nAMDを対象とした抗VEGF薬の前向き大規模臨床試験から考えるアフリベルセプトの有効性と安全性
nAMDは慢性進行性の疾患であり、再発を繰り返すことで不可逆的な視力低下をきたすため、長期にわたり継続した治療が必要です。長期治療を行う上で重要なのは、薬剤の有効性と安全性のバランスだと考えています。治療方針について患者さんとコミュニケーションする際には、全身と眼内の安全性に関する情報を適切に把握しながら、患者さんに説明して治療を行うよう努めています。
そこで本資材では、現在までに報告されているアフリベルセプトの有効性と安全性について、日本で承認されている他の抗VEGF薬との比較も含めた前向き大規模臨床試験を中心に紹介します。

安川 力 先生
名古屋市立大学大学院
医学研究科視覚科学(眼科)
教授
nAMD (neovascular age-related macular degeneration):滲出型加齢黄斑変性
アイリーア8mgの承認された効能又は効果(抜粋):中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性
日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:PULSAR試験
【アフリベルセプト2mgに対する 非劣性の検証】
試験概要
【実施地域】アジア太平洋地域(日本含む)、オーストラリア、欧州、中東、南米、北米の27ヵ国、251施設
目的
中心窩下CNVを伴うnAMD患者を対象に、アイリーア8mg12週間隔または16週間隔投与による有効性についてアフリベルセプト2mg8週間隔投与に対する非劣性を検証するとともに、安全性についても検討する
試験対象
中心窩下CNVを伴うnAMD患者1,012例※1(うち日本人:98例)
[主な選択基準]
試験眼のETDRS視力表による最高矯正視力文字数が78〜24文字(スネレン視力で20/32〜20/320)であり、nAMDが主な原因であると判断される最高矯正視力文字数の減少がある など
※1
48および60週目解析では試験薬投与を受けていない1例の患者が無作為割り付け例数に含まれていなかった。
試験デザイン
無作為化二重遮蔽実薬対照比較試験
投与方法
対象患者をアフリベルセプト2mg8週間隔投与群、アイリーア8mg12週間隔投与群、アイリーア8mg16週間隔投与群の3群に1:1:1の比で無作為に割り付け※2、硝子体内投与した。試験薬の投与は片眼のみに実施した。
- 2mg8週間隔投与群:アフリベルセプト2mgを4週間隔で連続3回投与後、8週間隔で投与※3
- 8mg12週間隔投与群:アイリーア8mgを4週間隔で連続3回投与後、12週間隔で投与※4
- 8mg16週間隔投与群:アイリーア8mgを4週間隔で連続3回投与後、16週間隔で投与※5
ただし、8mg12週間隔投与群および16週間隔投与群では、16週目以降、DRM基準※6,7に従い投与間隔を変更した。
※2
地域(日本、その他の地域)およびベースラインの最高矯正視力文字数(60文字未満、60文字以上)に基づき層別化した。
※3
試験期間を通じて8週間隔で投与を継続した。
※4
16週目または20週目にDRM基準(短縮)を満たした場合、当該来院日に投与を行い、以降は8週間隔に短縮した。24週目以降のアイリーア投与来院日にDRM基準(短縮)を満たした場合は次回投与間隔を4週幅で短縮した。52週目以降は、1年目と同一のDRM基準(短縮)に加えて、DRM基準(延長)に従い、基準を満たした場合は投与間隔を4週幅で短縮または延長した。なお、投与間隔は最短8週間隔、最長24週間隔とした。
※5
16週目または20週目にDRM基準(短縮)を満たさず、24週目にDRM基準(短縮)を満たした場合は、当該来院日に投与を行い、以降は12週間隔に短縮した。
※6
DRM基準(短縮:16週目以降):「最高矯正視力文字数の12週目からの5文字超低下」かつ「CRTの12週目からの25µm超増加、または中心窩に新たな出血、または新たな新生血管が発現」
※7
DRM基準(延長:52週目以降):「最高矯正視力文字数の12週目からの低下が5文字未満」かつ「OCTで中心窩領域に滲出液が認められない」かつ「中心窩に新たな出血および新生血管の発現がない」
主な有効性評価項目
主要評価項目:
48週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量
主な副次評価項目:
60週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量 など
その他の副次評価項目:
48週目におけるCRTのベースラインからの変化量 など
探索的評価項目:
96週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量
その他の副次評価項目(48週目の評価)に設定した評価項目の60週目および96週目の評価 など
主な安全性評価項目
有害事象、副作用、重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象、死亡、眼内炎症反応、眼圧上昇事象、眼圧上昇の程度、高血圧事象、APTC定義による動脈血栓塞栓事象 など
解析計画
主要評価項目および主な副次評価項目において、検定全体のfamily-wiseの第1種の過誤確率を0.025(片側検定)に制御した。主要評価項目および主な副次評価項目における検定の多重性の調整には、下記の階層的検定手順を用い、より上位の階層にランク付けされた仮説を棄却した後にのみ、有意水準0.025(片側)で続く下位の仮説の検定を可能とした※8。

