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DMEを対象とした抗VEGF薬の前向き大規模臨床試験から考えるアイリーアの有効性と安全性

DMEは糖尿病網膜症の初期から末期までどの段階でも併発する疾患で、視力低下や失明の原因となるため、長期に渡り継続した治療が必要です。主流となりつつある抗VEGF薬治療においては、エビデンスが多く揃ってきていますので、これらを適切に理解し、有効性と安全性のバランスを考慮した治療方針を検討することが重要であると考えます。本資材では、アイリーアを含めた日本で承認されている抗VEGF薬の前向き大規模臨床試験を紹介していますので、今後のDMEにおける治療戦略検討の一助としていただければ幸いです。

坂本 泰二 先生

坂本 泰二 先生

鹿児島大学大学院
医歯学総合研究科
先進治療科学専攻 感覚器病学講座
眼科学分野 教授


日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:VIVID-DME試験、第Ⅲ相試験:VISTA-DME試験(海外データ)
【レーザー治療に対する優越性の検証】

試験概要

目的

中心窩に及ぶ糖尿病黄斑浮腫(DME)を有する患者を対象に、アイリーアの有効性について黄斑レーザー光凝固術に対する優越性を検証するとともに、安全性および忍容性についても検討する

試験対象

中心窩に及ぶDMEを有する患者
VIVID-DME試験:406例(うち日本人患者は77例)、VISTA-DME試験:466例

[主な選択基準]
1型あるいは2型糖尿病を有する18歳以上の男女かつ

  • 試験眼に、黄斑の中心窩(OCTで測定される黄斑の中心部領域)に及ぶDMEを有する
  • 試験眼にDMEが原因の視力低下を有する
  • スクリーニング時における試験眼のETDRS視力表による最高矯正視力文字数が73~24文字(スネレン視力で20/40~20/320)
  • 試験眼のOCTによる網膜厚が300μm以上(VIVID-DME試験のみ)など

[主な除外基準]

  • 試験眼に網膜硝子体手術や強膜バックリング(VIVID-DME試験のみ)による治療歴を有する
  • 試験眼に初回投与日の前90日以内に、汎網膜光凝固術または黄斑レーザー光凝固術による治療歴を有する
  • 試験眼に黄斑レーザー治療を過去3回以上実施(VIVID-DME試験のみ)、またはレーザー治療による効果が期待できないと試験担当医師が判断
  • 試験眼に初回投与日の前120日以内に、眼内または眼周囲に副腎皮質ステロイド剤による治療歴を有する
  • 試験眼(VIVID-DME試験ではいずれかの眼)に初回投与日の前90日以内に、VEGF阻害剤による治療歴を有する
  • 試験眼に活動性のPDRを有する
  • コントロール不良の糖尿病を有する(VIVID-DME試験:HbA1c 12%超、VISTA-DME試験:試験担当医師の判断)
  • コントロール不良の高血圧(座位での収縮期血圧160mmHg超、または拡張期血圧95mmHg超)を有する
  • 初回投与日の前180日以内に、脳血管障害または心筋梗塞の既往を有する
  • 透析または腎移植を必要とする腎不全を有する など
試験デザイン

無作為化二重遮蔽比較対照試験

投与方法

対象患者を、アイリーア投与群(4週ごと投与群a)、8週ごと投与群a)※1およびレーザー治療群a,b)の3群に無作為に割り付けた。アイリーア4週ごと投与群ではアイリーア2mgを4週ごとに投与した。アイリーア8週ごと投与群では、アイリーア2mgを4週ごとに5回投与した後、24週目以降は8週ごとに投与した。レーザー治療群では黄斑レーザー光凝固術による治療をベースライン時に1回行い、12週目以降はレーザー再治療基準に従い再治療を12週間に1回を超えない頻度で必要に応じて実施した(4週ごとに偽注射も実施)。

主な有効性評価項目

主要評価項目:
52週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量

副次評価項目:
① 52週目にベースラインから10文字以上の視力改善がみられた患者の割合
② 52週目にベースラインから15文字以上の視力改善がみられた患者の割合
③ 52週目におけるETDRS糖尿病網膜症の重症度スコアが2段階以上低下した患者の割合
④ 52週目における中心網膜厚(CRT)※2のベースラインからの変化量
⑤ 52週目におけるNEI VFQ-25「近見視力による行動」サブスケールスコアのベースラインからの変化量
⑥ 52週目におけるNEI VFQ-25「遠見視力による行動」サブスケールスコアのベースラインからの変化量

追加評価項目:
100および148週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量、100および148週目におけるCRTのベースラインからの変化量 など

主な安全性評価項目

有害事象、副作用、重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象、死亡、APTC定義による動脈血栓塞栓事象 など

解析計画

検証的な解析
主要評価項目(FAS):アイリーア投与群のレーザー治療群に対する優越性の検証(両側有意水準2.5%)
副次評価項目(FAS):同上。ただし、検定の多重性を考慮し、主要評価項目で優越性が検証された場合に限り、事前に定めた順序(①から昇順)に従い検定を行う。

探索的な解析
追加評価項目(FAS)
部分集団解析:VIVID-DME試験における日本人の部分集団解析、糖尿病罹病期間別、ベースライン時のHbA1c別の部分集団解析 など

