治療アドヒアランス向上を目指したアイリーア8mgによる初期治療の可能性
nAMD (neovascular age-related macular degeneration):滲出型加齢黄斑変性
アイリーア8mgの承認された効能又は効果(抜粋):中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性
黄斑疾患治療において、疾患活動性を示す血管新生や血管透過性亢進などの病態を持続してコントロールし、長期的に視力低下を防ぐことが重要であり、Sustainable Disease Control(SDC)とはその治療達成を目指した治療目標です

アイリーア(2mg)のT&Eレジメンを用いたALTAIR試験

Ohji M, et al.: Adv Ther. 2020; 37: 1173–1187.
ALTAIR試験 社内資料
利益相反:Ohji M, et al.: Adv Ther. 2020; 37: 1173–1187. 本研究はバイエル薬品の資金によって実施され、同社は試験デザイン作成、試験実施、データ収集、データ管理、データ解析、ならびに原稿作成などに関与した。著者のうち3名は、バイエルヘルスケアAG、バイエル薬品、あるいは参天製薬からコンサルタント料や研究助成金等を受領している。また、著者のうち3名は、バイエル薬品の社員である。
試験概要
目的
nAMD患者において、アイリーア(2mg)硝子体内投与の間隔を最短8週および最長16週として、2つの投与間隔の調節方法(2週幅調節と4週幅調節)における有効性および安全性を検討する。
試験対象
50歳以上で、活動性の中心窩下CNV病変を伴う未治療nAMD患者
(ETDRS視力表による最高矯正視力文字数が73~25文字、スネレン視力20/40~20/320相当)
試験デザイン
96週、無作為化、多施設共同(国内41施設)、オープンラベル、第Ⅳ相臨床試験
投与方法
導入期投与としてアイリーア(アフリベルセプトとして2mg)を3回連続毎月投与後、16週時にT&Eレジメンに基づき、アイリーア(2mg)2週幅調節群と4週幅調節群に1:1になるよう無作為に割り付けた。アイリーア(2mg)4週幅調節群における4週短縮後は、2週間隔で調節した。
評価例数
安全性解析対象集団(SAS):254例(2週幅調節群:124例、4週幅調節群:123例、無作為化割付前脱落:7例)
最大の解析対象集団(FAS):246例(2週幅調節群:123例、4週幅調節群:123例)
主な評価項目
主要評価項目:52週時における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量
投与に関する評価項目:最終投与時の投与間隔 など
安全性評価項目:治療下で発現した有害事象(TEAE)、すべての有害事象 など
解析計画
探索的な解析
- 主要評価項目、投与に関する評価項目:FAS
- 安全性評価項目:SAS
すべての統計解析は探索的であり、検証的な解析は行わなかった。記述的に統計学的な比較を可能とする例数設計に基づき、両群が達成したアウトカムを記述した。なお、欠測値はLOCF法によって補完した。
T&E:Treat and Extend、CNV(choroidal neovascularization):脈絡膜新生血管、ETDRS(Early Treatment Diabetic Retinopathy Study):糖尿病網膜症早期治療研究、 LOCF(Last observation carried forward):最終評価スコア外挿法
● SAS(safety analysis set):無作為化割付前に1回以上試験薬の投与を受けたすべての患者
● FAS(full analysis set):無作為化割付後に1回以上試験薬の投与を受け、ベースラインと無作為化割付後に1回以上の最高矯正視力の評価を受けたすべての患者
● TEAE(Treatment-emergent adverse event):初回投与から最終投与後30日以内に生じた有害事象
アイリーア(2mg):中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性の用法及び用量
アフリベルセプト(遺伝子組換え)として2mg(0.05mL)を1ヵ月ごとに1回、連続3回(導入期)硝子体内投与する。その後の維持期においては、通常、2ヵ月ごとに1回、硝子体内投与する。なお、症状により投与間隔を適宜調節するが、1ヵ月以上あけること。
96週までの最終投与間隔が8週であった患者の割合は、アイリーア(2mg)2週幅調節群で37.4%、4週幅調節群で33.3%であり、16週であった患者の割合はそれぞれ41.5%、46.3%でした
[主要評価項目(52週):FAS]
52週時における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量(平均値)は、アイリーア(2mg)2週幅調節群で+9.0文字、4週幅調節群で+8.4文字でした
96週までの最終投与間隔[投与に関する評価項目:FAS]
![Title 96週までの最終投与間隔[投与に関する評価項目:FAS]](/sites/g/files/vrxlpx7866/files/2025-07/8mg_improved-treatment-adherence_02.jpg)
Ohji M, et al.: Adv Ther. 2020; 37: 1173–1187.
96週間において、すべてのTEAEはアイリーア(2mg)2週幅調節群で124例中85例(68.5%)、4週幅調節群で123例中86例(69.9%)に認められました
安全性(96週):SAS
各群で2%以上発現した眼に関連するTEAEは、アイリーア(2mg)2週幅調節群で白内障7例(5.6%)、結膜出血4例(3.2%)、ドライアイ、網膜色素上皮裂孔が各3例(2.4%)、4週幅調節群で白内障10例(8.1%)、結膜出血8例(6.5%)、ドライアイ6例(4.9%)であった1)
各群で3%以上発現した全身性のTEAEは、アイリーア(2mg)2週幅調節群で鼻咽頭炎26例(21.0%)、便秘4例(3.2%)、4週幅調節群で鼻咽頭炎20例(16.3%)、便秘7例(5.7%)、大腸ポリープ、インフルエンザ、挫傷、高血圧が各4例(3.3%)であった1)
試験薬に関連する重篤な有害事象は、アイリーア(2mg)2週幅調節群で白内障1例、4週幅調節群で白内障、脳血管発作が各1例であった2)
試験薬に関連する投与中止に至った有害事象は、アイリーア(2mg)4週幅調節群で蕁麻疹1例であった2)
本試験において、試験薬に関連する死亡は認められなかった2)
MedDRA ver.19.1
1)Ohji M, et al.: Adv Ther. 2020; 37: 1173–1187.
2)ALTAIR試験 社内資料
nAMDおよびDME患者さん、ならびに介助者さんにより報告された治療アドヒアランスの障壁は、痛みを含む副作用が最も多く、次いで注射への恐怖/不安でした(海外データ)
nAMDおよびDME患者、介助者および網膜専門医により報告された治療アドヒアランスの障壁※