いずれも2mg8週間隔投与群に対する比較検定。階層的検定手順に基づく仮説はすべての患者が60週目を完了(または早期中止)した後に評価した。主要評価項目を含む48週目までの有効性評価について、60週目完了後のデータによる再解析は実施しなかった。
※8 ⑥において優越性が示されなかったため、検定を終了した。
検証的な解析(第1種の過誤を考慮し、検出力を考慮し例数設計された解析)
主要評価項目(FAS):
8mg12週間隔投与群および8mg16週間隔投与群の2mg8週間隔投与群に対する非劣性の検証(非劣性限界値-4文字)
第1種の過誤を考慮した解析(検出力を考慮した例数設計はされていない)
主な副次評価項目(FAS):
「60週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量」は主要評価項目と同一の方法により解析
探索的な解析
その他の副次評価項目(FAS)、探索的評価項目(FAS) など
CNV(choroidal neovascularization):脈絡膜新生血管、ETDRS(Early Treatment Diabetic Retinopathy Study):糖尿病網膜症早期治療研究、OCT(optical coherence tomography):光干渉断層計、IRF(intraretinal fluid):網膜内液、SRF(subretinal fluid):網膜下液、CRT(central retinal thickness):中心網膜厚、APTC(Antiplatelet Trialists’ Collaboration)
● 中心窩領域:中心窩から直径1mmの範囲
● CRT(central retinal thickness):中心網膜厚(中心窩領域の網膜厚)
● FAS(full analysis set):最大の解析対象集団。無作為化され、少なくとも1回の試験薬投与を受けたすべての患者。無作為割り付けされた群に基づき解析を行った。
投与スケジュール

アイリーア8mg:中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性の用法及び用量
アフリベルセプト(遺伝子組換え)として8mg(0.07mL)を4週ごとに1回、通常、連続3回(導入期)硝子体内投与するが、症状により投与回数を適宜減じる。その後の維持期においては、通常、16週ごとに1回、硝子体内投与する。なお、症状により投与間隔を適宜調節するが、8週以上あけること。
最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量
[48週:主要評価項目(検証的解析結果)、60週:主な副次評価項目、96週:探索的評価項目]
MMRM、FAS
48週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量は、8mg12週間隔投与群および8mg16週間隔投与群の2mg8週間隔投与群に対する非劣性が検証されました。
60週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量は、8mg12週間隔投与群および8mg16週間隔投与群の2mg8週間隔投与群に対する非劣性が示されました。


※1 実測値 ※2 各群ー2mg8週間隔投与群 ※3 非劣性(非劣性限界値-4文字)の片側検定
階層的検定手順に従い、下位の「8mg投与群併合の中心窩領域にIRFおよびSRFが認められなかった患者の16週目における優越性」は示されたが、続く「8mg12週間隔投与群の最高矯正視力の48週目における優越性」が示されなかったため、検定を終了した。
●
MMRM(mixed model for repeated measurements):反復測定混合効果モデル。ベースラインの最高矯正視力文字数を共変量、投与群、来院および層別因子[地域(日本、その他の地域)、ベースラインの最高矯正視力文字数(60文字未満、60文字以上)]を固定効果とし、ベースラインの最高矯正視力文字数と来院の交互作用項、投与群と来院の交互作用項を含む。
CRTのベースラインからの変化量
[48週:その他の副次評価項目、60・96週:探索的評価項目]
MMRM、FAS