※1 アイリーア投与群は初回投与日にレーザー偽照射を実施し、12週目以降にレーザー再治療基準を満たす場合はレーザー偽照射を実施した。
※2 中心網膜厚(CRT:central retinal thickness):中心サブフィールド(中心窩から直径1mmの範囲)の網膜厚
a)24週目以降、追加治療基準に従い、必要に応じてレーザー治療群にはアイリーア2mg投与(4週ごと5回投与後、以降8週ごとに投与)、アイリーア投与群にはレーザー治療を実施
b)100週目以降、レーザー治療に加え、アイリーア再投与基準に従い、必要に応じてアイリーア2mgを投与
レーザー治療はmodified ETDRS法で実施した。

最高矯正視力文字数の変化量の推移(主要評価項目:52週、追加評価項目:100週、148週)1,2)

LOCF、FAS

52週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量は、アイリーアのすべての投与群でレーザー治療群に対する優越性が検証されました1)

最高矯正視力文字数の変化量の推移(主要評価項目:52週、追加評価項目:100週、148週)

LOCF:最終評価スコア外挿法(欠測値は直前の測定値を用いて補完した。なお、追加治療後の測定値は打ち切りとし、追加治療を受ける直前の測定値により補完した。
ただし、100週目以降のレーザー治療群のPRN投与は打ち切りとはしない。)
※治療群および地域を固定効果、最高矯正視力文字数のベースライン値を共変量としたANCOVAモデル

CSTのベースラインからの変化量(副次評価項目:52週、追加評価項目:100週、148週)1,2)

LOCF、FAS

CST†のベースラインからの変化量(副次評価項目:52週、追加評価項目:100週、148週)

† 中心サブフィールド厚(CST:central subfield thickness):中心1mmの範囲の網膜肥厚、本試験においてCRTと同義
※ 治療群および心筋梗塞または脳血管障害の既往を固定効果、CSTのベースライン値を共変量としたANCOVAモデル

バイエル薬品社内資料[日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:VIVID-DME試験、海外第Ⅲ相試験:VISTA-DME試験(外国人)]承認時評価資料、
Brown DM, et al.: Ophthalmology 2015; 122: 2044-2052(文献1)
Heier JS, et al.: Ophthalmology 2016; 123: 2376-2385(文献2)
利益相反:本研究はRegeneronおよびBayerの支援により行われた。著者のうち7名1)または6名2)はRegeneronあるいはBayerの社員である。
著者には、Regeneron、Bayer、参天製薬からコンサルタント料、研究資金などを受領している者が含まれる。

安全性

SAF

安全性(VIVID-DME:52週間、VISTA-DME:52/100週間)

有害事象

VIVID-DME試験
アイリーア4週ごと投与群で136例中119例(87.5%)、8週ごと投与群で135例中119例(88.1%)、レーザー治療群で133例中112例(84.2%)に認められた。

VISTA-DME試験(52週間)
アイリーア4週ごと投与群で155例中142例(91.6%)、8週ごと投与群で152例中139例(91.4%)、レーザー治療群で154例中146例(94.8%)に認められた。

VISTA-DME試験(100週間)
アイリーア4週ごと投与群で155例中152例(98.1%)、8週ごと投与群で152例中148例(97.4%)、レーザー治療群で154例中150例(97.4%)に認められた。

主な有害事象

VIVID-DME試験
アイリーア4週ごと投与群:結膜出血33例(24.3%)、鼻咽頭炎25例(18.4%)、糖尿病性網膜浮腫23例(16.9%)、視力低下19例(14.0%)、高血圧16例(11.8%)、眼圧上昇14例(10.3%)など
アイリーア8週ごと投与群:結膜出血34例(25. 2%)、鼻咽頭炎22例(16. 3%)、視力低下21例(15. 6%)、高血圧19例(14.1%)、糖尿病性網膜浮腫17例(12. 6%)、網膜出血15例(11.1%)、網膜滲出物14例(10. 4%)など
レーザー治療群:視力検査異常25例(18. 8%)、視力低下22例(16. 5%)、鼻咽頭炎20例(15.0%)、高血圧17例(12.8%)など

VISTA-DME試験
アイリーア4週ごと投与群:結膜出血60例(38.7%)、高血圧38例(24.5%)、眼痛23例(14.8%)、硝子体浮遊物19例(12.3%)など
アイリーア8週ごと投与群:結膜出血45例(29.6%)、高血圧28例(18.4%)、眼痛19例(12.5%)、黄斑線維症17例(11.2%)など
レーザー治療群:結膜出血55例(35.7%)、高血圧34例(22.1%)など

試験薬に関連する重篤な有害事象

VIVID-DME試験
アイリーア4週ごと投与群:虚血性脳卒中1例
アイリーア8週ごと投与群:高血圧性心疾患1例
レーザー治療群:腸炎1例

VISTA-DME試験
アイリーア4週ごと投与群:脳幹卒中・脳血管発作・心停止 各1例
アイリーア8週ごと投与群:眼圧上昇・脳血管発作 各1例
レーザー治療群:脳血管発作1例

試験薬に関連する投与中止に至った有害事象

VIVID-DME試験
アイリーア4週ごと投与群:虚血性脳卒中・心筋虚血・脳梗塞 各1例
アイリーア8週ごと投与群:腎機能障害・末梢動脈閉塞性疾患 各1例
レーザー治療群:腸炎・突然視力消失・非感染眼内炎 各1例