※ 患者、介助者、網膜専門医のいずれかで10%以上となった19項目のうちの11項目を示す
対象
米国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリアまたはスペインで6ヵ月以内に抗VEGF薬の硝子体内投与を受け、12ヵ月以上の治療経験がある18歳以上の患者94例(nAMD:49例、DME:46例)および18歳以上のその介助者79名(nAMD:47名、DME:33名)、ならびに12ヵ月以内に30例以上のnAMDまたはDME患者に対して抗VEGF薬の硝子体内投与を行い、5年以上の経験を有する網膜専門医62名
方法
患者、介助者および網膜専門医に対し、1対1の電話によるインタビューを実施した。インタビューは半構造化インタビューガイドに従い実施され、自由回答式の質問が含まれた。インタビューにより得られたデータはグラウンデッド・セオリーに基づくテーマ分析アプローチを使用し、概念の頻度に基づき統合した。患者および介助者の10%以上、または網膜専門医の5名以上により報告された概念を結果として報告した。
利益相反
著者にBayerおよびRegeneronからコンサルタント料、講演料等を受領している者が含まれる。
本ページでは、nAMDは新生血管型AMDを指す。
Giocanti-Aurégan A, et al.: Patient Prefer Adherence. 2022; 16: 587-604.
近年のnAMDの大規模臨床試験における課題の1つとして、対象患者に占める白人以外の人種、例えばアジア人の割合が限られることが挙げられます
PULSAR試験におけるアジア人の割合は23.2%でした
nAMDの大規模臨床試験の対象患者に占める各人種の割合(2006年~2023年)1)

※ 報告なし
1)Ibrahim FN, et al.: Eye (Lond). 2025; 39: 1249-1253.
2)Rosenfeld PJ, et al.: N E ngl J Med. 2006; 355: 1419-1431.
3)Brown DM, et al.: N E ngl J Med. 2006; 355: 1432-1444.
4)Heier JS, et al.: Ophthalmology. 2012; 119: 2537-2548.
5)Dugel PU, et al.: Ophthalmology. 2020; 127: 72-84.
6)Heier JS, et al.: Lancet. 2022; 399: 729-740.
7)Lanzetta P, et al.: Lancet. 2024; 403: 1141-1152.
日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:PULSAR試験(アフリベルセプト2mgに対する非劣性の検証)

