関連する重篤な有害事象、試験薬に関連する投与中止に至った有害事象、試験薬に関連する死亡は以下の通りでした

主な有害事象(60週間、SAF)

8mg12週間隔投与群: 
高血圧30例(9.1%)、COVID-19が24例(7.3%)、硝子体浮遊物18例(5.5%)、結膜出血14例(4.3%)、上咽頭炎13例(4.0%)、硝子体剥離、貧血、頭痛が各10例(3.0%)

8mg16週間隔投与群: 
高血圧25例(15.3%)、COVID-19が18例(11.0%)、白内障9例(5.5%)、貧血8例(4.9%)、結膜出血、上咽頭炎、糖尿病が各7例(4.3%)、点状角膜炎、網膜出血、硝子体浮遊物、下痢が各6例(3.7%)、尿路感染、高カリウム血症、関節痛が各5例(3.1%)

2mg8週間隔投与群: 
高血圧18例(10.8%)、COVID-19、上咽頭炎が各7例(4.2%)、結膜出血、眼圧上昇、糖尿病が各6例(3.6%)、尿路感染、頭痛、急性腎障害、急性呼吸不全が各5例(3.0%)

試験薬に関連する投与中止に至った有害事象(60週間、SAF)

8mg12週間隔投与群:虹彩炎1例 
8mg16週間隔投与群:本試験においては認められなかった 
2mg8週間隔投与群:本試験においては認められなかった

試験薬に関連する重篤な有害事象、試験薬に関連する死亡(60週間、SAF)

本試験においては認められなかった

MedDRA ver.25.0

EDCの設定上の不具合とデータハンドリング上の問題により、外国人患者における2例6件の有害事象(いずれも非重篤、試験薬または投与手技との関連なし)がデータセットに反映されなかった。これらの事象は有害事象の集計に含まれていないものの、安全性の評価に影響はないと判断した。

※ 1例[白内障2件(うち1件が試験眼)、硝子体剥離2件(うち1件が試験眼)、および副鼻腔炎1件]、1例[鼻閉1件]


まとめ

黄斑疾患治療において、疾患活動性を示す血管新生や血管透過性亢進などの病態を持続してコントロールし、長期的に視力低下を防ぐことが重要であり、SDCとはその治療達成を目指した治療目標です

SDCを達成するために求められる基準(まとめ)

監修:鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 感覚器病学講座 眼科学分野 教授 坂本 泰二 先生

アイリーア8mgは、既承認のアイリーア[濃度40mg/mL(2mg)、投与容量0.05mL]※1と比べ、より高濃度(114.3mg/mL)のアフリベルセプトを含み、より高容量(0.07mL)で硝子体内投与を行う製剤です

※1

未熟児網膜症以外の効能及び効果における用法及び用量[未熟児網膜症:濃度40mg/mL(0.4mg)、投与容量0.01mL]

DME患者において、アイリーア8mg12週間隔投与群および16週間隔投与群の48週目の視力改善効果は、アフリベルセプト2mg8週間隔投与群に対して非劣性であることが検証されました。48週目までの平均投与回数は、アイリーア8mg12週間隔投与群および16週間隔投与群でそれぞれ5.7回、4.9回、アフリベルセプト2mg8週間隔投与群で7.7回でした(第Ⅱ/Ⅲ相試験:PHOTON試験)。

アイリーア8mg12週間隔投与群および16週間隔投与群では、4週間隔で連続3回投与後、12週間隔および16週間隔で硝子体内投与した(ただし、16週目以降、DRM基準に従い投与間隔を変更した)。アフリベルセプト2mg8週間隔投与群では、4週間隔で連続5回投与後、8週間隔で硝子体内投与した。

DMEの維持期において、通常、16週ごとに1回の硝子体内投与が可能です※2
DME患者において、アイリーア8mg16週間隔投与群の48週目および60週目まで投与間隔が16週間隔であった患者の割合はそれぞれ89.1%、85.5%でした(第Ⅱ/Ⅲ相試験:PHOTON試験)。

※2

糖尿病黄斑浮腫の用法及び用量:アフリベルセプト(遺伝子組換え)として8mg(0.07mL)を4週ごとに1回、通常、連続3回(導入期)硝子体内投与するが、症状により投与回数を適宜減じる。その後の維持期においては、通常、16週ごとに1回、硝子体内投与する。なお、症状により投与間隔を適宜調節するが、8週以上あけること。

重大な副作用注)として、眼障害(眼内炎、眼圧上昇、硝子体はく離、外傷性白内障、網膜出血、網膜色素上皮裂孔、硝子体出血、網膜はく離、網膜裂孔、網膜色素上皮はく離)、脳卒中、主な副作用として結膜出血、眼痛などがあらわれることがあります。
電子添文の副作用および臨床成績の安全性の結果をご参照ください。

注)

投与手技に起因する有害事象を含む。