VISTA-DME試験
アイリーア4週ごと投与群:脳幹卒中1例

試験薬に関連する死亡

VISTA-DME試験
アイリーア8週ごと投与群:高血圧性心疾患1例

VIVID-DME試験
アイリーア4週ごと投与群:心停止・脳血管発作 各1例

SAF(Safety Analysis Set):安全性解析対象集団

バイエル薬品社内資料[日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:VIVID-DME試験、海外第Ⅲ相試験:VISTA-DME試験(外国人)]承認時評価資料

安全性(148週、VISTA-DME試験およびVIVID-DME試験の併合解析)

【試験眼にみられたすべての重篤な有害事象:主な内訳】

アイリーア4週ごと投与群 291例中25例(8.6%):
白内障9例(3.1%)、硝子体出血4例(1.4%)、網膜剥離3例(1.0%)、網膜血管障害、眼内炎、白内障手術 各2例(0.7%)

アイリーア8週ごと投与群 287例中18例(6.3%):
白内障6例(2.1%)、硝子体出血3例(1.0%)、網膜剥離、嚢下白内障 各2例(0.7%)、網膜動脈閉塞症、視力低下、眼内炎、眼内圧上昇、視野欠損、白内障手術 各1例(0.3%)

レーザー治療群 287例中18例(6.3%):
硝子体出血5例(1.7%)、糖尿病網膜症4例(1.4%)、網膜血管新生3例(1.0%)、白内障手術2例(0.7%)

【すべての全身性の重篤な有害事象:主な内訳】

アイリーア4週ごと投与群 291例中128例(44.0%):
うっ血性心不全11例(3.8%)、貧血、急性腎障害各10例(3.4%)、蜂窩織炎、脳血管イベント 各9例(3.1%)、心筋梗塞8例(2.7%)

アイリーア8週ごと投与群 287例中124例(43.2%):
蜂窩織炎10例(3.5%)、急性腎障害9例(3.1%)、貧血、うっ血性心不全、肺炎 各7例(2.4%)、脳血管イベント6例(2.1%)

レーザー治療群 287例中116例(40.4%):
急性腎障害9例(3.1%)、蜂窩織炎、急性心筋梗塞 各7例(2.4%)、うっ血性心不全、骨髄炎、高カリウム血症 各6例(2.1%)、脳血管イベント、腎不全 各5例(1.7%)

【148週目までに発現したAPTC定義による動脈血栓塞栓事象
148週目までに発現したAPTC定義による動脈血栓塞栓事象

※APTC-ATEs:Anti-Platelet Trialists'Collaborationが定義する動脈血栓塞栓事象、 遮蔽委員会が判定

Heier JS, et al.: Ophthalmology 2016; 123: 2376-2385
利益相反:本研究はRegeneronおよびBayerの支援により行われた。著者のうち6名はRegeneronあるいはBayerの社員である。
著者には、Regeneron、Bayer、参天製薬からコンサルタント料、研究資金などを受領している者が含まれる。


DRCR.net<Protocol T試験>の2年成績(海外データ)
【アイリーアとラニビズマブの比較】

注意:糖尿病黄斑浮腫を対象とした本試験のラニビズマブ投与群の用量は試験実施国(米国)で承認された0.3mgですが、国内承認用量は0.5mgです。
また、ベバシズマブは糖尿病黄斑浮腫に対して試験実施国および国内未承認のため、ベバシズマブ投与群の結果を削除しています。

試験概要

目的

中心窩に及ぶ糖尿病黄斑浮腫(DME)を有する患者を対象に、(1)アイリーア硝子体内投与、(2)ベバシズマブ硝子体内投与、(3)ラニビズマブ硝子体内投与の有効性および安全性を比較検討すること

試験対象

中心窩に及ぶDMEを有する患者660例660眼※1

試験デザイン

多施設共同無作為化比較試験

投与方法

対象患者を、アイリーア2.0mg投与群、ベバシズマブ1.25mg投与群、ラニビズマブ0.3mg投与群の3群に無作為に割り付けた。いずれの治療群においても、初回投与後は再治療プロトコルに従って再治療が行われ、24週目以降はレーザー実施基準に従ってレーザー治療が実施された。52週目までは4週ごと来院とし、52週目以降は4週ごと来院を基本とし、疾患状態および治療内容に従って8週ごと、16週ごとの来院に延長可能とされていたが、52週目と104週目は全患者の来院が規定されていた。

評価項目

主要評価項目:1年目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量(ベースラインの最高矯正視力で調整)
副次評価項目:1年目における中心サブフィールド厚(CST)の変化量 など
その他の評価項目:2年目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量(ベースラインの最高矯正視力で調整)、CSTの変化量 など
主な安全性評価項目:投与手技に関連する※2、薬剤に関連する(眼※3、全身性※4)有害事象 など

解析計画
  • 主要評価項目については、ベースライン視力を調整した共分散分析(ANCOVA)により群間比較を行う。その際、Hochberg法により多重性の調整を行う。欠測値については多重代入法を用いて補完する。平均値から3SD以上の外れ値は除外する。
  • 副次評価項目については、評価項目に応じ、ベースライン因子を調整したANCOVAなど適切な手法を用いて検討する。
  • 安全性評価項目については、片眼のみ、あるいは両眼とも投与を受けた患者群ごとの全身性有害事象の発現状況についても検討する。
  • 事前に規定した解析として、主要評価項目および副次評価項目(1年目におけるCSTの変化量)について、ベースライン視力(<20/40 vs ≧20/40)による層別解析を行うとともに交互作用についても検討する。
  • 2年目については1年目の統計解析手法を踏襲する。