バイエル薬品社内資料[日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:PULSAR試験]承認時評価資料、電子添文改訂時評価資料(96週)
Lanzetta P, et al.: Lancet. 2024; 403: 1141-1152.
試験概要
【実施地域】アジア太平洋地域(日本含む)、オーストラリア、欧州、中東、南米、北米の27ヵ国、251施設
目的
中心窩下CNVを伴うnAMD患者を対象に、アイリーア8mg12週間隔または16週間隔投与による有効性についてアフリベルセプト2mg8週間隔投与に対する非劣性を検証するとともに、安全性についても検討する
試験対象
中心窩下CNVを伴うnAMD患者1,012例※1(うち日本人:98例)
※1
48および60週目解析では試験薬投与を受けていない1例の患者が無作為割り付け例数に含まれていなかった。
[主な選択基準]
- 試験眼において評価されたnAMDに続発する中心窩下CNVの活動性病変(中心窩に影響を及ぼす傍中心窩病変を含む)を有する50歳以上の男女
- 試験眼の総CNV病変面積(classicおよびoccultの両CNV病変を含む)が病変全体の50%を超える
- 試験眼のETDRS視力表による最高矯正視力文字数が78〜24文字(スネレン視力で20/32〜20/320)であり、nAMDが主な原因であると判断される最高矯正視力文字数の減少がある
- OCTで、試験眼の中心窩領域に影響を及ぼすIRFおよび/またはSRFが認められる など
[主な除外基準]
- 試験眼に、nAMD以外の原因によるCNVを有する
- 試験眼に、蛍光眼底造影により評価した総病変面積が12視神経乳頭面積(12視神経乳頭面積は30.5mm2とし、病変には出血、瘢痕、新生血管を含む)を超える
- 試験眼にコントロール不良の緑内障(抗緑内障薬による治療にもかかわらず眼圧が25mmHgを超える場合)を有する
- 試験眼に特発性または自己免疫性ぶどう膜炎の既往歴を有する
- スクリーニング来院前12週以内に、いずれかの眼に、眼内の炎症または感染を有する
- 試験眼に対する血管新生阻害薬による治療歴を有する
- いずれかの眼における、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫またはnAMD以外の網膜血管疾患の既往歴または臨床所見を有する
- コントロール不良の高血圧(収縮期血圧160mmHg超または拡張期血圧95mmHg超)を有する
- スクリーニング来院前24週以内に脳血管発作または心筋梗塞の既往歴を有する など
試験デザイン
無作為化二重遮蔽実薬対照比較試験
投与方法
対象患者をアフリベルセプト2mg8週間隔投与群、アイリーア8mg12週間隔投与群、アイリーア8mg16週間隔投与群の3群に1:1:1の 比で無作為に割り付け※2、硝子体内投与した。試験薬の投与は片眼のみに実施した。
- 2mg8週間隔投与群:アフリベルセプト2mgを4週間隔で連続3回投与後、8週間隔で投与
- 8mg12週間隔投与群:アイリーア8mgを4週間隔で連続3回投与後、12週間隔で投与
- 8mg16週間隔投与群:アイリーア8mgを4週間隔で連続3回投与後、16週間隔で投与
8mg12週間隔投与群および16週間隔投与群の試験薬投与の詳細は、下部の「投与スケジュール、用法用量の変更」を参照のこと。
※2
地域(日本、その他の地域)およびベースラインの最高矯正視力文字数(60文字未満、60文字以上)に基づき層別化した。
主な有効性評価項目
主要評価項目:
48週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量
主な副次評価項目:
60週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量 など
その他の副次評価項目:
48週目におけるCRTのベースラインからの変化量 など
探索的評価項目:
8mg12週間隔投与群において48週目まで投与間隔が12週間隔以上であった患者の割合
8mg16週間隔投与群において48週目まで投与間隔が16週間隔以上であった患者の割合
その他の副次評価項目(48週目の評価)に設定した評価項目の60週目の評価 など
主な安全性評価項目
有害事象、副作用、重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象、死亡、眼内炎症反応、眼圧上昇事象、眼圧上昇の程度、高血圧事象、APTC定義による動脈血栓塞栓事象 など
事前に規定されたその他の評価項目
48週目までの投与回数 など
解析計画
主要評価項目および主な副次評価項目において、検定全体のfamily-wiseの第1種の過誤確率を0.025(片側検定)に制御した。主要評価項目および主な副次評価項目における検定の多重性の調整には、下記の階層的検定手順を用い、より上位の階層にランク付けされた仮説を棄却した後にのみ、有意水準0.025(片側)で続く下位の仮説の検定を可能とした※3。

