ALTAIR試験から考えるnAMD長期治療のポイント

nAMD(neovascular age-related macular degeneration):滲出型加齢黄斑変性

【監修】滋賀医科大学 眼科学講座 教授 大路 正人 先生

ALTAIR試験(国内第Ⅳ相試験)

ALTAIR

Ohji M, et al.: Adv Ther. 2020; 37: 1173 -1187.

利益相反:
本研究はバイエル薬品の資金によって実施され、同社は試験デザイン作成、試験実施、データ収集、データ管理、データ解析、ならびに原稿作成などに関与した。著者のうち3名は、バイエルヘルスケアAG、バイエル薬品、あるいは参天製薬からコンサルタント料や研究助成金などを受領している。また、著者のうち3名は、バイエル薬品の社員である。

投与スケジュール

ALTAIR試験:投与スケジュール

* 投与方法の決定は事前に規定された基準に従い、投与間隔を最短8週、最長16週とする。
† 2週幅調節群では、アイリーア硝子体内投与を2週間隔で調節。4週幅調節群では、アイリーア硝子体内投与を4週間隔で調節。ただし、4週短縮後は、2週間隔で調節した。
T&E:Treat and Extend

(Supplementary material 2:Figure S1)

ALTAIR試験のT&Eレジメンの特徴

ALTAIR試験のT&Eレジメンの特徴

*1 光干渉断層計(Optical coherence tomography;OCT)による評価
*2 中心窩を中心とした直径1mmのサブフィールド内
*3 網膜内あるいは網膜下
*4 OCTスキャン領域全体

<52週:主要評価項目、96週:その他の評価項目>
最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量の推移(FAS)

ALTAIR試験:最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量の推移(FAS)

<投与に関する評価項目>
96週までの最終投与間隔(FAS)

ALTAIR試験:96週までの最終投与間隔(FAS)

試験概要

目的

nAMD患者において、アイリーア硝子体内投与の間隔を最短8週および最長16週として、2つの投与間隔の調節方法(2週幅調節と4週幅調節)における有効性および安全性を検討する。

デザイン

96週、無作為化、多施設共同(国内41施設)、オープンラベル、第Ⅳ相臨床試験

対象

50歳以上で、活動性の中心窩下CNV病変を伴う未治療nAMD患者
(ETDRS視力表による最高矯正視力文字数が73~25文字、スネレン視力20/40~20/320相当)

方法

導入期投与としてアイリーア(アフリベルセプトとして2mg)を3回連続毎月投与後、16週時にT&Eレジメンに基づき、アイリーア2週幅調節群と4週幅調節群に1:1になるよう無作為に割り付けた。4週幅調節群における4週短縮後は、2週間隔で調節した。

評価例数

安全性解析対象集団(SAS):254例(2週幅調節群:124例、4週幅調節群:123例、無作為化割付前脱落:7例)
最大の解析対象集団(FAS):246例(2週幅調節群:123例、4週幅調節群:123例)

主な評価項目

<主要評価項目>52週時における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量
<副次評価項目>52週時における15文字以上視力が改善した患者の割合、52週時におけるCRTのベースラインからの変化量 など
<その他の評価項目>96週時における上記の項目 など 
<投与に関する評価項目>平均投与回数、平均投与間隔、最終投与時の投与間隔 など
<安全性評価項目>治療下で発現した有害事象(TEAE)、すべての有害事象、APTC定義に基づく動脈血栓塞栓事象 など

解析計画

探索的な解析

  • 主要評価項目、副次評価項目、その他の評価項目、投与に関する評価項目:FAS
  • 安全性評価項目:SAS

すべての統計解析は探索的であり、検証的な解析は行わなかった。記述的に統計学的な比較を可能とする例数設計に基づき、両群が達成したアウトカムを記述した。なお、欠測値はLOCF法によって補完した。

ETDRS:Early treatment diabetic retinopathy study
SAS(Safety analysis set):無作為化割付前に1回以上試験薬の投与を受けたすべての患者
FAS(Full analysis set):無作為化割付後に1回以上試験薬の投与を受け、ベースラインと無作為化割付後に1回以上の最高矯正視力の評価を受けたすべての患者
TEAE(Treatment-emergent adverse event):初回投与から最終投与後30日以内に生じた有害事象
LOCF(Last observation carried forward):最終評価スコア外挿法

<安全性評価項目>
安全性(96週、SAS)

ALTAIR試験:安全性(96週、SAS)

試験薬に関連する重篤な有害事象:白内障2例(2週幅調節群、4週幅調節群 各1例)、脳血管発作1例(4週幅調節群)
試験薬に関連する投与中止に至った有害事象:蕁麻疹1例(4週幅調節群)
試験薬に関連する死亡:本試験において試験薬に関連する死亡は報告されなかった

ALTAIR試験 社内資料

* 無作為化割付前脱落の理由は「医師の判断」(n=1)、「通院困難」(n=1)、「試験実施計画書違反」(n=2)、「患者による同意の撤回」(n=3)
† いずれかの群で確認された眼に関連するTEAE≧2%
‡ いずれかの群で確認された全身性のTEAE≧3%
§ 2例で3件報告された。
TEAE:Treatment-emergent adverse event
APTC:Anti-Platelet Trialists' Collaboration
有害事象の報告にはMedDRA version 19.1が用いられた。

監修医コメント

網膜滲出液の種類と治療の判断について

網膜滲出液の種類には、IRF(網膜内液)、SRF(網膜下液)、RPE下液の3種類が挙げられます。 
一般的にIRFは視力予後に影響を与えるとされます。一方、SRFは視力に影響を与えないものも存在し、実臨床では少量のSRFが残存していてもそのまま治療を継続し、視力を維持できる症例もあります。
抗VEGF薬を用いたプロアクティブ治療を進める上では、病態や患者の治療負担を考慮した評価が必要と考えます。

網膜滲出液の種類:Intra Retinal Fluid(網膜内液)、Sub Retinal Fluid(網膜下液)、Sub RPE Fluid(RPE下液)