※1:試験対象眼は各患者片眼のみとする
※2:眼内炎、牽引性網膜剥離、裂孔原性網膜剥離、網膜裂孔、白内障、眼内出血、眼圧上昇
※3:炎症、牽引性網膜剥離、牽引性網膜剥離の悪化・黄斑部への進行
※4:高血圧、腎事象、胃・消化管事象、APTC定義に基づく動脈血栓塞栓事象

最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量1,2)

アイリーア投与群の52週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量は平均+13.3文字であり、ラニビズマブ投与群の平均+11.2文字に比べて有意差が認められました。

※ベースライン視力と治療群との間に有意な交互作用が認められました

最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量1

※「ベースライン視力×治療群」の交互作用が認められた(52週:p<0.001、104週:p=0.02)

注)
統計解析はベバシズマブ1.25mg投与群を踏まえた結果を示す
ANCOVAによりベースライン視力を調整し、Hochberg法により多重性を調整したp値および信頼区間
欠測値は多重代入法を用いて補完し、平均値から3SD以上の外れ値は除外

最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量(層別解析:ベースライン視力20/50以下)1,2)

最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量(層別解析:ベースライン視力20/50以下)
注)
統計解析はベバシズマブ1.25mg投与群を踏まえた結果を示す
ANCOVAによりベースライン視力を調整し、Hochberg法により多重性を調整したp値および信頼区間
欠測値は多重代入法を用いて補完し、平均値から3SD以上の外れ値は除外

CSTのベースラインからの変化量1,2)

CSTのベースラインからの変化量

※「ベースライン視力×治療群」の交互作用が認められた(52週:p<0.001、104週:p<0.001)

注)
統計解析はベバシズマブ1.25mg投与群を踏まえた結果を示す
ANCOVAによりベースライン視力を調整し、Hochberg法により多重性を調整したp値および信頼区間
欠測値は多重代入法を用いて補完し、平均値から3SD以上の外れ値は除外

1)The Diabetic Retinopathy Clinical Research Network: N Engl J Me d. 2015; 372: 1193-1203(文献1)、2)Wells JA, et al.: Ophthalmology. 2016; 123: 1351‒1359(文献2)

利益相反:本試験で用いられた薬剤(アフリベルセプト)はRegeneronより提供された。
著者にRegeneron、Bayerから経済的支援、謝礼を受領している者(文献1、2)、Regeneronの株式所有者(文献2)が含まれる。

本邦におけるラニビズマブの糖尿病黄斑浮腫に対する用法及び用量
ラニビズマブ(遺伝子組換え)として1回あたり0.5mg(0.05mL)を硝子体内投与する。投与間隔は、1ヵ月以上あけること。

安全性

安全性(VIVID-DME:52週間、VISTA-DME:52/100週間)

試験眼に発現した眼の有害事象
  • アフリベルセプト2mg投与群:224例中、霧視54例(24.1%)、硝子体浮遊物41例(18.3%)、結膜出血34例(15.2%)、白内障28例(12.5%)、眼痛25例(11.2%)、視力低下22例(9.8%)、眼乾燥20例(8.9%)、囊下白内障17例(7.6%)、眼刺激16例(7.1%)、流涙増加15例(6.7%)、硝子体出血15例(6.7%)、視力障害12例(5.4%)であった。
  • ラニビズマブ0.3mg投与群:218例中、霧視50例(22.9%)、硝子体浮遊物49例(22.5%)、結膜出血26例(11.9%)、眼痛23例(10.6%)、視力低下22例(10.1%)、眼乾燥20例(9.2%)、眼そう痒症16例(7.3%)、眼刺激15例(6.9%)、白内障13例(6.0%)、流涙増加11例(5.0%)、眼充血11例(5.0%)であった。
全身性の有害事象
  • アフリベルセプト投与群:224例中、高血圧39例(17.4%)、鼻咽頭炎39例(17.4%)、咳嗽22例(9.8%)、貧血、頭痛および副 鼻腔炎 各20例(8.9%)、嘔吐および尿路感染 各17例(7.6%)、インフルエンザ16例(7.1%)、コントロール不良の糖尿病、高コ レステロール血症、上気道感染 各15例(6.7%)、胃食道逆流性疾患、季節性アレルギーおよび慢性腎不全 各14例(6.3%)、低血糖、背部痛および浮動性めまい 各13例(5.8%)、悪心、転倒、腎不全、気管支炎および蜂巣炎 各12例(5.4%)であった。
  • ラニビズマブ投与群:218例中、高血圧44例(20. 2%)、鼻咽頭炎29例(13. 3%)、インフルエンザおよび頭痛 各20例(9. 2%)、上気道感染19例(8. 7%)、肺炎および副鼻腔炎 各18例(8. 3%)、背部痛17例(7. 8%)、貧血15例(6.9%)、コントロール不良の糖尿病、浮動性めまいおよび咳嗽 各14例(6.4%)、下痢、ウイルス性胃腸炎、悪心 各13例(6.0%)、うっ血性心不全、ビタミンD欠乏、腎不全、尿路感染および蜂巣炎 各12例(5.5%)、低血糖、末梢性浮腫、季節性アレルギー、転倒、脱水、関節痛および気管支炎11例(5.0%)であった。

(ICH国際医薬用語集(MedDRA)のコード化を用いたメディカルモニターに基づく事象)
*:発現率5.0%以上とする

事前に規定された注目すべき試験眼の有害事象(2年間)