※1 実測値 ※2 各群ー2mg8週間隔投与群
●
MMRM:ベースラインのCRTを共変量、投与群、来院および層別因子[地域(日本、その他の地域)、ベースラインの最高矯正視力文字数(60文字未満、60文字以上)]を固定効果とし、ベースラインのCRTと来院の交互作用項、投与群と来院の交互作用項を含む。
バイエル薬品社内資料[日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:PULSAR試験]承認時評価資料、電子添文改訂時評価資料(96週)
安全性(96週間)
SAF
有害事象
すべての有害事象は、8mg12週間隔投与群で335例中292例(87.2%)、8mg16週間隔投与群で338例中303例(89.6%)、2mg8週間隔投与群で336例中300例(89.3%)に認められた。
主な有害事象
8mg12週間隔投与群:
COVID-19 58例(17.3%)、白内障31例(9.3%)、高血圧23例(6.9%)、視力低下21例(6.3%)、 網膜出血、上咽頭炎、背部痛が各18例(5.4%)、網膜下液14例(4.2%)、尿路感染13例(3.9%)、眼圧上昇、下痢、関節痛が各12例(3.6%)、上気道感染11例(3.3%)、黄斑肥厚、結膜出血、新生血管加齢黄斑変性が各10例 (3.0%) など
8mg16週間隔投与群:
COVID-19 72例(21.3%)、白内障32例(9.5%)、上咽頭炎27例(8.0%)、視力低下、高血圧が各23例(6.8%)、網膜出血19例(5.6%)、硝子体浮遊物17例(5.0%)、尿路感染16例(4.7%)、背部痛15例(4.4%) 、咳嗽13例(3.8%) 、硝子体剥離12例(3.6%)、黄斑浮腫、眼圧上昇、関節痛が各11例(3.3%)、肺炎、変形性関節症が各10例(3.0%) など
2mg8週間隔投与群:
COVID-19 60例(17.9%)、上咽頭炎30例(8.9%)、視力低下24例(7.1%)、白内障、背部痛が各22例(6.5%)、尿路感染21例(6.3%)、網膜出血19例(5.7%)、高血圧18例(5.4%)、網膜下液、硝子体浮遊物が各16例(4.8%)、転倒13例(3.9%)、上気道感染12例(3.6%)、ドライアイ11例(3.3%)、黄斑浮腫、眼圧上昇、気管支炎、咳嗽、発熱が各10例(3.0%) など
試験薬に関連する試験眼の重篤な有害事象
8mg12週間隔投与群:本試験においては認められなかった
8mg16週間隔投与群:心筋梗塞2例、閉塞隅角緑内障、肺塞栓症が各1例
2mg8週間隔投与群:脳血管発作2例、急性心筋梗塞、高血圧が各1例
試験薬に関連する投与中止に至った有害事象
8mg12週間隔投与群:本試験においては認められなかった
8mg16週間隔投与群:虹彩毛様体炎、網膜下液が各1例
2mg8週間隔投与群:脳血管発作、ぶどう膜炎、血管炎が各1例
試験薬に関連する死亡
本試験においては認められなかった
眼内炎症反応、眼圧上昇事象、眼圧上昇の程度、高血圧事象、APTC定義による動脈血栓塞栓事象
アイリーア[40mg/mL(2mg)]†の臨床開発、および医薬品リスク管理計画ならびに定期的安全性最新報告で検討された項目に基づき、アイリーア8mgにおけるより詳細な検討のために追加で安全性を評価する事象‡を定義した。
評価した事象のうち、眼内炎症反応、眼圧上昇事象、眼圧上昇の程度、高血圧事象、APTC定義による動脈血栓塞栓事象の結果は、右表の通りであった。
†
未熟児網膜症以外[未熟児網膜症:濃度40mg/mL(0.4mg)]
‡
眼内炎症反応、眼圧上昇事象、網膜色素上皮裂孔事象、網膜裂孔/剥離事象、白内障事象、過敏症事象、動脈血栓塞栓事象、APTC定義による動脈血栓塞栓事象、静脈血栓塞栓事象、高血圧事象、眼以外の出血事象および鼻粘膜障害事象

