負担軽減を目指したアイリーア8mgではじめるnAMD治療
-PULSAR試験96週までの成績-
nAMD (neovascular age-related macular degeneration):滲出型加齢黄斑変性
アイリーア8mgの承認された効能又は効果(抜粋):中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性
黄斑疾患治療において、疾患活動性を示す血管新生や血管透過性亢進などの病態を持続して コントロールし、長期的に視力低下を防ぐことが重要であり、Sustainable Disease Control(SDC)とはその治療達成を目指した治療目標です

監修:鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 感覚器病学講座 眼科学分野 教授 坂本 泰二 先生
抗VEGF薬の投与方法を選択する上で、患者が最も重視した項目は「2年目の視力維持」であり、次いで「1年目の投与回数減少」でした(国内データ)
wAMD患者を対象とした選好研究において患者が最も重視した項目

対象
良い方の小数視力が0.5以上であり、日本語を読んで理解し、調査を完了することができる50歳以上の抗VEGF薬による治療を受けている滲出型加齢黄斑変性
(wet age-related macular degeneration;wAMD)患者120例
方法
抗VEGF薬の投与方法を選択する上で、患者が重視する項目についてアンケート調査を実施した。①1年目の投与回数 ②1年目の診察回数 ③1年目の視力改善率(15文字以上増加した患者の割合) ④2年目の視力維持率(15文字以上の低下を回避した患者の割合)の4つの項目について、どの項目を相対的に重視するかを調査した。
利益相反
本研究はバイエル薬品の資金により行われた。本論文の著者のうち、2名はバイエル薬品、1名はバイエルコンシューマーケアの社員である。著者にバイエル薬品および参天製薬より謝礼を受領している者が含まれる。
Joko T, et al.:Patient Preference and Adherence. 2020;14:553-567.
Fluidと視力の関係:ALTAIR試験のサブグループ解析による検討
試験概要
目的
nAMD患者において、アイリーア(2mg)硝子体内投与の間隔を最短8週および最長16週として、2つの投与間隔の調節方法(2週幅調節と4週幅調節)における有効性および安全性を検討する。
デザイン
96週、無作為化、多施設共同(国内41施設)、オープンラベル、第Ⅳ相臨床試験
対象
50歳以上で、活動性の中心窩下脈絡膜新生血管(CNV)病変を伴う未治療nAMD患者
[糖尿病網膜症早期治療研究(ETDRS)視力表による最高矯正視力文字数が73~25文字、スネレン視力20/40~20/320相当]
方法
導入期投与としてアイリーア(アフリベルセプトとして2mg)を3回連続毎月投与後、16週時にTreat and Extend(T&E)レジメンに基づき、アイリーア(2mg)2週幅調節群と4週幅調節群に1:1になるよう無作為に割り付けた。アイリーア(2mg)4週幅調節群における4週短縮後は、2週間隔で調節した。
評価例数
安全性解析対象集団(SAS):254例(2週幅調節群:124例、4週幅調節群:123例、無作為化割付前脱落:7例)
最大の解析対象集団(FAS):246例(2週幅調節群:123例、4週幅調節群:123例)
主な評価項目
<主要評価項目>
52週時における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量
<その他の評価項目>
96週時における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量 など
<投与に関する評価項目>
最終投与時の投与間隔 など
<安全性評価項目>
治療下で発現した有害事象(TEAE)、すべての有害事象、APTC定義に基づく動脈血栓塞栓事象 など
<事前に規定された評価項目(サブグループ解析)>
16週時点におけるFluidの有無別にみた有効性評価項目(52週時および96週時における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量、最終投与時の投与間隔 など)
解析計画
探索的な解析
- 主要評価項目、投与に関する評価項目、サブグループ解析:FAS
- 安全性評価項目:SAS
すべての統計解析は探索的であり、検証的な解析は行わなかった。記述的に統計学的な比較を可能とする例数設計に基づき、両群が達成したアウトカムを記述した。なお、欠測値はLOCF法によって補完した。
利益相反
Ohji M, et al.:Adv Ther. 2020;37:1173–1187.
本研究はバイエル薬品の資金によって実施され、同社は試験デザイン作成、試験実施、データ収集、データ管理、データ解析、ならびに原稿作成などに関与した。
著者のうち3名は、バイエルヘルスケアAG、バイエル薬品、あるいは参天製薬からコンサルタント料や研究助成金などを受領している。また、著者のうち3名は、バイエル薬品の社員である。
Ohji M, et al.:Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2021;259:3637-3647.
本研究はバイエル薬品の資金によって実施され、同社は試験デザイン作成、試験実施、データ収集、データ管理、データ解析、ならびに原稿作成などに関与した。
著者のうち3名は、バイエルヘルスケアAG、バイエル薬品、あるいは参天製薬からコンサルタント料や研究助成金などを受領している。また、著者のうち3名は、バイエル薬品の社員である。
● SAS(Safety analysis set): 無作為化割付前に1回以上試験薬の投与を受けたすべての患者
● FAS(Full analysis set): 無作為化割付後に1回以上試験薬の投与を受け、ベースラインと無作為化割付後に1回以上の最高矯正視力の評価を受けたすべての患者
Ohji M, et al.:Adv Ther. 2020;37:1173–1187.
試験結果
<主要評価項目(52週):FAS>
52週時における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量は、アイリーア(2mg)2週幅調節群で+9.0文字、アイリーア(2mg)4週幅調節群で+8.4文字でした1)
<事前に規定された評価項目(16週時点におけるFluidの有無別のサブグループ解析)(52週、96週):FAS>
52週時における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量は、16週時点におけるFluidなし群で+10.6文字、Fluidあり群で+6.5文字、96週時ではそれぞれ+9.1文字、+4.3文字でした2)
96週までの最終投与間隔は、16週時Fluidなし群で14.1週、16週時Fluidあり群で9.9週でした2)
<安全性(96週):SAS>†
すべてのTEAEは、アイリーア(2mg)2週幅調節群で85例(68.5%)、アイリーア(2mg)4週幅調節群で86例(69.9%)でした1)
眼に関連するTEAE≧2%は、アイリーア(2mg)2週幅調節群で白内障7例(5.6%)、網膜出血4例(3.2%)、ドライアイ3例(2.4%)、網膜色素上皮裂孔3例(2.4%)、アイリーア(2mg)4週幅調節群で白内障10例(8.1%)、網膜出血8例(6.5%)、ドライアイ6例(4.9%)でした1)
全身性のTEAE≧3%は、アイリーア(2mg)2週幅調節群で鼻咽頭炎26例(21.0%)、便秘4例(3.2%)、インフルエンザ2例(1.6%)、挫傷、高血圧が各1例(0.8%)、アイリーア(2mg)4週幅調節群で鼻咽頭炎20例(16.3%)、便秘7例(5.7%)、大腸ポリープ、インフルエンザ、挫傷、高血圧が各1例(0.8%)でした1)
試験薬に関連する重篤な有害事象は、アイリーア(2mg)2週幅調節群で白内障1例、アイリーア(2mg)4週幅調節群で白内障1例、脳血管発作1例でした3)
試験薬に関連する投与中止に至った有害事象は、アイリーア(2mg)4週幅調節群で蕁麻疹1例でした3)
試験薬に関連する死亡は、本試験においては認められませんでした3)
†
有害事象の報告にはMedDRA version 19.1が用いられた。
1)
Ohji M, et al.:Adv Ther. 2020;37:1173–1187.
2)
Ohji M, et al.:Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2021;259:3637-3647. http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/
3)
ALTAIR試験 社内資料
日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:PULSAR試験
(アフリベルセプト2mgに対する非劣性の検証)