いずれも2mg8週間隔投与群に対する比較検定
階層的検定手順に基づく仮説はすべての患者が60週目を完了(または早期中止)した後に評価した。
主要評価項目を含む48週目までの有効性評価について、60週目完了後のデータによる再解析は実施しなかった。
※3 ⑥において優越性が示されなかったため、検定を終了した。
検証的な解析(第1種の過誤を考慮し、検出力を考慮し例数設計された解析)
主要評価項目(FAS):
8mg12週間隔投与群および8mg16週間隔投与群の2mg8週間隔投与群に対する非劣性の検証(非劣性限界値-4文字)
第1種の過誤を考慮した解析(検出力を考慮した例数設計はされていない)
主な副次評価項目(FAS):
「60週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量」は主要評価項目と同一の方法により解析
探索的な解析
その他の副次評価項目(FAS)、探索的評価項目(FAS、SAF)、事前に規定されたその他の評価項目(SAF)、
部分集団解析:日本人の部分集団解析 など
利益相反
Lanzetta P, et al.: Lancet. 2024; 403: 1141-1152.
本研究はRegeneronおよびBayerの資金提供により実施され、両社は試験デザイン作成、データ収集、データ解析、原稿作成などに関与した。
著者のうち9名はRegeneronの社員、5名はBayerの社員であり、その他の著者にBayerおよびRegeneronからコンサルタント料、研究資金 等を受領している者が含まれる。
CNV(choroidal neovascularization):脈絡膜新生血管、ETDRS(Early Treatment Diabetic Retinopathy Study):糖尿病網膜症早期治療研究、OCT(optical coherence tomography):光干渉断層計、IRF(intraretinal fluid):網膜内液、SRF(subretinal fluid):網膜下液、CRT(central retinal thickness):中心網膜厚、APTC(Antiplatelet Trialists’ Collaboration)
● 中心窩領域:中心窩から直径1mmの範囲
● 中心網膜厚:中心窩領域の網膜厚
● FAS(full analysis set):最大の解析対象集団。無作為化され、少なくとも1回の試験薬投与を受けたすべての患者。無作為割り付けされた群に基づき解析を行った。
● SAF(safety analysis set):安全性解析対象集団。無作為化され、少なくとも1回の試験薬投与を受けたすべての患者。実際の投与に基づき解析を行った。
投与スケジュール、用法用量の変更
8mg12週間隔投与群および16週間隔投与群では、16週目以降、DRM基準に従い投与間隔を変更した。

DRM(dose regimen modification):用法用量変更
DRM基準(短縮:16週目以降):
「最高矯正視力文字数の12週目からの5文字超低下」かつ「CRTの12週目からの25µm超増加、または中心窩に新たな出血、または新たな新生血管が発現」
DRM基準(延長:52週目以降):
「最高矯正視力文字数の12週目からの低下が5文字未満」かつ「OCTで中心窩領域に滲出液が認められない」かつ「中心窩に新たな出血および新生血管の発現がない」
投与間隔の短縮および延長の基準のいずれも満たさなかった患者は投与間隔を維持した。
アイリーア8mg:中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性の用法及び用量
アフリベルセプト(遺伝子組換え)として8mg(0.07mL)を4週ごとに1回、通常、連続3回(導入期)硝子体内投与するが、症状により投与回数を適宜減じる。その後の維持期においては、通常、16週ごとに1回、硝子体内投与する。なお、症状により投与間隔を適宜調節するが、8週以上あけること。
Focus on Vision Gain
主要評価項目
(検証的解析結果)
48週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量は、8mg12週間隔投与群で+6.1文字、8mg16週間隔投与群で+5.9文字であり、2mg8週間隔投与群(+7.0文字)に対する非劣性が検証されました
最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量(MMRM、FAS)