発現例数(発現割合%)または例数(%)
※1 試験眼を対象とする
※2 投与後測定は患者が施設を離れる前の最終測定
※3 すべての有害事象のうち、APTC(Antiplatelet Trialists' Collaboration)定義により判定された動脈血栓塞栓事象
MedDRA ver.26.0
●
SAF(safety analysis set):安全性解析対象集団。無作為化され、少なくとも1回の試験薬投与を受けたすべての患者。実際の投与に基づき解析を行った。
バイエル薬品社内資料[日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:PULSAR試験]電子添文改訂時評価資料(96週)
日本人を含む国際共同第Ⅲ相試験:TENAYA試験、第Ⅲ相試験:LUCERNE試験(海外データ)
【ファリシマブのアフリベルセプト2mgに対する非劣性の検証】
注意:TENAYA試験、LUCERNE試験はファリシマブの第Ⅲ相試験です。
試験概要
目的
nAMD患者を対象に、ファリシマブを最長16週まで延長して投与したときの有効性についてアフリベルセプト2mg8週ごと投与に対する非劣性を検証するとともに、安全性および忍容性についても検討する
試験対象
50歳以上の未治療のnAMD患者
(TENAYA試験:671例、LUCERNE試験:658例)
試験デザイン
多施設共同二重遮蔽無作為化並行群間比較試験
投与方法
対象患者をファリシマブ6mg投与群とアフリベルセプト2mg投与群に1:1で無作為に割り付けた。ファリシマブ6mg投与群は、導入期投与としてファリシマブ6mgを4週ごとに4回硝子体内投与した後、20週および24週時の疾患活動性評価に基づき投与間隔を8週、12週または16週のいずれかで60週時まで固定投与し、その後は108週時までPTIレジメン※1で継続した。アフリベルセプト2mg投与群は、導入期投与としてアフリベルセプト2mgを4週ごとに3回硝子体内投与した後、108週時まで8週ごとに投与した。
主要評価項目
40/44/48週時の最高矯正視力文字数※2のベースラインからの変化量平均値
副次評価項目
104/108/112週時の最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量平均値ならびに変化量の推移、40/44/48週時および104/108/112週時の中心サブフィールド厚(CST)のベースラインからの変化量平均値ならびに変化量の推移 など
安全性評価項目
有害事象(試験眼および眼以外) など
解析計画
ITT(無作為化された全ての患者)を有効性の主な解析対象集団とし、欠測データはMMRMにより暗黙的に補完した。
主要評価項目の解析(検証的な解析)は、応答変数として4~48週時の最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量、固定効果として、カテゴリ共変量である投与群、時点、投与群と時点の交互作用、ベースラインの最高矯正視力文字数、ベースラインの最高矯正視力文字数(≦54文字、55~73文字、≧74文字)、ベースラインの低輝度条件下での視力低下(<33文字、≧33文字)、地域(米国・カナダ、アジア、その他の地域)を含めたMMRMモデルを用い、投与群間差(ファリシマブ6mg投与群とアフリベルセプト2mg投与群との差)の95.03%信頼区間の下限が非劣性マージンの-4文字より大きい場合に、アフリベルセプト2mg 投与群に対するファリシマブ6mg投与群の非劣性が検証されることとした。 副次評価項目は、主要評価項目と同様に解析した。
※1 PTI(personalized treatment interval)レジメンでは、薬剤投与来院時のCST、最高矯正視力文字数および臨床評価に基づいて投与間隔を調整(8週、12週または16週)した。
※2 ETDRS文字数(ETDRS視力検査表を用いて測定開始距離4mで評価)
投与スケジュール

最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量
[40/44/48週:主要評価項目(検証的解析結果)、104/108/112週:副次評価項目]
MMRM、ITT
TENAYA試験、LUCERNE試験ともに、40/44/48週時の最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量平均値において、ファリシマブ6mg投与群のアフリベルセプト2mg投与群に対する非劣性が検証されました。

※1 104/108/112週時の最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量平均値
※2 ファリシマブ6mg投与群-アフリベルセプト2mg投与群
CSTのベースラインからの変化量
[40/44/48週、104/108/112週:副次評価項目]
MMRM、ITT

※ 104/108/112週時のCSTのベースラインからの変化量平均値
Heier JS, et al.: Lancet. 2022; 399(10326): 729-740. 利益相反:本論文の著者にBayer、Regeneronよりコンサルタント料、助成金、講演料等を受領している者が含まれる。
Khanani AM, et al.: Ophthalmol Sci. 2021; 1(4): 100076.より改変 https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/
利益相反:本論文の著者にBayer、Regeneronよりコンサルタント料、助成金、講演料等を受領している者が含まれる。
Khanani AM, et al.: Ophthalmology. 2024; 131(8): 914-926.より改変 https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/
利益相反:本論文の著者にBayer、Regeneron、参天製薬よりコンサルタント料、助成金、講演料等を受領している者が含まれる。
安全性(112週間)
SAF
試験眼の有害事象
試験眼の有害事象は、TENAYA試験においてファリシマブ6mg投与群で333例中183例(55.0%)、アフリベルセプト2mg投与群で336例中190例(56.5%)、LUCERNE試験においてファリシマブ6mg投与群で331例中175例(52.9%)、アフリベルセプト2mg投与群で326例中155例(47.5%)に認められた。
試験眼の主な有害事象(いずれかの群で2%以上)

