BRVOに伴う黄斑浮腫に対するアイリーアの臨床的知見
〜視力改善効果・持続性・血圧への影響〜


BRVOに伴う黄斑浮腫の投与回数の実情

BRVOに伴う黄斑浮腫では、約8割の患者で複数回の投与を必要としました

初回投与後6ヵ月までの投与回数分布

初回投与後6ヵ月までの投与回数分布

安全性:論文中に安全性に関する記載がありませんでした
(安全性情報はDI頁をご参照ください)

試験概要

目的

BRVOに伴う黄斑浮腫に対するアイリーアの効果を検討する。

対象・方法

BRVOに伴う黄斑浮腫に対しアイリーアによる治療を行い、6ヵ月以上の観察が可能であった26例26眼を、診療録をもとに後ろ向きに調査した。原則として初回投与後に毎月診察を行い、その後は必要に応じて再投与を行った。

評価項目

投与後1,3,6ヵ月ならびに最終来院時における完全矯正視力および中心網膜厚、投与回数 など

利益相反

著者にバイエル薬品株式会社より講演料、コンサルタント料等を受領している者が含まれる。

村松大弐 ほか: 眼科臨床紀要 2017; 10: 760-763.より作図


アイリーアのVEGF結合活性持続時間とVEGFファミリーに対する阻害作用

眼内において、ラニビズマブ0.5mgの結合活性持続時間は30日であるのに対し、アフリベルセプト1.15mg(ラ二ビズマブ0.5mgと等モル)の結合活性持続時間は79日でした

アフリベルセプトとラニビズマブの硝子体内投与によるVEGF結合活性持続時間
動物データ(サル、ウサギ)と結合親和性(in vitro)をもとにしたシミュレーションモデル解析

アフリベルセプトとラニビズマブの硝子体内投与によるVEGF結合活性持続時間
試験方法

サルまたはウサギの硝子体内消失半減期と結合親和性の要素を組み入れた一次減衰モデルを用いて、抗VEGF薬硝子体内投与時の時間依存的なVEGF結合活性を算出した。

Stewart MW, et al.: Br J Ophthalmol. 2008; 92: 667-668.

アフリベルセプトは、VEGFファミリーに対する阻害作用を有します

抗VEGF薬のVEGF-VEGF受容体結合の阻害作用(IC50, in vitro)

抗VEGF薬のVEGF-VEGF受容体結合の阻害作用(IC50, in vitro)

IC50(50%阻害濃度):値が小さいほど、活性阻害作用が強い
NB:No detectable binding

試験方法

VEGF受容体1またはVEGF受容体2を発現させたHEK293細胞を用いて、20pMヒトVEGF(hVEGF)-Aあるいは40pMヒトPlGF(hPlGF)-2と各種VEGF受容体の結合に対するアフリベルセプト及びラニビズマブの50%阻害濃度(IC50)を算出した。

利益相反

本論文の著者全員がRegeneron Pharmaceuticals社の社員である。

Papadopoulos N. et al.: Angiogenesis 2012; 15: 171-185.より一部改変


日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:VIBRANT試験(無作為化二重遮蔽比較試験)
BRVOに伴う黄斑浮腫に対するアイリーアによる視力改善効果と安全性への影響

アイリーア投与群では、24週目にレーザー治療群に比べて有意な視力改善が認められました

最高矯正視力文字数の変化量の推移

LOCF、FAS

最高矯正視力文字数の変化量の推移

1)24週目以降、レーザー治療群の67例がアイリーア2mg投与によるレスキュー治療を、アイリーア投与群の9例がレーザー治療によるレスキュー治療を受けた
2)治療群、地域およびベースライン最高矯正視力を固定効果、最高矯正視力文字数のベースライン値を共変量としたANCOVAモデル

▶︎主要評価項目の結果

24週目にベースラインから15文字以上の視力改善がみられた患者の割合はアイリーア投与群52.7%、レーザー治療群26.7%であり、レーザー治療群に対するアイリーア投与群の優越性が検証されました(p=0.0003、両側CMH検定)。

※:地域およびベースライン最高矯正視力で調整

試験概要

目的

BRVOに伴う黄斑浮腫を有する患者を対象に、アイリーアの有効性について黄斑レーザー光凝固術に対する優越性を検証するとともに、安全性についても検討する

対象

BRVOに伴う黄斑浮腫を有する患者:183例(うち日本人:21例)