バイエル薬品社内資料[日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:PULSAR試験]承認時評価資料、電子添文改訂時評価資料(96週)
試験概要
【実施地域】アジア太平洋地域(日本含む)、オーストラリア、欧州、中東、南米、北米の27ヵ国、251施設
目的
中心窩下CNVを伴うnAMD患者を対象に、アイリーア8mg12週間隔または16週間隔投与による有効性についてアフリベルセプト2mg8週間隔投与に対する非劣性を検証するとともに、安全性についても検討する
試験対象
中心窩下CNVを伴うnAMD患者1,012例※1(うち日本人:98例)
※1
48および60週目解析では試験薬投与を受けていない1例の患者が無作為割り付け例数に含まれていなかった。
[主な選択基準]
- 試験眼において評価されたnAMDに続発する中心窩下CNVの活動性病変(中心窩に影響を及ぼす傍中心窩病変を含む)を有する 50歳以上の男女
- 試験眼の総CNV病変面積(classicおよびoccultの両CNV病変を含む)が病変全体の50%を超える
- 試験眼のETDRS視力表による最高矯正視力文字数が78〜24文字(スネレン視力で20/32〜20/320)であり、nAMDが主な原因であると判断される最高矯正視力文字数の減少がある
- OCTで、試験眼の中心窩領域に影響を及ぼすIRFおよび/またはSRFが認められる など
[主な除外基準]
- 試験眼に、nAMD以外の原因によるCNVを有する
- 試験眼に、蛍光眼底造影により評価した総病変面積が12視神経乳頭面積(12視神経乳頭面積は30.5mm2とし、病変には出血、瘢痕、新生血管を含む)を超える
- 試験眼にコントロール不良の緑内障(抗緑内障薬による治療にもかかわらず眼圧が25mmHgを超える場合)を有する
- 試験眼に特発性または自己免疫性ぶどう膜炎の既往歴を有する
- スクリーニング来院前12週以内に、いずれかの眼に、眼内の炎症または感染を有する
- 試験眼に対する血管新生阻害薬による治療歴を有する
- いずれかの眼における、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫またはnAMD以外の網膜血管疾患の既往歴または臨床所見を有する
- コントロール不良の高血圧(収縮期血圧160mmHg超または拡張期血圧95mmHg超)を有する
- スクリーニング来院前24週以内に脳血管発作または心筋梗塞の既往歴を有する など
試験デザイン
無作為化二重遮蔽実薬対照比較試験
投与方法
対象患者をアフリベルセプト2mg8週間隔投与群、アイリーア8mg12週間隔投与群、アイリーア8mg16週間隔投与群の3群に1:1:1の比で無作為に割り付け※2、硝子体内投与した。試験薬の投与は片眼のみに実施した。
- 2mg8週間隔投与群:アフリベルセプト2mgを4週間隔で連続3回投与後、8週間隔で投与
- 8mg12週間隔投与群:アイリーア8mgを4週間隔で連続3回投与後、12週間隔で投与
- 8mg16週間隔投与群:アイリーア8mgを4週間隔で連続3回投与後、16週間隔で投与
8mg12週間隔投与群および16週間隔投与群の試験薬投与の詳細は、下部の「■投与スケジュール、用法用量の変更」を参照のこと。
※2
地域(日本、その他の地域)およびベースラインの最高矯正視力文字数(60文字未満、60文字以上)に基づき層別化した。
主な有効性評価項目
主要評価項目:
48週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量
主な副次評価項目:
60週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量
16週目に中心窩領域にIRFおよびSRFが認められなかった患者の割合
その他の副次評価項目:
48週目に中心窩領域にIRFおよびSRFが認められなかった患者の割合
48週目におけるCRTのベースラインからの変化量 など
探索的評価項目:
96週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量
8mg12週間隔投与群において48週目および96週目まで投与間隔が12週間隔以上であった患者の割合
8mg16週間隔投与群において48週目および96週目まで投与間隔が16週間隔以上であった患者の割合
その他の副次評価項目(48週目の評価)に設定した評価項目の60週目および96週目の評価 など
主な安全性評価項目
有害事象、副作用、重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象、死亡、眼内炎症反応、眼圧上昇事象、眼圧上昇の程度、高血圧事象、APTC定義による動脈血栓塞栓事象 など
事前に規定されたその他の評価項目
- 8mg12週間隔投与群および8mg16週間隔投与群において16週目または20週目に投与間隔が8週間隔へ短縮となった患者の割合
- 8mg12週間隔投与群および8mg16週間隔投与群において48週目および96週目までにいずれかの時点で投与間隔が短縮となった 患者の割合
- 8mg12週間隔投与群において48週目および96週目に次回予定された投与間隔が12週間隔以上であった患者の割合
- 8mg16週間隔投与群において48週目および96週目に次回予定された投与間隔が16週間隔以上であった患者の割合
- 48週目および96週目までの投与回数 など
解析計画
主要評価項目および主な副次評価項目において、検定全体のfamily-wiseの第1種の過誤確率を0.025(片側検定)に制御した。主要評価項目および主な副次評価項目における検定の多重性の調整には、下記の階層的検定手順を用い、より上位の階層にランク付けされた仮説を棄却した後にのみ、有意水準0.025(片側)で続く下位の仮説の検定を可能とした※3。