※1 実測値 ※2 各群−2mg8週間隔投与群 ※3 非劣性(非劣性限界値-4文字)の片側検定
階層的検定手順に従い、下位の「8mg投与群併合の中心窩領域にIRFおよびSRFが認められなかった患者の16週目における優越性」は示されたが、続く「8mg12週間隔投与群の最高矯正視力の48週目における優越性」が示されなかったため、検定を終了した。
●
MMRM(mixed model for repeated measurements):反復測定混合効果モデル。ベースラインの最高矯正視力文字数を共変量、投与群、来院および層別因子[地域(日本、その他の地域)、ベースラインの最高矯正視力文字数(60文字未満、60文字以上)]を固定効果とし、ベースラインの最高矯正視力文字数と来院の交互作用項、投与群と来院の交互作用項を含む。
日本人
部分集団解析
日本人集団の48週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの 変化量は、8mg12週間隔投与群で+6.1文字、8mg16週間隔投与群で +7.5文字、2mg8週間隔投与群で+4.3文字でした
最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量(MMRM、FAS)

※1 実測値 ※2 各群ー2mg8週間隔投与群
●
MMRM:ベースラインの最高矯正視力文字数を共変量、投与群、来院および層別因子[ベースラインの最高矯正視力文字数(60文字未満、60文字以上)]を固定効果とし、ベースラインの最高矯正視力文字数と来院の交互作用項、投与群と来院の交互作用項を含む。
Focus on Fluid Status
その他の
副次評価項目
48週目におけるCRTのベースラインからの変化量は、8mg12週間隔投与群で -147.4μm、8mg16週間隔投与群で-146.8μm、2mg8週間隔投与群で-136.3μmでした
CRTのベースラインからの変化量(MMRM、FAS)

※1 実測値 ※2 各群−2mg8週間隔投与群
●
MMRM:ベースラインのCRTを共変量、投与群、来院および層別因子[地域(日本、その他の地域)、ベースラインの最高矯正視力文字数(60文字未満、60文字以上)]を固定効果とし、ベースラインのCRTと来院の交互作用項、投与群と来院の交互作用項を含む。
日本人
部分集団解析
日本人集団の48週目におけるCRTのベースラインからの変化量は、8mg12週間隔投与群で-125.1μm、8mg16週間隔投与群で-139.9μm、2mg8週間隔投与群で-104.0μmでした
CRTのベースラインからの変化量(MMRM、FAS)

※1 実測値 ※2 各群ー2mg8週間隔投与群
●
MMRM:ベースラインのCRTを共変量、投与群、来院および層別因子[ベースラインの最高矯正視力文字数(60文字未満、60文字以上)]を固定効果とし、ベースラインのCRTと来院の交互作用項、投与群と来院の交互作用項を含む。
Focus on Treatment Burden
探索的評価項目
8mg12週間隔投与群において48週目まで投与間隔が12週間隔であった患者の割合は79.4%でした
8mg12週間隔投与群において48週目まで投与間隔が12週間隔以上であった患者の割合(SAF※)

Lanzetta P, et al.: Lancet. 2024; 403: 1141-1152.
縦の白線は来院、横の白線は患者10例を示す
※ SAFのうち48週目までの投与を完了した患者のみ
探索的評価項目
8mg16週間隔投与群において48週目まで投与間隔が16週間隔であった患者の割合は76.6%でした
8mg16週間隔投与群において48週目まで投与間隔が16週間隔以上であった患者の割合(SAF※)

Lanzetta P, et al.: Lancet. 2024; 403: 1141-1152.
縦の白線は来院、横の白線は患者10例を示す
※ SAFのうち48週目までの投与を完了した患者のみ
日本人
部分集団解析
日本人集団の8mg12週間隔投与群において48週目まで投与間隔が12週間隔であった患者の割合は82.1%、8mg16週間隔投与群において48週目まで投与間隔が16週間隔であった患者の割合は93.8%でした
8mg12週間隔投与群における48週目までの最終投与間隔の分布(SAF※)