発現例数(発現割合%)
* 病態の悪化が認められた症例(治験担当医師判定)
眼以外の有害事象
眼以外の有害事象は、TENAYA試験においてファリシマブ6mg投与群で333例中252例(75.7%)、アフリベルセプト2mg投与群で336例中245例(72.9%)、LUCERNE試験においてファリシマブ6mg投与群で331例中235例(71.0%)、アフリベルセプト2mg投与群で326例中247例(75.8%)に認められた。
眼以外の主な有害事象(いずれかの群で2%以上)

発現例数(発現割合%)
試験眼の重篤な有害事象
試験眼の重篤な有害事象は、TENAYA試験においてファリシマブ6mg投与群で333例中14例、アフリベルセプト2mg投与群で336例中13例、LUCERNE試験においてファリシマブ6mg投与群で331例中15例、アフリベルセプト2mg投与群で326例中16例に認められた。

発現例数(発現割合%)
* 病態の悪化が認められた症例(治験担当医師判定)
眼以外の重篤な有害事象※
眼以外の重篤な有害事象は、TENAYA試験においてファリシマブ6mg投与群で333例中66例、アフリベルセプト2mg投与群で336例中76例、LUCERNE試験においてファリシマブ6mg投与群で331例中72例、アフリベルセプト2mg投与群で326例中86例に認められた。
※ 論文には発現例数と発現割合のみ記載されている。
有害事象による投与中止※
●TENAYA試験
ファリシマブ6mg投与群:
12例12件[眼障害5例(新生血管加齢黄斑変性*4件、ぶどう膜炎1件)、良性・悪性および詳細不明の新生物、神経系障害が各2件、感染症および寄生虫症、傷害・中毒および処置合併症、筋骨格系および結合組織障害が各1件]
アフリベルセプト2mg投与群:
9例10件[良性・悪性および詳細不明の新生物4件、眼障害2例(新生血管加齢黄斑変性*2件)、一般・全身障害および投与部位の状態、感染症および寄生虫症、神経系障害が各1件]
●LUCERNE試験
ファリシマブ6mg投与群:
16例16件[眼障害10例(新生血管加齢黄斑変性*5件、ぶどう膜炎2件、虹彩毛様体炎、網膜色素上皮裂孔、硝子体炎が各1件)、神経系障害4件、心臓障害、感染症および寄生虫症が各1件]
アフリベルセプト2mg投与群:
9例12件[眼障害5例(新生血管加齢黄斑変性*2件、角膜炎、非感染性眼内炎、ぶどう膜炎が各1件)、感染症および寄生虫症3件、神経系障害、呼吸器・胸郭および縦隔障害が各1件]
※ 論文には眼障害以外の投与中止に至った有害事象は器官別大分類のみ記載されている。
* 病態の悪化が認められた症例(治験担当医師判定)
APTC定義により判定された動脈血栓塞栓事象に基づく死亡※
APTC定義により判定された動脈血栓塞栓事象に基づく死亡は、TENAYA試験においてファリシマブ6mg投与群で333例中9例、アフリベルセプト2mg投与群で336例中3例、LUCERNE試験においてファリシマブ6mg投与群で331例中7例、アフリベルセプト2mg投与群で326例中8例に認められた。
※ 論文にはAPTC(Antiplatelet Trialists’Collaboration)定義により判定された動脈血栓塞栓事象に基づく死亡のみ記載されている。
Khanani AM, et al.: Ophthalmology. 2024; 131(8): 914-926.より改変 https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/
利益相反:本論文の著者にBayer、Regeneron、参天製薬よりコンサルタント料、助成金、講演料等を受領している者が含まれる。
日本人を含む国際共同第Ⅲ相試験:HAWK試験、第Ⅲ相試験:HARRIER試験(海外データ)
【ブロルシズマブのアフリベルセプト2mgに対する非劣性の検証】
注意:HAWK試験、HARRIER試験はブロルシズマブの第Ⅲ相試験です。
HAWK試験にはブロルシズマブ3mg投与群が含まれていますが、国内の承認用法及び用量の範囲を逸脱しているため、承認の範囲内の症例群のみに限定し、一部改変しています。
試験概要
目的
48週の最高矯正視力のベースラインからの変化量に関して、ブロルシズマブ6mgのアフリベルセプト2mgに対する非劣性を検証する
試験対象
50歳以上で試験眼が未治療の活動性CNVを伴うnAMD患者