いずれも2mg8週間隔投与群に対する比較検定
階層的検定手順に基づく仮説はすべての患者が60週目を完了(または早期中止)した後に評価した。
主要評価項目を含む48週目までの有効性評価について、60週目完了後のデータによる再解析は実施しなかった。
※3 ⑥において優越性が示されなかったため、検定を終了した。
検証的な解析(第1種の過誤を考慮し、検出力を考慮し例数設計された解析)
主要評価項目(FAS):
8mg12週間隔投与群および8mg16週間隔投与群の2mg8週間隔投与群に対する非劣性の検証(非劣性限界値-4文字)
第1種の過誤を考慮した解析(検出力を考慮した例数設計はされていない)
主な副次評価項目(FAS):
「60週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量」は主要評価項目と同一の方法により解析
「16週目に中心窩領域にIRFおよびSRFが認められなかった患者の割合」は8mg投与群併合の2mg8週間隔投与群に対する優越性の検討
探索的な解析
その他の副次評価項目(FAS)、探索的評価項目(FAS、SAF)、事前に規定されたその他の評価項目(SAF) など
事後解析†
8mg12週間隔投与群および8mg16週間隔投与群における、52週目以降に投与間隔を20週まで延長し、96週目まで20週以上の投与間隔を維持した患者の割合についての解析 など
†
本事後解析は、電子添文の「17. 臨床成績」における記載に関連し、電子添文改訂の審査過程において評価を受けた解析結果であるため掲載しています。
CNV(choroidal neovascularization):脈絡膜新生血管、ETDRS(Early Treatment Diabetic Retinopathy Study):糖尿病網膜症早期治療研究、OCT(optical coherence tomography):光干渉断層計、IRF(intraretinal fluid):網膜内液、SRF(subretinal fluid):網膜下液、CRT(central retinal thickness):中心網膜厚、APTC(Antiplatelet Trialists’ Collaboration)
● 中心窩領域:中心窩から直径1mmの範囲
● 中心網膜厚:中心窩領域の網膜厚
● FAS(full analysis set):最大の解析対象集団。無作為化され、少なくとも1回の試験薬投与を受けたすべての患者。無作為割り付けされた群に基づき解析を行った。
● SAF(safety analysis set):安全性解析対象集団。無作為化され、少なくとも1回の試験薬投与を受けたすべての患者。実際の投与に基づき解析を行った。
投与スケジュール、用法用量の変更
8mg12週間隔投与群および16週間隔投与群では、16週目以降、DRM基準に従い投与間隔を変更した。