8mg16週間隔投与群における48週目までの最終投与間隔の分布(SAF※)

※ SAFのうち48週目までの投与を完了した患者のみ
全集団解析(事前に規定されたその他の評価項目)・日本人部分集団解析
全集団および日本人集団における48週目までの投与回数は、8mg12週間隔投与群で5.9回、5.8回、8mg16週間隔投与群で5.1回、4.9回、2mg8週間隔投与群で6.7回、6.9回でした
48週目までの投与回数※1(試験眼、SAF)

※1 偽注射を除く投与回数
※2 SAF(n=338)のうち1例が欠測
Safety
全集団解析
60週間において、すべての有害事象は8mg12週間隔投与群で335例中256例(76.4%)、8mg16週間隔投与群で338例中273例(80.8%)、2mg8週間隔投与群で336例中260例(77.4%)に認められました
有害事象(60週間、SAF)

発現例数(発現割合%)
全集団解析
60週間において、各群の主な有害事象、試験薬に関連する重篤な有害事象、試験薬に関連する投与中止に至った有害事象、試験薬に関連する死亡は以下の通りでした
主な有害事象(60週間、SAF)
8mg12週間隔投与群:
COVID-19、高血圧が各19例(5.7%)、白内障16例(4.8%)、背部痛15例(4.5%)、上咽頭炎14例(4.2%)、視力低下13例(3.9%)、網膜出血12例(3.6%)、網膜下液、眼圧上昇が各11例(3.3%)、関節痛10例(3.0%)
8mg16週間隔投与群:
COVID-19が31例(9.2%)、上咽頭炎21例(6.2%)、視力低下20例(5.9%)、高血圧18例(5.3%)、白内障15例(4.4%)、硝子体浮遊物、背部痛が各14例(4.1%)、網膜出血、尿路感染が各13例(3.8%)、無症候性COVID-19が11例(3.3%)、硝子体剥離、眼圧上昇が各10例(3.0%)
2mg8週間隔投与群:
視力低下21例(6.3%)、背部痛18例(5.4%)、COVID-19、上咽頭炎が各16例(4.8%)、網膜出血15例(4.5%)、白内障、硝子体浮遊物が各13例(3.9%)、網膜下液、尿路感染、高血圧が各12例(3.6%)
試験薬に関連する重篤な有害事象(60週間、SAF)
8mg12週間隔投与群: 本試験においては認められなかった
8mg16週間隔投与群: 閉塞隅角緑内障、心筋梗塞、肺塞栓症が各1例
2mg8週間隔投与群: 脳血管発作2例、急性心筋梗塞、高血圧が各1例
試験薬に関連する投与中止に至った有害事象(60週間、SAF)
8mg12週間隔投与群: 本試験においては認められなかった
8mg16週間隔投与群: 虹彩毛様体炎、網膜下液が各1例
2mg8週間隔投与群: 脳血管発作1例
試験薬に関連する死亡(60週間、SAF)
本試験においては認められなかった
MedDRA ver.25.0
日本人
部分集団解析
日本人集団の60週間において、すべての有害事象は8mg12週間隔投与群で31例中26例(83.9%)、8mg16週間隔投与群で33例中26例(78.8%)、2mg8週間隔投与群で33例中26例(78.8%)に認められました
有害事象(60週間、SAF)