[HAWK試験:1,078例(うち日本人患者は154例)、HARRIER試験:739例]
試験デザイン
多施設共同二重遮蔽無作為化並行群間比較試験
投与方法
対象患者をブロルシズマブ3mg投与群(HAWK試験のみ)、ブロルシズマブ6mg投与群、アフリベルセプト2mg投与群のいずれかに1:1:1で無作為に割り付け、導入期投与として各薬剤を4週ごとに3回硝子体内投与した後、維持期投与としてブロルシズマブ3mg投与群または6mg投与群は12週ごと、アフリベルセプト2mg投与群は8週ごとに硝子体内投与した(16週目の評価まではブロルシズマブ6mg投与群とアフリベルセプト2mg投与群の治療曝露期間が同一)。ブロルシズマブ3mg投与群または6mg投与群では、規定来院日に遮蔽医師による疾患活動性評価を行い、疾患活動性が認められた場合は試験終了時まで8週ごとに投与した。
主要評価項目
最高矯正視力文字数※1のベースラインからの変化量(48週)
最も重要な副次評価項目
最高矯正視力文字数のベースラインからの平均変化量(36~48週)
その他の副次評価項目
最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量(96週、各評価時点)、中心サブフィールド厚(CST)のベースラインからの変化量(16週、48週、96週および各評価時点)、CSTのベースラインからの平均変化量(36~48週)など
安全性評価項目
有害事象(試験眼および眼以外) など
解析計画
主要評価項目(検証的な解析)、最も重要な副次評価項目
FAS(無作為化された患者のうち、治験薬が1回以上投与された患者)を解析対象集団とし、欠測値はLOCF法を用いて補完した。ベースライン後の測定値がない患者ではベースライン値を、治験薬投与中止後も試験を継続した患者では治験薬以外のVEGF阻害剤を使用した時点で試験眼での有効性評価打切りとして、打切り直前のデータを用いた。
解析は、ベースラインの最高矯正視力区分(≦55文字、56~70文字、≧71文字)、年齢区分(<75歳、≧75歳)、投与群を固定効果とした分散分析(ANOVA)を行い、投与群間差(ブロルシズマブ6mg投与群-アフリベルセプト2mg投与群)の両側95%信頼区間の下限が非劣性マージンの-4文字より大きい場合に、アフリベルセプト2mg投与群に対するブロルシズマブ6mg投与群の非劣性が検証されることとした(有意水準は片側0.025)。
多重性の調整は階層的手法を適用し、主要評価項目、最も重要な副次評価項目の順にそれぞれブロルシズマブ6mg投与群 vs. アフリベルセプト2mg投与群、ブロルシズマブ3mg投与群 vs. アフリベルセプト2mg投与群※2の順に、先行する評価項目の検定が有意となった場合にのみ、次の評価項目の検定を行うこととした。
その他の副次評価項目
FASを解析対象集団とし、各評価時点の最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量および各評価時点のCSTのベースラインからの変化量については、主要評価項目と同様に解析した。HAWK試験では、主要評価項目および最も重要な副次評価項目における検定が有意となった場合は、その他の副次評価項目3項目[CST、IRFまたはSRFの有無、疾患活動性の有無]に対する優越性検定をブロルシズマブ6mg投与群、ブロルシズマブ3mg投与群の順に実施することとし、16週、48週、36~48週、96週の評価項目ごとに階層的にブロルシズマブ6mg投与群またはブロルシズマブ3mg投与群とアフリベルセプト2mg投与群を比較して、先行する評価項目について優越性が示された場合に次の検定を実施できることとした(有意水準は、CSTのベースラインからの変化は片側0.005、IRFまたはSRFの有無および疾患活動性の有無はそれぞれ片側0.01)。
なお、ブロルシズマブ6mg投与群は、12週ごとに投与した患者と8週ごとに投与した患者を併合解析した。
HAWK試験:その他の副次評価項目[CSTのベースラインからの平均変化量(36~48週)]でブロルシズマブ6mg投与群のアフリベルセプト2mg投与群に対する優越性が示されなかったため、検定を終了した。
※1 ETDRS文字数(ETDRS視力検査表を用いて測定開始距離4mで評価)
※2 ブロルシズマブ3mg投与群とアフリベルセプト2mg投与群との比較はHAWK試験のみ
投与スケジュール