事前に規定された注目すべき試験眼の有害事象(2年間)

†:米国食品医薬品庁がDME治療にラニビズマブ0.3mgを承認する前に、試験対象眼のうち7眼が1回、2眼が2回のラニビズマブ0.5mg注射を受けた。
‡:いずれかの来院時点で眼圧がベースラインから10mmHg以上上昇、いずれかの来院時点で眼圧が30mmHg以上、ベースライン時には使用していなかった眼圧を下げるための薬物療法の開始、緑内障手術を含む。

事前に規定された注目すべき全身性の有害事象(2年間)

事前に規定された注目すべき全身性の有害事象(2年間)

¶:ICH 国際医薬用語集(MedDRA)の器官別大分類の胃腸障害の事象を含む。
#:MedDRAの器官別大分類の内因性腎障害を示す腎および尿路障害事象のサブセットに加えて、他の器官別大分類の血中クレアチニン上昇もしくは異常または腎移植を含む。

心血管事象(片眼のみ、あるいは両眼とも抗VEGF薬治療を受けた患者の事前に規定された部分集団解析、2年間)

心血管事象(片眼のみ、あるいは両眼とも抗VEGF薬治療を受けた患者の事前に規定された部分集団解析、2年間)

†:MedDRAの器官別大分類の心臓障害またはメディカルモニターによりコード化された血管障害の事象を含む。上記の器官別大分類下でコード化されていないが心臓事象または血管事象もしくはインターベンションに関連する以下の追加的事象もまた、心血管事象として定義される:心雑音、心臓ペースメーカー植え込み術/交換、冠動脈ステント挿入術、心拍が不規則、心臓移植、植込み型除細動器植え込み術、ステント挿入、およびトロポニン増加。複数の事象を有する参加者は、全体の作表では1回のみ含められているが、複数の下位分類に含められた可能性がある。

Wells JA, et al.: Ophthalmology. 2016; 123: 1351‒1359
利益相反:本試験で用いられた薬剤(アフリベルセプト)はRegeneronより提供された。
著者にRegeneron、Bayerから経済的支援、謝礼を受領している者、Regeneronの株式所有者が含まれる。


日本人を含む国際共同第Ⅲ相試験:YOSEMITE試験、第Ⅲ相試験:RHINE試験(海外データ)
【ファリシマブのアイリーアに対する非劣性の検証】

注意:YOSEMITE試験、RHINE試験はファリシマブの第Ⅲ相試験です。

試験概要

目的

糖尿病性黄斑浮腫(DME)患者を対象に、ファリシマブを8週ごとまたは最長16週ごとのPTIレジメンで投与したときの有効性について、アイリーア8週ごと投与に対する非劣性を検証するとともに、安全性及び忍容性についても検討する。

試験対象

中心窩に及ぶDMEを有する患者
YOSEMITE試験:940例、RHINE試験:951例

試験デザイン

多施設共同無作為化二重遮蔽実薬対照並行群間比較試験

投与方法

対象患者をファリシマブ8週ごと投与群、ファリシマブPTI投与群、アイリーア8週ごと投与群に1:1:1で無作為に割り付けた。ファリシマブ8週ごと投与群は、ファリシマブ6.0mgを4週ごとに6回硝子体内投与した後、96週時まで8週ごとに投与した。ファリシマブPTI投与群は、ファリシマブ6.0mgを4週ごとに4回硝子体内投与した後、疾患活動性評価に基づき96週時までPTIレジメン※1で投与を継続した。アイリーア8週ごと投与群は、アイリーア2.0mgを4週ごとに5回硝子体内投与した後、96週時まで8週ごとに投与した。

主要評価項目

48、52、56週時の最高矯正視力文字数※2のベースラインからの変化量平均値

副次評価項目

最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量の推移
48、52、56週時の中心サブフィールド厚(CST)のベースラインからの変化量平均値、CSTのベースラインからの変化量の推移 など

安全性評価項目

有害事象(治療対象眼および眼以外)など

解析計画

ITT(無作為化された全ての患者)を有効性解析対象集団とし、欠測データはMMRMにより暗黙的に補完した。
主要評価項目の解析は、応答変数として4~56週時の最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量、固定効果として、カテゴリ共変量である投与群、時点、投与群と時点の交互作用、ベースラインの最高矯正視力文字数、ベースラインの最高矯正視力文字数(<64文字、≧64文字)、抗VEGF薬硝子体内治療歴の有無(ITT集団のみ)、地域を含めたMMRMモデルを用い、投与群間差(ファリシマブ8週ごと投与群又ファリシマブPTI投与群とアイリーア8週ごと投与群との差)の97.52%信頼区間の下限が非劣性マージンの-4文字より大きい場合に、アイリーア8週ごと投与群に対するファリシマブ8週ごと投与群、ファリシマブPTI投与群の非劣性が検証されることとした。副次評価項目は、主要評価項目と同様に解析した。

※1:PTI(personalized treatment interval)レジメンでは、薬剤投与来院時のCST、最高矯正視力文字数及び臨床評価に基づいて投与間隔を調整(4週から16週まで)した。
※2:ETDRS文字数(EDTRS視力検査表を用いて測定開始距離4mで評価)

最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量
(主要評価項目:48/52/56週、副次評価項目:変化量の推移)