DRM(dose regimen modification):用法用量変更
DRM基準(短縮:16週目以降):
「最高矯正視力文字数の12週目からの5文字超低下」 かつ 「CRTの12週目からの25μm超増加、または中心窩に新たな出血、または新たな新生血管が発現」
DRM基準(延長:52週目以降):
「最高矯正視力文字数の12週目からの低下が5文字未満」 かつ 「OCTで中心窩領域に滲出液が認められない」 かつ「中心窩に新たな出血および新生血管の発現がない」
投与間隔の短縮および延長の基準のいずれも満たさなかった患者は投与間隔を維持した。
中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性の用法及び用量
アフリベルセプト(遺伝子組換え)として8mg(0.07mL)を4週ごとに1回、通常、連続3回(導入期)硝子体内投与するが、症状により投与回数を適宜減じる。その後の維持期においては、通常、16週ごとに1回、硝子体内投与する。なお、症状により投与間隔を適宜調節するが、8週以上あけること。
患者背景および特性(FAS)

※1 読影施設で評価した
※2 適切な装置を有する施設においてインドシアニングリーン蛍光眼底造影により任意で評価した
※3 フルオレセイン蛍光眼底造影/眼底撮影を用いて評価した
PCV(polypoidal choroidal vascularization):ポリープ状脈絡膜血管症、RAP(retinal angiomatous proliferation):網膜血管腫状増殖
Focus on Vision Gain
主要評価項目
(検証的解析結果)
48週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量は、8mg12週間隔投与群で+6.1文字、8mg16週間隔投与群で+5.9文字であり、2mg8週間隔投与群(+7.0文字)に対する非劣性が検証されました
最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量(MMRM、FAS)