最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量量
[48週:主要評価項目(検証的解析結果)、36~48週:最も重要な副次評価項目、96週:その他の副次評価項目]
LOCF、FAS
HAWK試験、HARRIER試験ともに、48週における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量において、ブロルシズマブ6mg投与群のアフリベルセプト2mg投与群に対する非劣性が検証されました。

※1 ブロルシズマブ6mg投与群-アフリベルセプト2mg投与群
※2 ベースラインの最高矯正視力区分(≦55文字、56~70文字、≧71文字)、年齢区分(<75歳、≧75歳)、投与群を固定効果とした
CSTのベースラインからの変化量
[16週、48週、36~48週および96週:その他の副次評価項目]
LOCF、FAS
HAWK試験では、16週および48週のCSTのベースラインからの変化量において、ブロルシズマブ6mg投与群のアフリベルセプト2mg投与群に対する優越性が示され、36~48週のCSTのベースラインからの平均変化量において、優越性は示されませんでした。

※1 ブロルシズマブ6mg投与群-アフリベルセプト2mg投与群
※2 ベースラインのCST区分(<400µm、≧400µm)、年齢区分(<75歳、≧75歳)、投与群を固定効果とした
Dugel PU, et al.: Ophthalmology. 2020; 127(1): 72-84. 利益相反:本論文の著者に参天製薬のサイエンスアドバイザリーボードのメンバー、Bayer、参天製薬のコンサルタント、
Bayer、参天製薬、Regeneronより謝礼、助成金、講演料を受領している者が含まれる。
Dugel PU, et al.: Ophthalmology. 2021; 128(1): 89-99. 利益相反:本論文の著者に参天製薬のサイエンスアドバイザリーボードのメンバー、Bayer、参天製薬、Regeneronの
コンサルタント、Bayer、参天製薬、Regeneronより経済的支援、Bayerより講演料を受領している者が含まれる。
安全性(96週間)
試験眼の有害事象
試験眼の有害事象は、HAWK試験においてブロルシズマブ6mg投与群で360例中220例(61.1%)、アフリベルセプト2mg投与群で360例中201例(55.8%)、HARRIER試験においてブロルシズマブ6mg投与群で370例中174例(47.0%)、アフリベルセプト2mg投与群で369例中176例(47.7%)に認められた。
試験眼の主な有害事象(いずれかの群で2%以上)

発現例数(発現割合%)
試験眼の重篤な有害事象
試験眼の重篤な有害事象は、HAWK試験においてブロルシズマブ6mg投与群で360例中12例、アフリベルセプト2mg投与群で360例中5例、HARRIER試験においてブロルシズマブ6mg投与群で370例中13例、アフリベルセプト2mg投与群で369例中6例に認められた。

発現例数(発現割合%)
-:本試験で報告されていない
眼以外の重篤な有害事象※
●HAWK試験
ブロルシズマブ6mg投与群:肺炎10例
アフリベルセプト2mg投与群:肺炎9例
●HARRIER試験
ブロルシズマブ6mg投与群:下肢骨折、失神が各3例
アフリベルセプト2mg投与群:肺炎8例
※ 論文には最も多く報告された有害事象のみ記載されている。
試験薬に関連する投与中止に至った有害事象、試験薬に関連する死亡※
※ 論文には試験薬に関連する投与中止に至った有害事象および試験薬に関連する死亡は記載されていない。
Dugel PU, et al.: Ophthalmology. 2021; 128(1): 89-99. 利益相反:本論文の著者に参天製薬のサイエンスアドバイザリーボードのメンバー、Bayer、参天製薬、Regeneronの
コンサルタント、Bayer、参天製薬、Regeneronより経済的支援、Bayerより講演料を受領している者が含まれる。