MMRM、ITT

YOSEMITE 試験、RHINE 試験ともに、48、52、56 週時点の最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量平均値において、ファリシマブ8週ごと投与群およびPTI 投与群のアイリーア8週ごと投与群に対する非劣性が検証されました。

最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量(主要評価項目:48/52/56週、副次評価項目:変化量の推移)
最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量(主要評価項目:48/52/56週、副次評価項目:変化量の推移)

CSTのベースラインからの変化量
(副次評価項目:48/52/56週、変化量の推移)

MMRM、ITT

CSTのベースラインからの変化量(副次評価項目:48/52/56週、変化量の推移)

Wykoff CC, et al.: Lancet. 2022; 399(10326): 741-755.
利益相反:本論文の著者にBayer、Regeneron、参天製薬より研究費、コンサルタント料を受領しているものが含まれる。

安全性

SAF

有害事象(56週)

眼に関連する主な有害事象(治療対象眼、いずれかの群で2%以上)

眼に関連する主な有害事象は、YOSEMITE試験においてファリシマブ8週ごと投与群で313例中98例(31.3%)、ファリシマブPTI投与群で313例中106例(33.9%)、アイリーア8週ごと投与群で311例中102例(32.8%)、RHINE試験においてファリシマブ8週ごと投与群で317例中137例(43.2%)、ファリシマブPTI投与群で319例中119例(37.3%)、アイリーア8週ごと投与群で314例中113例(36.0%)に認められた。

眼に関連する主な有害事象(治療対象眼、いずれかの群で2%以上)

眼以外の主な有害事象(いずれかの群で2%以上)

眼以外の主な有害事象は、YOSEMITE試験においてファリシマブ8週ごと投与群で313例中204例(65.2%)、ファリシマブPTI投与群で313例中210例(67.1%)、アイリーア8週ごと投与群で311例中203例(65.3%)、RHINE試験においてファリシマブ8週ごと投与群で317例中189例(59.6%)、ファリシマブPTI投与群で319例中175例(54.9%)、アイリーア8週ごと投与群で314例中187例(59.6%)に認められた。

眼以外の主な有害事象(いずれかの群で2%以上)

眼に関連する重篤な有害事象(SAE)(治療対象眼)

眼に関連するSAEは、YOSEMITE試験においてファリシマブ8週ごと投与群で313例中6例、ファリシマブPTI投与群で313例中9例、アイリーア8週ごと投与群で311例中2例、RHINE試験においてファリシマブ8週ごと投与群で317例中9例、ファリシマブPTI投与群で319例中10例、アイリーア8週ごと投与群で314例中6例に認められた。

●YOSEMITE試験

ファリシマブ8週ごと投与群:医療機器位置異常、糖尿病性網膜浮腫、糖尿病性網膜症、緑内障、前房狭隅角、裂孔原性網膜剥離、ウイルス性角膜ぶどう膜炎、硝子体出血 各1例
ファリシマブPT I 投与群:ぶどう膜炎3例、眼内炎2例、脈絡網膜炎、糖尿病性網膜浮腫、角膜ぶどう膜炎、高眼圧症、網膜裂孔、ぶどう膜炎性緑内障 各1例
アイリーア8週ごと投与群:白内障、網膜動脈閉塞 各1例

●RHINE試験

ファリシマブ8週ごと投与群:白内障2例、糖尿病性網膜浮腫2例、眼内炎2例、眼乾燥、インフルエンザ、一過性視力低下、硝子体出血 各1例
ファリシマブPT I 投与群:嚢下白内障、糖尿病性網膜浮腫、眼圧上昇、高眼圧症、網膜血管新生、網膜裂孔、網膜静脈閉塞、一過性視力低下、視力障害、硝子体出血 各1例
アイリーア8週ごと投与群:白内障、眼部化学熱傷、眼内炎、黄斑線維症、一過性視力低下、硝子体出血 各1例

眼以外の重篤な有害事象(SAE)

●YOSEMITE試験

ファリシマブ8週ごと投与群で313例中75例、ファリシマブPTI投与群で313例中64例、アイリーア8週ごと投与群で311例中50例に認められた。

●RHINE試験

ファリシマブ8週ごと投与群で317例中52例、ファリシマブPTI投与群で319例中39例、アイリーア8週ごと投与群で314例中52例に認められた。

※論文には発現例数と発現率のみ記載されている。

有害事象による投与中止

●YOSEMITE試験

ファリシマブ8週ごと投与群で6例7件(眼障害2件[裂孔原性網膜剥離、硝子体炎]、治験担当医師判断、良性/悪性および詳細不明の新生物、神経系障害、腎および尿路障害、血管障害 各1件)、ファリシマブPTI投与群で8例8件(眼障害2件[ぶどう膜炎2件]、感染症および寄生虫症2件、良性/悪性および詳細不明の新生物2件、心臓障害、免疫系障害 各1件)、アイリーア8週ごと投与群で3例3件(眼障害1件[網膜動脈閉塞閉塞1件]、免疫系障害、神経系障害 各1件)であった。

●RHINE試験

ファリシマブ8週ごと投与群で4例4件(心臓障害、感染症および寄生虫症、良性/悪性および詳細不明の新生物、神経系障害各1件)、ファリシマブPTI投与群で4例4件(眼障害3件[糖尿病性眼病変、高眼圧症、角膜ぶどう膜炎 各1件]、良性/悪性および詳細不明の新生物1件)、アイリーア8週ごと投与群で4例4件(神経系障害2件、感染症および寄生虫症、良性/悪性および詳細不明の新生物 各1件)であった。