※1 実測値 ※2 各群−2mg8週間隔投与群 ※3 非劣性(非劣性限界値-4文字)の片側検定
階層的検定手順に従い、下位の「8mg投与群併合の中心窩領域にIRFおよびSRFが認められなかった患者の16週目における優越性」は示されたが、続く「8mg12週間隔投与群の最高矯正視力の48週目における優越性」が示されなかったため、検定を終了した。
●
MMRM(mixed model for repeated measurements):反復測定混合効果モデル。ベースラインの最高矯正視力文字数を共変量、投与群、来院および層別因子[地域(日本、その他の地域)、ベースラインの最高矯正視力文字数(60文字未満、60文字以上)]を固定効果とし、ベースラインの最高矯正視力文字数と来院の交互作用項、投与群と来院の交互作用項を含む。
探索的評価項目
96週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量は、8mg12週間隔投与群で+5.6文字、8mg16週間隔投与群で+5.5文字、2mg8週間隔投与群で+6.6文字でした
最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量(MMRM、FAS)

※ 各群ー2mg8週間隔投与群
●
MMRM:ベースラインの最高矯正視力文字数を共変量、投与群、来院および層別因子[地域(日本、その他の地域)、ベースラインの最高矯正視力文字数(60文字未満、60文字以上)]を固定効果とし、ベースラインの最高矯正視力文字数と来院の交互作用項、投与群と来院の交互作用項を含む。
Focus on Fluid Status
主な副次評価項目
16週目に中心窩領域にIRFおよびSRFが認められなかった患者の割合は、8mg投与群併合で63.3%であり、2mg8週間隔投与群(51.6%)に対する優越性が示されました
16週目に中心窩領域にIRFおよびSRFが認められなかった患者の割合(LOCF、FAS)

※1
8mg投与群併合−2mg8週間隔投与群[地域(日本、その他の地域)およびベースラインの最高矯正視力文字数(60文字未満、60文字以上)で層別化したMantel-Haenszel型の重みを用いて調整した]
※2
地域(日本、その他の地域)およびベースラインの最高矯正視力文字数(60文字未満、60文字以上)で調整した片側CMH検定
●
LOCF(Last Observation Carried Forward):最終評価スコア外挿法。欠測値に対して欠測前の最後の測定値を用いて補完する解析方法
探索的評価項目
96週目に中心窩領域にIRFおよびSRFが認められなかった患者の割合は、8mg12週間隔投与群で69.6%、8mg16週間隔投与群で63.6%、2mg8週間隔投与群で66.5%でした
中心窩領域にIRFおよびSRFが認められなかった患者の割合(LOCF、FAS)

※1
各群-2mg8週間隔投与群[地域(日本、その他の地域)およびベースラインの最高矯正視力文字数(60文字未満、60文字以上)で層別化したMantel-Haenszel型の重みを用いて調整した]
●
LOCF(Last Observation Carried Forward):最終評価スコア外挿法。欠測値に対して欠測前の最後の測定値を用いて補完する解析方法
その他の副次評価項目
48週目におけるCRTのベースラインからの変化量は、8mg12週間隔投与群で-147.4μm、8mg16週間隔投与群で-146.8μm、2mg8週間隔投与群で-136.3μmでした
CRTのベースラインからの変化量(MMRM、FAS)

※1 実測値 ※2 各群−2mg8週間隔投与群
●
MMRM:ベースラインのCRTを共変量、投与群、来院および層別因子[地域(日本、その他の地域)、ベースラインの最高矯正視力文字数(60文字未満、60文字以上)]を固定効果とし、ベースラインのCRTと来院の交互作用項、投与群と来院の交互作用項を含む。
探索的評価項目
96週目におけるCRTのベースラインからの変化量は、8mg12週間隔投与群で-152.0μm、8mg16週間隔投与群で-148.8μm、2mg8週間隔投与群で-146.8μmでした
CRTのベースラインからの変化量(MMRM、FAS)

※1
各群ー2mg8週間隔投与群
●
MMRM:ベースラインのCRTを共変量、投与群、来院および層別因子[地域(日本、その他の地域)、ベースラインの最高矯正視力文字数(60文字未満、60文字以上)]を固定効果とし、ベースラインのCRTと来院の交互作用項、投与群と来院の交互作用項を含む。
Focus on Treatment Burden
探索的評価項目
8mg12週間隔投与群において48週目まで投与間隔が12週間隔であった患者の割合は79.4%、8mg16週間隔投与群において48週目まで投与間隔が16週間隔であった患者の割合は76.6%でした
8mg12週間隔投与群において48週目まで投与間隔が12週間隔以上であった患者の割合(SAF※)

8mg16週間隔投与群において48週目まで投与間隔が16週間隔以上であった患者の割合(SAF※)

