RVOの診断
網膜静脈閉塞症の臨床所見
BRVOのカラー眼底写真では、閉塞部位より遠位側に網膜出血が広がり、網膜静脈の拡張、蛇行がみられます。CRVOでは、出血や静脈の拡張・蛇行が網膜全体にみられます。また、視神経乳頭浮腫、嚢胞様黄斑浮腫、および軟性白斑などもみられます。フルオレセイン蛍光眼底造影では、静脈の灌流遅延、血管外漏出、無灌流領域の大きさ、および中心窩無血管域の拡大などが評価されます。
眼底検査における所見
蛍光眼底造影における所見
光干渉断層計における所見
網膜静脈閉塞症の分類
BRVO:網膜静脈が閉塞する部位により、耳側静脈閉塞、鼻側静脈閉塞、および黄斑静脈閉塞に分類されます。また、発症からの時期により、急性期病変を新鮮例(発症~6ヵ月)、新生血管などの合併症を含めた慢性期病変を陳旧例と区別することもあります1)。さらに、CRVOと同様に、フルオレセイン蛍光眼底造影による無灌流領域の大きさあるいは有無等による虚血型と非虚血型の分類もあります。
1)戸張幾生:網膜静脈閉塞症,メディカル葵出版.
CRVO:一般的には、フルオレセイン蛍光眼底造影による毛細血管の閉塞範囲が、10乳頭面積未満では非虚血型、10乳頭面積以上では虚血型に分類されます。ただし、発症早期で出血が広範囲に及ぶ場合には分類できないこともあります。また、非虚血型から虚血型に移行する場合もあり、Central Vein Occlusion Studyでは3年以内に34%が移行したと報告されています2)。そのほかの分類には、点状・斑状出血がみられる程度の切迫型、動脈硬化に関連する基礎疾患がない若年者にみられる若年型、網膜中心静脈が2本ありその片方のみが閉塞する半側型があります。
2)The Central Vein Occlusion Study Group: Arch Ophthalmol 1997; 115: 486-491.
網膜静脈閉塞症の検査
視力検査、眼圧検査、検眼鏡や細隙灯顕微鏡による一般的な検査のほかに、カラー眼底写真、フルオレセイン蛍光眼底造影、光干渉断層計などにより網膜の状態を検査します。特に、黄斑浮腫の評価には網膜の断層を非侵襲的に観察できる光干渉断層計、網膜の灌流状態の評価には造影剤を用いたフルオレセイン蛍光眼底造影が有用です。
さらに、対光反射を評価するための瞳孔検査、レーザースペックルフローグラフィーを用いた血流検査、視野検査、隅角検査、あるいは網膜電図検査などもRVOの病態を詳細に評価するためには有用な検査です。
また、危険因子の保有など全身性疾患の有無も問診で確認します。