※論文には眼障害以外の投与中止に至った有害事象は器官別大分類のみ記載されている。

APTC定義により判定された動脈血栓塞栓事象に基づく死亡

●YOSEMITE試験

ファリシマブ8週ごと投与群:2例
ファリシマブPTI投与群:6例
アイリーア8週ごと投与群:2例

●RHINE試験

ファリシマブ8週ごと投与群:3例
ファリシマブPTI投与群:0例
アイリーア8週ごと投与群:2例

※論文にはAPTC(Antiplatelet Trialists’Collaboration)定義により判定された動脈血栓塞栓事象に基づく死亡のみ記載されている。

Wykoff CC, et al.: Lancet. 2022; 399(10326): 741-755.
利益相反:本論文の著者にBayer、Regeneron、参天製薬より研究費、コンサルタント料を受領しているものが含まれる。


日本人を含む国際共同第Ⅲ相試験:KESTREL試験、第Ⅲ相試験:KITE試験(海外データ)
【ブロルシズマブのアイリーアに対する非劣性の検証】

注意:KESTREL試験、KITE試験はブロルシズマブの第Ⅲ相試験です。
KESTREL試験にはブロルシズマブ3mg投与群が含まれていますが、国内の承認用法及び用量の範囲を逸脱しているため、承認の範囲内の症例群のみに限定し、一部改変しています。

試験概要

目的

52週の最高矯正視力のベースラインからの変化量に関して、ブロルシズマブ6mgのアイリーア2mgに対する非劣性を検証する。

試験対象

中心窩に及ぶDMEを有する患者
KESTREL試験:566例、KITE試験:360例

試験デザイン

多施設共同無作為化二重遮蔽実薬対照比較試験

投与方法

対象患者をブロルシズマブ3mg投与群(KESTREL試験のみ)、ブロルシズマブ6mg投与群、アイリーア2mg投与群のいずれかに1:1:1で無作為に割り付け、導入期投与としてブロルシズマブ投与群では6週ごとに5回硝子体内投与した後、維持期投与として12週ごと、アイリーア投与群は4週ごとに5回硝子体内投与した後、維持期投与として8週ごとに硝子体内投与した。ブロルシズマブ投与群では、規定来院日に遮蔽医師による疾患活動性評価を行い、疾患活動性が認められた場合は試験終了時まで8週ごとに投与した。

主要評価項目

最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量(52週)

最も重要な副次評価項目

最高矯正視力文字数のベースラインからの平均変化量(40~52週)

その他の副次評価項目

最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量(各評価時点)
中心サブフィールド厚(CST)のベースラインからの変化量(52週、40~52週、各評価時点)など

安全性評価項目

有害事象(治療対象眼および眼以外)など

解析計画

主要評価項目、最も重要な副次評価項目
FAS(無作為化された患者のうち、治験薬が1回以上投与された患者)を解析対象集団とし、欠測値はLOCF法を用いて補完した。ベースライン後の測定値がない患者ではベースライン値を用いた。他のDME治療への切替え後のデータは打切りとみなし、LOCF法により他治療への切替え直前の実測値で補完した。
解析は、群、ベースラインの最高矯正視力区分(≦65文字、>65文字)、年齢区分(<65歳、≧65歳)を固定効果とした分散分析(ANOVA)を行い、投与群間差(ブロルシズマブ6mg投与群-アイリーア2mg投与群)の両側95%信頼区間の下限が非劣性マージンの-4文字より大きい場合に、アイリーア2mg投与群に対するブロルシズマブ6mg投与群の非劣性が検証されることとした(有意水準は片側0.025)。
多重性の調整は階層的手法を適用し、主要評価項目、最も重要な副次評価項目の順に、それぞれブロルシズマブ6mg投与群vs. アイリーア2mg投与群、ブロルシズマブ3mg投与群vs. アイリーア2mg投与群の順に、先行する評価項目について非劣性が検証された場合に次の評価項目の非劣性を検証できることとした。

その他の副次評価項目
FASを解析対象集団とし、各評価時点の最高矯正視力スコアのベースラインからの変化量および各評価時点のCSTのベースラインからの変化量については、主要評価項目と同様に解析した。主要評価項目および最も重要な副次評価項目で非劣性が検証された場合は、CSTのベースラインからの平均変化量(40~52週)について、アイリーア2mg投与群に対するブロルシズマブ6mg投与群の優越性検定を実施することとした(有意水準は片側0.025)。
なお、ブロルシズマブ6mg投与群は、12週ごとに投与した患者と8週ごとに投与した患者を併合解析した。

※:ETDRS文字数(ETDRS視力検査表を用いて測定開始距離4mで評価)

最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量
(主要評価項目:52週、最も重要な副次評価項目:40~52週、その他の副次評価項目:各評価時点)

LOCF、FAS

KESTREL試験、KITE試験ともに、52週における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量、および40~52週における平均変化量において、ブロルシズマブ6mg投与群のアイリーア2mg投与群に対する非劣性が検証されました。

最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量

*:ベースラインの最高矯正視力区分(≦65文字、>65文字)、年齢区分(<65歳、≧65歳)、群を固定効果とした

CSTのベースラインからの変化量
(その他の副次評価項目:52週、40~52週、各評価時点)