48週目までに投与間隔が短縮となった患者の割合、次回予定された投与間隔別の患者の割合(SAF※1)
(事前に規定されたその他の評価項目)

例数(%)
※1
SAFのうち48週目までの投与を完了した患者のみ
※2
48週目までの最終来院日における評価に基づく投与間隔
探索的評価項目
8mg12週間隔投与群において96週目まで投与間隔が12週間隔以上であった患者の割合は75.3%、8mg16週間隔投与群において96週目まで投与間隔が16週間隔以上であった患者の割合は70.2%でした
8mg12週間隔投与群において96週目まで投与間隔が12週間隔以上であった患者の割合(SAF※1)

8mg16週間隔投与群において96週目まで投与間隔が16週間隔以上であった患者の割合(SAF※1)

96週目までに投与間隔が短縮となった患者の割合、次回予定された投与間隔別の患者の割合(SAF※1)
(事前に規定されたその他の評価項目)

例数(%)
※1
SAFのうち96週目までの投与を完了した患者のみ
※2
52週目以降に16週間隔以上に延長となった患者における12週間隔への短縮は除く
※3
96週目より前の最終来院日における評価に基づく投与間隔(すなわち92週目までの最終来院日における評価に基づく投与間隔)
事後解析
96週目まで20週以上の投与間隔を維持した患者の割合
本事後解析は、電子添文の「17. 臨床成績」における記載に関連し、電子添文改訂の審査過程において評価を受けた解析結果であるため掲載しています。
52週目以降に投与間隔を20週まで延長し、96週目まで20週以上の投与間隔を維持した患者の割合(SAF※1)

※1
SAFのうち96週目までの投与を完了した患者のみ
※2
96週目に20週の投与間隔をはじめて完了する患者を含まない
【参考】
PULSAR試験におけるアイリーア8mg投与群2群の52週目以降の用法用量の変更
52週目以降、投与来院日にDRM基準を満たした場合、
●DRM基準(短縮):投与間隔を4週幅で短縮した(最短8週間隔)
●DRM基準(延長):投与間隔を4週幅で延長した(最長24週間隔※)
※ 96週目までの期間内に実際の投与の完了が可能であった間隔は最長20週であった
事前に規定された
その他の評価項目
試験眼に対する投与回数は、48週目では8mg12週間隔投与群で5.9回、 8mg16週間隔投与群で5.1回、2mg8週間隔投与群で6.7回、96週目ではそれぞれ9.2回、7.8回、11.9回でした
48週目および60週目までの投与回数※1(試験眼、SAF)

※1
偽注射を除く投与回数
※2
SAF(n=338)のうち1例が欠測
Safety
96週間において、すべての有害事象は8mg12週間隔投与群で335例中292例(87.2%)、8mg16週間隔投与群で338例中303例(89.6%)、2mg8週間隔投与群で336例中300例(89.3%)に認められました
有害事象(96週間、SAF)