方法

対象患者を、アイリーア投与群(アイリーア2mg投与)およびレーザー治療群の2群に無作為に割り付けた。アイリーア投与群ではアイリーア2mgを20週目まで4週ごとに、その後は24週目の投与以降、48週目まで8週ごとに投与した。また、レスキュー治療基準に従い、36週目にレーザー治療を行った。レーザー治療群では初回治療日に黄斑レーザー光凝固術による治療を実施した。また、レスキュー治療基準に従い、12、16、20週目のいずれかにレーザー治療を行い、24週目以降はレスキュー治療基準に該当した時点よりアイリーア投与を開始した。

評価項目

<主要評価項目>
24週目に最高矯正視力文字数でベースラインから15文字以上の視力改善がみられた患者の割合
<二次的評価項目>
24週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量 など
<追加評価項目>
52週目にベースラインから15文字以上の視力改善がみられた患者の割合 など
<主な安全性評価項目>
有害事象、副作用、重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象、死亡、バイタルサインの変化 など

解析計画

<検証的な解析>
主要評価項目(FAS):アイリーア投与群のレーザー治療群に対する優越性の検証
二次的評価項目(FAS):同上。ただし主要評価項目で優越性が示された場合に限り、事前に定めた順序に従い検定を行う。
<探索的な解析>
追加評価項目(FAS) など
探索的な解析の検定結果はすべて参考値として示す。

FAS(full analysis set):最大の解析対象集団]

効能追加承認時評価資料

BRVOに伴う黄斑浮腫でのアイリーア投与後の血圧変動

ベースラインからの収縮期・拡張期血圧の変化量

SAF

ベースラインからの収縮期・拡張期血圧の変化量

※:24週目以降、レーザー治療群の67例がアイリーア2mg投与によるレスキュー治療を、アイリーア投与群の9例がレーザー治療によるレスキュー治療を受けた

効能追加承認時評価資料

副作用は158例[18例]中、43例[3例]27.2%[16.7%]に認められました

安全性

副作用※1は、アイリーアを投与された安全性評価対象症例158例※2[18例]中、43例[3例]27.2%[16.7%]に認められた。

主な副作用
結膜出血26例(16.5%)

試験薬に関連する重篤な有害事象
本試験においては、いずれの群においても認められなかった。なお、試験薬に関連する死亡についてもいずれの群においても認められなかった。

試験薬に関連する投与中止に至った有害事象
アイリーア投与群の1例(眼圧上昇)に認められた。

[ ]内は日本人
※1:投与手技に起因する有害事象を含む
※2:アイリーア投与群91例、レーザー治療群67例

効能追加承認時評価資料

アイリーアは、視力改善効果を期待でき、眼科用に開発された、
VEGFとの結合メカニズムを持つBRVOに伴う黄斑浮腫治療薬です

BRVOに伴う黄斑浮腫では、約8割の患者で複数回の投与が必要であったことが報告されています1)

動物データ(サル、ウサギ)と結合親和性(in vitro)をもとにしたシミュレーションモデル解析2)
眼内において、ラニビズマブ0.5mgの結合活性持続時間は30日であるのに対し、アフリベルセプト1.15mg(ラ二ビズマブ0.5mgと等モル)の結合活性持続時間は79日でした。

日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:VIBRANT試験3)

【有効性】
主要評価項目:24週目にベースラインから15文字以上の視力改善がみられた患者の割合はアイリーア投与群52.7%、レーザー治療群26.7%であり、レーザー治療群に対するアイリーア投与群の優越性が検証されました(p=0.0003、両側CMH検定)。
二次的評価項目:アイリーア投与群では、24週目にレーザー治療群に比べて有意な視力改善が認められました(p<0.0001、ANCOVA)。

※:地域およびベースライン最高矯正視力で調整

【安全性】
副作用※1は、アイリーアを投与された安全性評価対象症例158例※2[18例]中、43例[3例]27.2%[16.7%]に認められました。
主な副作用:結膜出血26例(16.5%)
試験薬に関連する重篤な有害事象:本試験においては、いずれの群においても認められませんでした。なお、試験薬に関連する死亡についてもいずれの群においても認められませんでした。
試験薬に関連する投与中止に至った有害事象:アイリーア投与群の1例(眼圧上昇)に認められました。

[ ]内は日本人
※1:投与手技に起因する有害事象を含む
※2:アイリーア投与群91例、レーザー治療群67例

1)村松大弐 ほか: 眼科臨床紀要 2017; 10: 760-763.
2)Stewart MW, et al.: Br J Ophthalmol 2008; 92: 667-668.
3)効能追加承認時評価資料