発現例数(発現割合%)
日本人
部分集団解析
日本人集団の60週間において、各群の主な有害事象、試験薬に関連する重篤な有害事象、試験薬に関連する投与中止に至った有害事象、試験薬に関連する死亡は以下の通りでした
主な有害事象(60週間、SAF)
8mg12週間隔投与群:
結膜出血、関節痛、高血圧が各3例(9.7%)、視力低下、悪心、湿疹、皮脂欠乏性湿疹、発熱が各2例(6.5%)
8mg16週間隔投与群:
眼圧上昇、上咽頭炎が各4例(12.1%)、湿疹、高血圧が各3例(9.1%)、結膜出血、便秘、嘔吐、変形性関節症、無症候性COVID-19、歯肉炎、接触皮膚炎が各2例(6.1%)
2mg8週間隔投与群:
視力低下、ドライアイが各4例(12.1%)、背部痛、浮動性めまいが各3例(9.1%)、網膜出血、季節性アレルギー、齲歯が各2例(6.1%)
試験薬に関連する重篤な有害事象(60週間、SAF)
8mg12週間隔投与群: 本試験においては認められなかった
8mg16週間隔投与群: 閉塞隅角緑内障1例
2mg8週間隔投与群: 高血圧1例
試験薬に関連する投与中止に至った有害事象、試験薬に関連する死亡(60週間、SAF)
本試験においては認められなかった
MedDRA ver.25.0
まとめ①
実臨床下におけるnAMD治療には、治療アドヒアランスの障壁が存在しています
また、大規模臨床試験の課題の1つとして、対象患者の人種が限られることが挙げられます
黄斑疾患治療において、疾患活動性を示す血管新生や血管透過性亢進などの病態を持続してコントロールし、長期的に視力低下を防ぐことが重要であり、SDCとはその治療達成を目指した治療目標です。

ALTAIR試験において、96週までの最終投与間隔が8週であった患者の割合は、アイリーア (2mg)2週幅調節群で37.4%、4週幅調節群で33.3%であり、16週であった患者の割合はそれぞれ41.5%、46.3%でした1)。
nAMDおよびDME患者さん、ならびに介助者さんにより報告された治療アドヒアランスの障壁は、痛みを含む副作用が最も多く、次いで注射への恐怖/不安でした(海外データ)2)。
近年のnAMDの大規模臨床試験における課題の1つとして、対象患者に占める白人以外の人種、例えばアジア人の割合が限られることが挙げられます。
PULSAR試験におけるアジア人の割合は23.2%でした3,4)。
1)Ohji M, et al.: Adv Ther. 2020; 37: 1173-1187.
2)Giocanti-Aurégan A, et al.: Patient Prefer Adherence. 2022; 16: 587-604.
3)Ibrahim FN, et al.: Eye (Lond). 2025; 39: 1249-1253.
4)Lanzetta P, et al.: Lancet. 2024; 403: 1141-1152.
まとめ②
アイリーア8mg16週間隔投与群において48週目まで投与間隔が16週間隔であった患者の割合は、全集団で76.6%、日本人集団で93.8%と報告されたことから、アイリーア8mgで治療を開始することによって16週間隔投与による持続的な疾患コントロールが期待できます (PULSAR試験)
Focus on Vision Gain
48週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、 8mg12週間隔投与群で+6.1文字、8mg16週間隔投与群で+5.9文字であり、2mg8週間隔投与群(+7.0文字)に対する非劣性が検証されました。日本人集団では、8mg12週間隔 投与群で+6.1文字、8mg16週間隔投与群で+7.5文字、2mg8週間隔投与群で+4.3文字でした。
Focus on Fluid Status
48週目におけるCRTのベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、8mg16週間隔投与群の全集団で-146.8μm、日本人集団で-139.9μmでした。
Focus on Treatment Burden
8mg16週間隔投与群において48週目まで投与間隔が16週間隔であった患者の割合は、全集団で76.6%、日本人集団で93.8%でした。
Safety
60週間において、全集団のすべての有害事象は8mg12週間隔投与群で335例中256例(76.4%)、8mg16週間隔投与群で338例中273例(80.8%)、2mg8週間隔投与群で336例中260例(77.4%)に認められました。日本人集団ではそれぞれ31例中26例(83.9%)、33例中26例(78.8%)、33例中26例(78.8%)に認められました。
60週間において、全集団の主な有害事象は、8mg12週間隔投与群でCOVID-19、高血圧が各19例(5.7%)、8mg16週間隔投与群でCOVID-19が31例(9.2%)、上咽頭炎21例(6.2%)、2mg8週間隔投与群で視力低下21例(6.3%)、背部痛18例(5.4%)などでした。日本人集団では8mg12週間隔投与群で結膜出血、関節痛、高血圧が各3例(9.7%)、8mg16週間隔投与群で眼圧上昇、上咽頭炎が各4例(12.1%)、2mg8週間隔投与群で視力低下、ドライアイが各4例(12.1%)などでした。
バイエル薬品社内資料[日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:PULSAR試験]承認時評価資料