発現例数(発現割合%)
96週間において、各群の主な有害事象、試験薬に関連する重篤な有害事象、試験薬に関連する投与中止に至った有害事象、試験薬に関連する死亡は以下の通りでした
主な有害事象(96週間、SAF)
8mg12週間隔投与群:
COVID-19 58例(17.3%)、白内障31例(9.3%)、高血圧23例(6.9%)、視力低下21例(6.3%)、網膜出血、上咽頭炎、背部痛が各18例(5.4%)、網膜下液14例(4.2%)、尿路感染13例(3.9%)、眼圧上昇、下痢、関節痛が各12例(3.6%)、上気道感染11例(3.3%)、黄斑肥厚、結膜出血、新生血管加齢黄斑変性が各10例(3.0%) など
8mg16週間隔投与群:
COVID-19 72例(21.3%)、白内障32例(9.5%)、上咽頭炎27例(8.0%)、視力低下、高血圧が各23例(6.8%)、網膜出血19例(5.6%)、硝子体浮遊物17例(5.0%)、尿路感染16例(4.7%)、背部痛15例(4.4%)、咳嗽13例(3.8%)、硝子体剥離12例(3.6%)、黄斑浮腫、眼圧上昇、関節痛が各11例(3.3%)、肺炎、変形性関節症が各10例(3.0%) など
2mg8週間隔投与群:
COVID-19 60例(17.9%)、上咽頭炎30例(8.9%)、視力低下24例(7.1%)、白内障、背部痛が各22例(6.5%)、尿路感染21例(6.3%)、網膜出血19例(5.7%)、高血圧18例(5.4%)、網膜下液、硝子体浮遊物が各16例(4.8%)、転倒13例(3.9%)、上気道感染12例(3.6%)、ドライアイ11例(3.3%)、黄斑浮腫、眼圧上昇、気管支炎、咳嗽、発熱が各10例(3.0%) など
試験薬に関連する重篤な有害事象(96週間、SAF)
8mg12週間隔投与群:本試験においては認められなかった
8mg16週間隔投与群:心筋梗塞2例、閉塞隅角緑内障、肺塞栓症が各1例
2mg8週間隔投与群:脳血管発作2例、急性心筋梗塞、高血圧が各1例
試験薬に関連する投与中止に至った有害事象(96週間、SAF)
8mg12週間隔投与群:本試験においては認められなかった
8mg16週間隔投与群:虹彩毛様体炎、網膜下液が各1例
2mg8週間隔投与群:脳血管発作、ぶどう膜炎、血管炎が各1例
試験薬に関連する死亡(96週間、SAF)
本試験においては認められなかった
MedDRA ver.26.0
まとめ
PULSAR試験において、アイリーア8mg投与群併合の16週時におけるFluid消失率がアフリベルセプト2mg群を有意に上回ったことから、アイリーア8mgでnAMD治療をはじめることで、その後の視力改善・投与間隔の延長・投与回数の軽減が期待されます
黄斑疾患治療において、疾患活動性を示す血管新生や血管透過性亢進などの病態を持続してコントロールし、長期的に視力低下を防ぐことが重要であり、SDCとはその治療達成を目指した治療目標です。
wAMD患者を対象とした選好研究において、抗VEGF薬の投与方法を選択する上で、患者が最も重視した項目は「2年目の視力維持」であり、次いで「1年目の投与回数減少」でした1)。

導入期治療後8週目にあたる16週時点でのFluidの消失は、その後の視力・投与間隔に影響することが示唆されており(アイリーア(2mg)を用いたALTAIR試験)2)、アイリーア8mg投与群併合の16週時におけるFluid消失率がアフリベルセプト2mg群を有意に上回ったことから(第Ⅲ相試験:PULSAR試験)3)、アイリーア8mgでnAMD治療をはじめることで、その後の視力改善・投与間隔の延長・投与回数の軽減が期待されます。
1)Joko T, et al.:Patient Preference and Adherence. 2020 ;14:553-567.
2)Ohji M, et al.:Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2021 ;259:3637-3647.
3)バイエル薬品社内資料[日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:PULSAR試験]承認時評価資料.
アイリーア8mgはPULSAR試験において、連続3回の導入期と最短8週最長24週の投与間隔による維持期設定のもと96週目までの有効性が示され、nAMD患者を導入期からアイリーア8mgで治療を開始することによってSDCの達成が期待できます
Focus on Vision Gain
96週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、8mg12週間隔投与群で+5.6文字、8mg16週間隔投与群で+5.5文字、2mg8週間隔投与群で+6.6文字でした(第Ⅲ相試験:PULSAR試験)。
Focus on Fluid Status
96週目に中心窩領域にIRFおよびSRFが認められなかった患者の割合は、8mg12週間隔投与群で69.6%、8mg16週間隔投与群で63.6%、2mg8週間隔投与群で66.5%でした(第Ⅲ相試験:PULSAR試験)。
Focus on Treatment Burden
96週目までの平均投与回数は8mg12週間隔投与群で9.2回、8mg16週間隔投与群で7.8回、2mg8週間隔投与群で11.9回でした(第Ⅲ相試験:PULSAR試験)。
8mg16週間隔投与群において96週目まで投与間隔が16週間隔以上であった患者の割合は70.2%であり、96週時点で、53.1%で次回予定された投与間隔を20週間隔以上に、30.8%で24週間隔に延長すると判断されていました(第Ⅲ相試験:PULSAR試験)。
Safety
96週間において、すべての有害事象は8mg12週間隔投与群で335例中292例(87.2%)、8mg16週間隔投与群で338例中303例(89.6%)、2mg8週間隔投与群で336例中300例(89.3%)に認められました(第Ⅲ相試験:PULSAR試験)。
バイエル薬品社内資料[日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:PULSAR試験]電子添文改訂時評価資料(96週)