LOCF、FAS

40~52週のCSTのベースラインからの平均変化量において、KESTREL試験では解析計画に従い優越性の検定が実施されませんでしたが、KITE試験ではブロルシズマブ6mg投与群のアイリーア2mg投与群に対する優越性が検証されました。

CSTのベースラインからの変化量

*:ベースラインの最高矯正視力区分(≦65文字、>65文字)、年齢区分(<65歳、≧65歳)、群を固定効果とした

Brown DM, et al.: Am J Ophthalmol. 2022; 238: 157-172.
利益相反:本論文の著者にBayer、Regeneronより研究費、コンサルタント料を受領しているものが含まれる。

安全性

SAF

有害事象(52週)

眼に関連する主な有害事象(治療対象眼、いずれかの群で2%以上)

眼に関連する主な有害事象は、KESTREL試験においてブロルシズマブ6mg投与群で189例中76例(40.2%)、アイリーア2mg投与群で187例中73例(39.0%)、KITE試験においてブロルシズマブ6mg投与群で179例中53例(29.6%)、アイリーア2mg投与群で181例中52例(28.7%)に認められた。

眼に関連する主な有害事象(治療対象眼、いずれかの群で2%以上)

-:本試験で報告されていない

眼以外の主な有害事象(いずれかの群で2%以上)

眼以外の主な有害事象は、KESTREL試験においてブロルシズマブ6mg投与群で189例中128例(67.7%)、アイリーア2mg投与群で187例中122例(65.2%)、KITE試験においてブロルシズマブ6mg投与群で179例中108例(60.3%)、アイリーア2mg投与群で181例中127例(70.2%)に認められた。

眼以外の主な有害事象(いずれかの群で2%以上)

-:本試験で報告されていない

眼に関連する重篤な有害事象(SAE)(治療対象眼)

眼に関連するSAEは、KESTREL試験においてブロルシズマブ6mg投与群で189例中2例、アイリーア2mg投与群で187例中4例、KITE試験においてブロルシズマブ6mg投与群で179例中4例、アイリーア2mg投与群で181例中3例に認められた。

●KESTREL試験

ブロルシズマブ6mg投与群:眼障害2例(結膜嚢胞、糖尿病性網膜浮腫、翼状片、硝子体浮遊物 各1例)
アイリーア2mg投与群:眼障害4例(白内障3例、網膜剥離1例)、感染症および寄生虫症1例(眼内炎1例)

●KITE試験

ブロルシズマブ6mg投与群:眼障害2例(緑内障、眼帯状疱疹、網膜動脈閉塞 各1例)、感染症および寄生虫症2例(眼内炎1例)
アイリーア2mg投与群:眼障害2例(網膜剥離、網膜裂孔、ぶどう膜炎 各1例)、感染症および寄生虫症1例(眼内炎1例)

眼以外の重篤な有害事象(SAE)

眼以外のSAEは、KESTREL試験においてブロルシズマブ6mg投与群で189例中35例、アイリーア2mg投与群で187例中37例、KITE試験においてブロルシズマブ6mg投与群で179例中30例、アイリーア2mg投与群で181例中37例に認められた。

●KESTREL試験

ブロルシズマブ6mg投与群:
心臓障害9例、感染症および寄生虫症、血管障害 各7例、代謝および栄養障害、良性/悪性および詳細不明の新生物(嚢胞およびポリープを含む)、呼吸器/胸郭および縦郭障害 各5例、腎および尿路障害4例、胃腸障害3例、肝胆道系障害、傷害/中毒および処置合併症、神経系障害 各2例、血液およびリンパ系障害、一般・全身症状および投与部位の状態、皮膚および皮下組織障害 各1例
アイリーア2mg投与群:
心臓障害、神経系障害 各8例、腎および尿路障害6例、感染症および寄生虫症5例、傷害/中毒および処置合併症、血管障害 各4例、筋骨格系および結合組織障害、呼吸器/胸郭および縦郭障害 各3例、良性/悪性および詳細不明の新生物(嚢胞およびポリープを含む)2例、血液およびリンパ系障害、内分泌障害、胃腸障害、一般・全身症状および投与部位の状態、肝胆道系障害、代謝および栄養障害、精神障害、皮膚および皮下組織障害 各1例

●KITE試験

ブロルシズマブ6mg投与群:
感染症および寄生虫症、神経系障害 各5例、良性/悪性および詳細不明の新生物(嚢胞およびポリープを含む)、血管障害 各4例、心臓障害、一般・全身症状および投与部位の状態 各3例、代謝および栄養障害、筋骨格系および結合組織障害、腎および尿路障害、呼吸器/胸郭および縦郭障害 各2例、血液およびリンパ系障害、免疫系障害、傷害/中毒および処置合併症 各1例
アイリーア2mg投与群:
心臓障害10例、感染症および寄生虫症8例、神経系障害5例、良性/悪性および詳細不明の新生物(嚢胞およびポリープを含む)、腎および尿路障害 各4例、胃腸障害3例、血液およびリンパ系障害、肝胆道系障害、傷害/中毒および処置合併症、呼吸器/胸郭および縦郭障害、血管障害各2例、耳および迷路障害、内分泌障害、代謝および栄養障害、筋骨格系および結合組織障害、生殖系および乳房障害 各1例

※論文には眼以外のSAEは器官別大分類のみ記載されている。

Brown DM, et al.: Am J Ophthalmol. 2022; 238: 157-172.
利益相反:本論文の著者にBayer、Regeneronより研究費、コンサルタント料を受領しているものが含まれる。